野村誠の老人ホーム・REMIX #2 ドキュメンタリー・オペラ 「復興ダンゴ」 公演情報 野村誠の老人ホーム・REMIX #2 ドキュメンタリー・オペラ 「復興ダンゴ」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    声と仕草のサンプリングから生まれる情感
    老人ホームの入居者への戦争直後の頃についてのインタビューと音楽ワークショップの記録映像を編集し、ピアノ演奏とダンスを絡めた作品で、入居者達のポジティブさが印象に残りました。

    エントランスホールの階段を正面にとって上手にピアノ、数段上がった踊り場にスクリーンが設置され、断片が何度も繰り返されるインタビュー映像の話すリズムや抑揚に合わせてピアノで伴奏し、戦後のエピソードが歌の様に綴られ、インタビューで「ダンス」という単語が出たのをきっかけに砂連尾さんが登場し、映像の老人と一緒に踊る様な動きが繰り広げられました。
    映像の動きを真似し、そこに福島の原発事故についての台詞を被せていくシーンは強烈な印象がありましたが、原発について語っているのではない映像を原発の文脈として用いるのは、メディアによる恣意的な情報の取捨選択と同様の事をしているようにも思え、引っ掛かりを感じました。
    その後、鈴やハンドベルを用いて演奏するワークショップの風景の映像が流れ、観客にも楽器を渡して参加を促していましたが、観客参加型にありがちな押し付けがましさが無くかったのが良かったです。
    終盤は写真に撮られた入居者それぞれの姿を砂連尾さんが真似しながらス会場から消え、清らかな雰囲気が印象的でした。

    声だけでなく、インタビュー中に発生したドアの開閉音や他人の足音等を音楽的に取り込んでいたのが入居者達の話しにリアリティーを与えていたのが興味深かったです。

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