「添田唖蝉坊・知道」を演歌する 公演情報 「添田唖蝉坊・知道」を演歌する」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    長丁場で、流石に高音が
     啞蝉坊は明治、大正、昭和を生きた演歌師である。演歌と言っても、北島 三郎の歌うような歌ではない。あれは「流し」と言う。ラッパ節など、現代の歌謡曲の源流にあった歌である。

    ネタバレBOX

     歌った土取さんは、世界的なパーカッショニストであるが、今回は、主に三味線を用いて歌った。因みに本家本元の啞蝉坊は、総て赤ベラであった。頗る良い声の持ち主であったと共に、天才的なアレンジの才能があったようである。
     また、息子、知道も演歌師になりたくない、との思いとは裏腹に、数々の名作を残している。
     土取氏の舞台で流石と思わせる点が幾つかあったのだが、その中でも特に、日本語の発音の変遷を歌詞の発音に反映させていた点は見事であった。例えば、明治時代、東京で、菓子は“くゎし”と発音されていたわけだが、当時の発音で歌っていたのである。
     これは、彼が、1976年以来、ピーター・ブルックと共に仕事をして来、サヌカイトを用いた演奏をやったり、旧石器時代のクロマニョン人が鍾乳石を叩いて出した、ヒトの歴史初の音楽を、フランスの許可を得て、実際、南仏の洞窟で再現したりしてきた上でのことである。
     今回も公演直後にはパリに戻るタイトな日程の中での舞台であったが、再び、彼に会えるのは来年になってかららしい。機会を見付けて次回は、読者も是非、微妙な演歌の世界に浸って欲しいものである。

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