無事公演を終えました。ありがとうございました!!→H君の冒頭意見陳述とその周辺、あるいは無敵の話 公演情報 無事公演を終えました。ありがとうございました!!→H君の冒頭意見陳述とその周辺、あるいは無敵の話」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    Merdre!
     全体は風景1、風景2と題された作品群でひとまず、完全に異なる話の2部構成というか2.5部構成というか、言い方に迷う構成になっている。まあ、2.5部構成といった方が正しかろう。というのも、風景2は、別々の話が、2つ演じられるのだが、風景2の最初に演じられた作品のラスト部分は、風景2で2番目の作品が終了した後に演じられるという特殊な構成になっているからである。この構成上の工夫によって、作品は微妙な化学変化を起こし、結末のファンタジックな世界への移行をスムースに感じさせているのである。尚、タイトルを記してある作品が、風景1の作品だ。風景2のタイトルは後ほど記す。
    今作は、サブテレニアンの企画公演Marginal Man01“周縁の人”の参加作品ということもあって、こういう作りになっているのかも知れない。MarginalであることやMarginalなものは、常にpilot surveyや水先案内として、現代のように、価値が無限に希薄化してしまった時代には、殊に重みを増す概念である。この点に着目して、企画を立てた、この小屋主の慧眼にも敬意を表しておきたい。

    ネタバレBOX

     何れにせよ、このようなコンセプトで演じられていると考えられる今作。視点もユニークである。Merdre!(糞ったれ!)で始まるアルフレッド・ジャリの傑作、Ubu Roi(ユビュ王)に通じる作品と捉えてみた。但し、今作では糞ったれ! は最後に持って来られている。そのわけは、無論、被告が裁判で意見陳述を許され、その機会を用いて、事件の概要とネットを主要な媒体とする噂の乖離を明かし、個々の事例に対する己の分析的立ち位置、そのように対処した己のメンタリティーの自己分析結果を表明をしてみせた上、更に罪を問う体制側論理を分析、その判断に対する態度表明をしてゆく結果として、己の存在、その存在を許して来た社会そのものを茶番として断罪することが試みられていると言って良いだろうからである。つまり、犯罪を犯した者が、アイロニカルな意趣返しを図ったのである。言い換えれば、論理自体を体制側のものと同一に措定し、それに異を唱えず、寧ろ、自分自身を論理に従って断罪することを要求することによって、体制の茶番を暴くという構造になっている点がアイロニーなのだ。そのアイロニーを呈示した上でだからこそ、糞ったれ! が生きるのである。
     オボカタさんという名の謎の女とムーミンに登場するキャラクター、スナフキンとの間で繰り広げられる、無論、STAP細胞論議をベースとした、コミカルなサイエンスファンタジー。無論、STAP細胞の話が出てくるのだが、専門的な知見というよりは、近代科学のおおもとの一つとなった錬金術と知的所有権や特許料による莫大な利益を示唆する「経済的錬金術」を掛け、更に、錬金術という中世的な概念を持ち出すことによってファンタジックな世界に溶け込みやすくしている点が、面白い。STAP細胞に関して、追試が出来ていないという点が、大きな問題として先ずは上がってくるべきなのだと考えるが、大方の予想通り、下らないゴシップや非本質的な話題に転化することで、メディアが馬鹿騒ぎし、それで、小金を儲けたことを茶化している点もあるかも知れない。それで、今公演のラストに、オボカタさんという名の女性は、迎えに来たスナフキンと共に、ムーミン谷へ行ってしまうのである。
     ところで、風景2では、「錬金術師」と名付けられたこの作品の途中に谷崎 潤一郎作の「お國と五平」という作品がサンドイッチされている。原作を読んでいないので、今回の脚本と同じ内容であるか否か、自分は知らないのだが、この作品は、風景1とダブる。だらしのない男(家老職の家に生まれ、お國の許嫁でもあった友之丞はお國に振られるが、彼女の選んだ夫を闇討ちして殺害、逐電し、虚無僧に身をやつして、仇討の旅に出た、お國、五平を足掛け4年も追い続ける。)武士としては、剣術も頗る弱く、甲斐性もない友之丞だが、未練だけはたらたらである。それは、恋についても己の命についてもだ。その彼が、2人を追い続ける4年程の間、2人は虚無僧の正体に疑いは抱いたものの、結局気付かない。物語は、正体に気付く直前から、仇討を遂げる迄を描くが、互いの利害や、従者、五平とお國の不義密通、友之丞とお國の矢張り、嘗ての情交等を暴きつつ、大団円に流れ込むのだが、だらしない友之丞の居直った論理によって、暴かれてゆく、世間的正義・評判の良さと事実との乖離が呈示されている点で、風景1とダブる仕掛けになっている。

  • 満足度★★★★★

    2作品観劇でより一層楽しめます。
    風景1、風景2を観ました。劇場の空間がお芝居の雰囲気にとても合っているように感じ、作品にぐっと引き込まれました。実際に起こった最近の事件がどちらの舞台も題材になっており、内容の深いお芝居に思いました。風景1と風景2どちらも物語も演出もとても面白かったです!共通の演出などもあったので2つ観るとより一層楽しめました。

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