満足度★★★
伝統芸能3本立て
毎年恒例の公演で、今回は箏曲・舞踊・歌舞伎の3本立てでした。
『根曳の松』
箏、三絃、尺八による地唄三絃曲で、手事(間奏部分)の華やかな技巧が楽しかったです。テンポの変化する部分、特に急から緩に移行する時の音の響き方に味わいがありました。
『連獅子』
祖父と孫によって親子の獅子が舞われ、紅白の彩りが鮮やかでした。狂言師左近と仔獅子の精を踊った花柳芳次郎さんの若さ溢れるバネの効いた動きが印象的で、谷に落とされる場面ではブレイクダンスのように見えたのが興味深かったです。長唄の歌詞が字幕で表示されていて、歌詞と動きの関係が分かって良かったです。
『傾城反魂香』
数ヶ月前に国立劇場でも上演されたばかりの演目ですが、出演者が異なり演技の違いを楽しめました。悲痛な調子から最後に晴れやかな雰囲気に変わる様が印象的でした。
又平を演じた中村吉右衛門さんの嘆きと喜びの表現が際立っていました。又平の妻、おとくを演じた中村芝雀さんの台詞回しが心地良かったです。
大向こうが変なタイミングで入ることが多く、興を削がれたのが残念でした。
ベテランの妙技をリーズナブルな価格で楽しめるのはありがたいのですが、やはりNHKホールは残響や客席の広さが伝統芸能には向いていないと思いました。