パイノパイ 添田知道を演歌する 公演情報 パイノパイ 添田知道を演歌する」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    梁塵秘抄からも
     前回、父の添田 唖蝉坊の演歌を演った土取さんが、今回は、息子の知道さんの演歌を中心に弾き且つ歌った。無論、元々、演歌とは、自由民権運動の思想を広める為に壮士達が歌った壮士演歌がもとになっているので、現在、歌謡曲で演歌と言われているものとは全然違う。但し、唖蝉坊・知道父子とその流れを汲む者の演歌のみが、歌として聴くに耐えるものであることは言うを俟たない。一般に壮士演歌は、がなれば良かったからであり、唖蝉坊は、この流れから距離を取り、独自の領域を切り開いていったのである。従って、彼の曲は、江戸時代の小唄、端唄から、梁塵秘抄の今様まで日本の民衆から湧き起こった曲であり、音階なので、自由でアナーキーな音楽である。分かり易く言えば、現代主流のコード進行などドレミで分割された音階より遥かに微妙で精妙な音階なのである。このような伝統的な演歌は、唖蝉坊・知道の二代で一般からは終えた。レコードなどmachine to humanの流れが起こる大正末期頃からは、西洋流の音階が中心となってゆくからである。
     そうはいっても、元々、政治性の強い歌詞が多く、当然、体制批判や庶民感情を映したものが多いのは、民意等無きが如くに構える、この糞みたいな国の為政者共の体質と弾圧癖から考えて当然の帰結である。それもあって、演歌師二代の演歌を聴きにくる聴衆がこうも多いのだろう。普段、土取さんは、パリで暮らし、ピーターブルックと一緒に仕事をしているから、今回の公演も1日のみであったが、実に興味深い公演であったことは無論のことである。

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