『アマツキツネ』 公演情報 『アマツキツネ』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    願い
     生き物は、結局、何を願えば、最もよく共存できるのであろうか? を真摯に問う作品。シナリオは、基本的にストレートだが、この問いをキチンと押さえているので、勘所にブレはない。

    ネタバレBOX

     現在のこの世は鬼と人とが繋がってできた世界だとの規定なのだが、このコンセプトでは、鬼の末裔と元々の人間(アプリオリに存在したのであれば)との差、鬼と人間と、狐の関係がはっきり見えてこない。人間の出発点に鬼と狐の交合があって人間が出来たのならば、鬼の血を引く祈一家に対する村八分は、矢張り不自然だ。単に、他所者という理由と弟の真が、恐らく村人には訳の分からない病であるという理由だけからでは、演劇的に抽象度が高すぎると思えるのだ。そこに、宗教的な因果応報の概念等が無ければ矢張り弱いと感じるのである。
     アマツキツネ伝説の変容する主体に関しても、伝説だから、敢えて、その主体を曖昧に描いているなら兎も角、リーフレットの説明を読む限りに於いて、論理的なコンセプトの構築力は、もう少し鍛える必要が在るように思う。
     一方、年1作というテンポで丁寧に作り込んだ表現には、好感を持った。各キャラクターの心の動きや気持ちの熱さ、各々の真摯な願いには、感動を覚えた。今後も、他人の心や魂に敏感に、更にそれらの心・魂が置かれている場や状況との関係を鋭く見つめ、表現できるようになって欲しい。

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