満足度★★★
感心しました
9人の女性が、朗読のように台詞を合唱していましたが、あんなに長い台詞をよく覚えているなぁ、相当練習したんだろうなぁ・・と、感心しました。古典劇のせいか、面白いとは感じませんでしたが、興味深い舞台でした。個人的には梨沢千晴さんが美しく、表情も鬼気迫るものがあって、目で追ってしまいました。良い舞台でした。
満足度★★★★
魅せることは成功か
暗幕で囲った素舞台で、身体表現とセリフ(詩の朗読のよう)だけで状況説明を行う。脚本もさることながら、演出が難しい、と思う。舞台上を神殿以外の場所とし観客席を神殿と見立て、常に視線は正面に向けられる。ギリシャ神話を題材にしていることから、極端(明確)に女性☞平和、男性☞戦争、と象徴的に描くことで感情移入がしやすかった。
また、必ずしも予定調和でなく不条理も…上手な演出で面白かった。演技は、セリフと言うよりは詩を朗々と読んでいたようだ。それが時として哀願、悲哀、歓喜を表現しており見応えがあった。シンプルながら、観客に伝わる公演だと思う。
今後の公演も期待しております。
彼らの演技は総体のスピリチュアリズムである
古代エジプト神の子孫が、ギリシャ領主に庇護を求める話。
9名に及ぶ女性キャスト。まるで合唱するかのごとく、御祈りをしたり、同時にセリフを発する。
前回、「キーとなる配役を考慮すべき」とアドバイスしたが、『劇団新和座』は さらなる平等主義を貫いた、といえる。「女」を記号化したような無機質さであった。
しかし、どうにも「厳格な古典調子」だ。感情に基づかない表層的演技、技量不足を痛感しつつ、「古典作品」を数年にわたり打ってきた この歴史は認めざるをえない。
「多神教スピリチュアリズム」。
霊的な「女」の総体を、9名の女性キャストが役割分担し、時に合唱しながら演じた舞台だった、と思う。
女性キャストがダオタス(古川 康史)、ペラズコス( 上村 聡)といった「男」を、すがりつくように「ボディ・タッチ」するシーンが あった。紀元前・神々の子孫が住まう古代ギリシャだ。
異性の肌に何の抵抗もなく触れる中央広場は ありえたか。身体観に欠けた演技だった。
ただし、『劇団新和座』を複数回、観劇し、辿り着いたエッセンスもある。それは「眼力」だ。
驚くべきことに、彼ら彼女らは一度も瞬きをせず、ちょうど照明・音響の舞台装置室へ視線を1分間ほど定置する。
古代ギリシャ演劇に その答えを解く。
石器の野外劇場。客席は楕円形。「神官の椅子」は真ん中にある。どの観客も その席に座ることが許されない、ということはつまり、「神」に捧げる演技だったのである。
『劇団新和座』の「眼力」は2600年の伝統を継承した宗教性なのかもしれない。