居間 オブ ザ デッド 公演情報 居間 オブ ザ デッド」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    ゾンビもの…本質は硬質
    自分にとってゾンビのイメージは、何かの力によって死体が蘇って街を徘徊する…いわゆるダークで怖い存在だ。公演は、ゾンビを登場させているが、明らかに本質は別なところを描いている。当日パンフに演出家・成島敏晴氏は、「話は難しいけど実は簡単に解決出来てしまう、けどそれがなかなか難しいというややこしい事がテーマ」と記している。
    さて、公演のタイトルだが、ゾンビのイメージを決定付けたアメリカ映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」に似ているのだが、意識したのだろうか。
    さて、公演の本質は…。

    ネタバレBOX

    人間(界)は“他の界”を攻撃し絶滅させてきた。辛うじているゾンビ(界)や魔法(界)は、隠遁生活を余儀なくされている。この件は別にゾンビを引き合いに出すまでもなく、人種・人権差別そのもの。個人的には好きなテーマだが、敢えてゾンビにする必要性があったのだろうか、という疑問が残った。ゾンビのイメージは”死者の蘇り”であり、血みどろの形相をしているというもの。しかし、父親の若かりし頃、人間の娘と恋仲になり、そのことが人間に知られて”家族を殺された”という。この公演は、自分にとってイメージのギャップが大きく感情移入が出来なかった、もっといえば違和感を覚えたことが残念であった。
    今後の公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★★

    差別とは何か?
     エンターテインメントでありながら、差別の本質を、分かり易く、見事に描いていることに感心した。

    ネタバレBOX

     かつて、このエリアにもドワーフ、エルフ、ゴブリン、トロール、魔法使い、ゾンビが居て、其々が互いの違いを尊重し合って仲良く暮らしていた。ところが、人間がやってくると、様相は一変した。人間は自分達と異なる者達を認めようとせず、攻撃し、それ迄保たれて来た平和を壊し、僅かに残ったゾンビと最後の魔法使いを残して総ての異種族を滅ぼしてしまった。無論、現在でもゾンビや魔法使いに対する、偏見・産別は厳しく、それだと分かれば命の保証はなかった。
     因みに物語は基本的にゾンビ一家、鹿羽(かばね)家のリビングで進行する。彼らは滅多に外には出られない。無論、命の危険があるからだ。このように、ゾンビは、ウィルスを持っているというだけで、恐れられ、見付かれば殺されるという恐怖の中で暮らしていたので、鹿羽家の子供達も一切、学校へも行っていない。収入も、殆ど無い。現在、働いているのは、父と長男の藤雄だけで、父は家族の為に懸命とはいえ、大した仕事に就けるわけでも無く、藤雄にした所で口をきかずに済む蒲鉾工場でのバイトである。唯、父は、ゾンビの誇りを失わぬことを、藤雄は、勉強して差別の無い世界を作り、そのような世界に生きることを夢見ている。
     一方、この家には、人間が出入りしていた。小さな頃、迷い込んで来た、この辺り一帯の大地主の一人息子、トオルと宅急便のアンちゃんである。トオルは年の近い鹿羽家の二男、恭弥と友達になる。トオルの父母は離婚しており、父は仕事に追われて、引き取った息子を一切構わずに居た為、トオルは寂しい子であった。愛されるべき時に、愛してくれるべき人に恵まれなかった彼にとって鹿羽家の暖かいもてなしは、命の泉のように彼の心に沁み込み、ゾンビと人間の垣根を越えさせていたのである。
    然し、子供達もだんだん長ずるに及んで人間は、人間の、ゾンビはゾンビの社会の目を気にしなければならない年齢に達していた。ゾンビの絶対数は少なく、このエリアには他のゾンビが居なかった為、どんどん、その変化を意識しなければならなかったのは、トオルであった。ゾンビサイドでは、父である。何故か? 父は若い頃、人間の少女に恋をし、彼女も彼を愛した。真剣に愛し合った彼らが、互いの種族を越えようとした時、父の家族は、襲撃され、父を除いた全員が人間に殺された。その経験が、父を人間不信にさせていたのである。父は、息子の為、家族全員の為を思って、久しぶりに遊びに来ていたトオルを遠ざけようとした。若いトオルは敏感にそれと気付き、その時は、そのまま帰っていった。然し、その後、トオルの恋した少女は、恭弥と、より仲良くなってしまった。嫉妬心が、今迄決して、トオルが明かさなかった、鹿羽家の秘密を人間に晒すことになった。而も、トオルは、恭弥を殺そうとする。だが、二人が愛した女の子、リカが、未だ、残っているトオルの人間らしい心を恭弥殺しによって亡くさないで! と叫ぶ心によって、また、同時に彼女が、ゾンビであることを知った恭弥の心が、生き生きと息づいていることを叫んでトオルに知らせることによって、何とか危機を脱することが出来た。
    トオルは、自分自身の裸の心を鹿羽一家に晒し、父も疑ったことを謝した。然し、ゾンビと人間の愛という種族を越える愛の問題と同じ女性を友人である、恭弥とトオルが愛してしまったことは、未だ片付いていない。傷ついたトオルを救うために、恭弥は、唯一人生き残っていた、魔法使いに、自分の記憶の一部を消し去ってくれるように頼む。この時、愛したリカを諦め男泣きに泣く恭弥を演じた本多 遼の演技が秀逸である。
    愛を譲った恭弥のお陰で、トオルは、リカを射止めた。ところで、この物語にはオチがつく。人間だが、大いに、ゾンビに興味があった、アン君は、鹿羽家の娘、愛子に頼み込んで、噛んで貰い、ゾンビになって、新たな家族に加わったのである。

このページのQRコードです。

拡大