満足度★★★★★
今年一番やられました…。余韻が2~3日続いた。
今年一番やられました…。
作品の余韻が2~3日続いて、
それこそ「わたしを離さない。」
普通の作品なら、映画化作品を当然観るのですが、
ストーリーがわかっているので、
つらくて、もう一度見ることはできない。
蜷川幸雄が、まさかこのような静かでストイックな
SF作品を選ぶとは思わなかった!
社会とは完全に遮断された特別なルールの世界の中、
疑うこともなく教育された純粋な心を持った子供たち。
そのまっすぐさゆえに、幼い青春の心が本当に切ない。
その世界は特殊ではあっても、その営みは外の世界と
変わらない-恋、いじめ、友情、嫉妬-青春そのもの
である第一幕。
第二幕では外界を知り、自分たちは特別な存在である
と信じていた信念が揺らぎ、自暴自棄となり荒れる
者もいれば、それでも自らを律して生き延びようと
する者もいる。
第三幕。
すべてを信じていた昔を懐かしむ登場人物たちの
想いがとってもとっても切なくて痛い。
この世界をリアルに感じさせる、
天井が高く両側に窓がある寄宿舎の壁面、
蛍光灯のある舞台装置、美術もいい。
そして何より、多部未華子の第一幕で見せる真摯な
透明感、二幕以降の揺るがない存在感が素晴らしい。
三浦涼介の一貫した少年の佇まいもいい。
「仮面ライダーオーズ」レギュラー時と同様に、
染めた髪がとても良く似合う。
今年で一番強烈な印象を残した作品。
満足度★★★
4時間でも飽きませんでした
原作未読でしたが映画も好評らしいのではじめてさいたま芸術劇場行きました。素敵な劇場でした。
3幕4時間で長いなと思ったけど実際みている分には全く退屈な部分はありませんでした。
1幕は学園モノ、2幕は三角関係、3幕で核心部が明かされ、政治的なテーマが現れます。それはとても残酷な現実であり、1幕2幕でくどくどと当事者の「実存」を描いてきた分だけその残酷さは際立ちます。
SF作品ですが、現実にも存在する不条理に重ねあわせて考えてみるような政治性があるように感じました。が、その一方、残酷でかなしい核心に向けて構築された箱庭という印象もあり、なんだか醒めてしまう気持ちもありました。これが原作に起因するのか、演出のためかはわかりません。
役者のエネルギーに驚き!
One for All.All for One.
ラグビーの有名な言葉は、芝居にも当てはまるかもしれない。
そういう意味で言うと、この芝居は
One for All的な要素が強かったように思う。
役者の個性を前面に打ち出すよりも、
芝居全体の完成度を重要視している感がある。
特に、結末シーンの奥行きある舞台を目いっぱい使った
俯瞰の絵は現在と過去がシンクロし美しかった。
それまで紡いできた物語が一気に結びつき、心打たれた。
そうした傾向の1つの答えは、カーテンコールで分かった。
何度目かに主演陣に連れられてきたのは、蜷川幸雄だった。
なるほど、彼の芝居だったか!
ただし、僕はAll for Oneの方が好きなのである。
主演3人がそれぞれ魅力的だっただけに、
アイドル映画や歌舞伎まではとはいかないものの、
見せ場的シーンが見たかった。
多部未華子には、相変わらず末恐ろしさを感じさせる。
無色のようでいながらクセはあるし、
大人しく優等生的ように見え、得体のしれない感を秘める。
木村文乃は、TVドラマやこの芝居のポスターでは、
憂いを帯びた令嬢的の印象を受けていたけれど、
実際はニュートラルな感じのすっきり美人さんだった。
令嬢的役の木村文乃をどこかで見てみたい。
三浦涼介という人を僕は知らなかったのだけれど、
頼りなさと男らしさを演じ分ける色気ある俳優さんだった。
それにしても、三幕構成で幕間も含め4時間は長い。
三幕では、途中退席の方もちらほら、
5時ちょうど頃には時計のアラームは鳴るわ、携帯のアラームは鳴るわ・・・・・・
ただ本当は5時15分に終わるものが、結果的に5時半となったのは、
スタンディング・オベーションで、
カーテンコールが繰り返されたからでもある。