SUMMER・end・START 公演情報 SUMMER・end・START」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    悪魔と神
     2パートに分かれた作品。パート1は朗読色の濃い内面の旅をモチーフとした哲学的妄想作品。パート2は、冒険ファンタジーだ。
     1,2で出演者が異なる。

    ネタバレBOX

     先ずは、1から行こう。妄想収集家を自任する24歳くらいの青年は、小学校4年の時に、特異な少年と仲良くなる。親友と言って良い仲である。彼は、父の仕事の関係で世界中を歩いていた。ある時、6年生の不良グループに絡まれた彼が、あっという間に6年生の腕を捩じ上げ、静かにこういった。「ストリートチルドレンって知ってます? 親の居ない子です。僕はリオでその仲間に入っていました。ギャングですよ。死がいつも周りにあるんです。何でもやりますよ。僕らに手を出さないで下さい」それ以来、このクラスの何人もが遭っていたカツアゲにも会わなくなり、女の子たちからは、勿論、男の子達とも仲良くなった。彼は決していばらなかったし、皆に溶け込んで遊んだので、皆から好かれた。そんな彼は、僕の偏見の無さと自由なイマジネーションが気に入ったようで、僕らは大の仲良しになったのだった。お互いの家にも良く泊まりに行くようになった。ところで、僕の父は、ある時期から僕を殴るようになった。顔こそ殴らないものの、他は体中痣だらけになるほどだった。4年生も終わりに近い頃、彼は言った「僕の体は大丈夫かい?」と「痣だらけなんじゃないの?」と「見えないようにしていたハズなのに、なぜ、そんなことが分かるの?」と訊くと「僕がやらせたからさ」と彼は言った。「君のお父さんが訊いてきたんだ。どんな風に育てれば、君みたいな良い子に育つのか?」って。だから僕は答えた「殴れば、いいんですよ」って。「こんなに早く始めると思わなかったけど」と。「何でそんなこと言ったの?」と訊ねた僕に彼は応えた。「自分の一番大切な物が、壊されてゆく時、僕がどんなことを感じるのか、どんな風になるのか知りたくってね。君は壊れたね。でも君の広いイマジネーションだけは壊れなかった。それはとても美しい。僕は、壊れながらそういう美しさを失わない君が好きだよ」と。この時、僕は悪魔に出会っていたのだろう。彼と別れた後から、僕は、妄想を集め始めたんだ。もう大学ノート20冊以上にもなった。これはもう、一つのクロニクルと言っていい。
     こう言う青年には、現在、影のおうに寄り添う女の子がいるのだが、彼女は彼の影、内面の形象化された無いかである。彼は、彼女との対話の中で何故、自分が、妄想を集めてきたか。その答えを得る。それは、未だ未成熟であった彼が、既に大人びた悪魔の攻撃を受けた時に、自らの可能性を様々な時空、つまりパラレルワールドに分散避難させ己に力が出来る迄逃がしたからだというのだ。そして、彼はそれらの断片を集めることで自らを再構築しているのだと。そして、4年生の時分かれた彼が、本当に悪魔であったなら、主人公は神だと暗示されて終わる。
     パート2は、不思議の国のアリスの劣化した焼き直しのような作品で、自分には興味が持てなかった。パート1で気に入ったのは、上記の説明部分であるが、物語で男の子を演じた役者? はとても良い声をしているが、いかんせんテキストが長大なので、間をとってじっくり聞かす、という点では不満が残った。もっと話の肝心な部分だけに絞って、朗読らしい深みを加えて欲しい。それから奇しくもの読み方は“キシキモ”ではなく“くしくも”である。
     パート1で自分が説明した部分のシナリオは★5つ。読みなどに関しては日本語のまちがいもあるので、★4つ。パート2に関しては★2つ。総合★3つとした。

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