帰還の虹 公演情報 帰還の虹」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★

    久しぶりのタカハ劇団
    今まで観た演目は自分の内側に向かうような内容が多かったように思うが、
    今回は歴史という大きなテーマ。

    劇場から出て下北沢の喧騒に身をおいた時、眩暈のような感覚を覚えた。
    まるでタイムスリップから戻ったような。
    そして大切な何かを受け取ったような気がした。
    底の浅い感想だが、帰える道すがら
    大切な人をそういう場所に送らなければならなくなったらどうするのかなぁ。
    と、つらつら考えてしまった。

    達者な役者陣の中でも清しい印象で目を引いた藤森陽太くん。
    初見の役者さんでしたが、元lifeの方でしたか。良い意味でぽくない・・・。

  • 満足度★★★★

    骨太な物語
    戦時下でも描くことをやめなかったある画家の物語。
    彼の友人たちや彼の妻、若い画学生など、登場人物それぞれの輪郭が鮮明で、どういう行動が正しかったのか、などという安直な評価ではくくれないそれぞれの葛藤を描いていく。

    画家が描こうとしたもの、画学生が描きたかったもの、それぞれにそれぞれの真実があるのだろう。

    見応えたっぷりの骨太な作品だった。

  • 満足度★★★★

    みてきた
    タカハさんがやるべき主題なのかという気がしないでもないです。

  • 満足度★★★★

    戦争モノを語るには時間が必要と思っていたと・・
    脚本・演出の高羽氏が語っていた思いが凝縮していた2時間20分(予定)

    戦争の是非ではなく、勝敗でもなく、
    戦争は巨悪であるという感じが色濃く出ていたと思いました。

    熱量は良かったが細かさにやや欠けるきらいがあり、
    星はひとつ削ってしまったであります。

    ネタバレBOX

    よくある「この戦争は日本が負ける」という台詞が少なく。敗戦理由も日本軍が禁止していた短波放送の受信による米軍からの真実の戦況日本語放送に、軍需品の株価が下がって民需品の株価上昇から推測という理由が今まで自分が見ていた戦争ものの中では初めて聞く理由であり、新鮮で説得力が強かった。またそれを聞いても周囲の画家たちの反応が、基本自分達の生活と絵と周囲の人間の動向にしか向かなかったところも好印象でありました。

    舞台は黒を基調に額のみ飾ってあるアトリエを模したセットで、左右に画材やイーゼル。中央にアトリエを内外と区別する壁を模した可動式組み柱の大道具がユニークに配されてました。

    (となりのOFFOFFが若い女性客が目立ってたけど、当公演はそんな感じはしなかった。けど2/3は女性客っした。 んでちょい空調が効き過ぎていたので冷えを気にする方は何か保温用材を持ち込むこと推奨します)

    さて結構すっぱりネタバレしますので未見の方は読まないでくださいねっ!


    「戦意高揚画」を描き、日本画壇の寵児となっていた男=藤澤のところに画家仲間の内山が自分の受け持つ画学生に光る才の持ち主=貞本(この戦時中に油絵の具が豊富に置いてあるアトリエに感動してました)がいるので手元に置いてやってくれと願うところから物語が始まります。

    自分では貞本君を徴兵から守れない(今は18歳で19になると徴用年齢となる)ので軍部に顔の聞く藤澤の書生または弟子なら徴用は無いだろうからとの配慮です。(が実は内山氏は共産主義者(当時の言い方で”アカ”)であり上記、日本敗戦の言を述べる人物なのでその心配もあったんですなぁ・・・。)藤澤は嫌がるのですが、癇癪もちの細君=キヨ子が夫の関心を引き出したく自分の預かりとするのでした。軍の受けの良い藤澤亭には物資不足の中、芋や人参・今では貴重な白米まで持ち込まれてます。女中として近所のちづさんも家の事をしてもらっております(贅沢といわれています)

    軍部の望む絵を描くことで日々の糧=とにかく絵を描き続けるという純粋な画家としての望みを叶えてる藤澤でしたが(絵に加えて人の望みを見抜き絵にするという才能が強いと描写してました)軍報道担当の近藤中佐の戦地体験を聞いて惨たらしい大きな戦争絵(普段は布をかけて隠しています)を描いてました。

    話が進むと、藤澤家で置いてあった食料や奥様お気に入りだったメリヤスの生地などが無くなったりするという話が出てきて・・・。手伝いのちづの弟孝則(戦地に行っていたが手の怪我で帰還できた)が再び召集されることになり=赤紙が来て=実はいままで無くなった物は「自分が盗みました、返しますから藤澤先生の力で召集を無かったコトに。」と取り乱し泣きつきます。ついには貞本君に代わりに行って欲しいとまで言い出します。(このシーンは心揺さぶられました) 結局藤澤もただの軍のお気に入りという立場であり、軍部にものが言えることはないと話して宥めます。

    ”アカ”として内山が憲兵に暴行を受け捕まり、無力な藤澤を器の小さい同業の画家である熊本(演じる山口氏は上手で、小心者らしさを器用に出してくれてました。)が詰り。戦局の悪化に伴い徴用年齢が19歳から17歳に引き下げられ、故郷の熊本で貞本君は徴用検査を受ける事になり明日には出発しますと藤澤に告げ、藤沢は貞本に例の戦争画に加筆することを許可し。貞本は悲壮な戦地絵に笑いあう兵士や寝転ぶネコ・キヨ子夫人まで書き足し。空にはタイトルに応じた虹を描き故郷に向かうのでした。

    プロローグで語ったキヨ子夫人が、同じようにエピローグでその後の登場人物たちの人生を語り終演となります。

    仲間も全て捕らえられた内山氏は投獄・処刑とはされず、筑豊の炭鉱送りになり行方不明・・・。戦後大量の人骨が炭鉱から見つかったと。

    熊本は藤澤を糾弾し続け、日本画壇から見事藤澤を追い出し自分が中心に収まると。

    ちづは弟の孝則を戦地で失うも夫が無事帰還し静かに余生を過ごせたと。

    近藤中佐は軍報道を勤め上げ退役、藤澤以外に戦地での体験を話す事無く墓場まで持っていったと。

    藤澤と妻キヨ子は10年前にいたパリに戻り二度と日本に戻る事は無く、自分の描いた戦争画の公開も許可はしなかったと。

    貞本については語られませんでした・・・・・・・・・・・・

    ちなみにアトリエのある村は疎開先でもあるのだが、
    そこでも食糧不足などは深刻な状態だと暗に示唆するのも上手でした。


    戦争の勝ち負けを論ぜず、あるものとしての巨悪(とも作中では語ってはいないです)の受け止め方が人様々で、話が展開するユニークさは気に入りました。

    <で~下北沢の全ラーメン屋制覇が成された日でもありました>

  • 満足度★★★★★

    ずっしりと
    わかりやすい内容でしたが、とても重い、ずっしりと観ごたえがある作品でした。戦時下で、優遇はされていても、自分の思い通りの絵を描く事が出来ない画家たちの苦悩、また、周りの人々の想いが、演じる役者さん達の熱演で、ヒシヒシと伝わってきました。また、実際の絵を見ることが出来ないので、セリフから想像を膨らませて脳内再生しながら観てました。この時期、忘れてはいけないその時代を改めて考える良い機会を与えて頂きました。

  • 満足度★★★★

    nerve
    太平洋戦争末期、戦争画を描いていた画家達の物語。戦争が他人事ではなくなりつつある今、こういった作品を創る志の高さ!

  • 満足度★★★★★

    どっしりと。
    久しぶりの観劇に久しぶりの劇団さんを。

    骨太な、しかし少し変わった切り口の戦争もの。
    単なるお涙頂戴の歴史物に留まっていないのは現在の日本の状況が作品にそうさせたのか、客席側の受け取り方なのか。

    一人で観に行ったのだが友人と観に行ったとしたら
    帰り道どんな話をするだろう。
    作品の話をできるのだろうか。
    戦争の話をできるのだろうか。
    そんなことを考えながら帰途につきました。

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