満足度★★★★
過去何度かとは違う部分が見えてきたり
過去に何回か観た時は、一件(と言うよりむしろ一見?)落着の後の姉弟と他の3人の態度の違いやメイドのアヤシさが印象に残っていたが、今回はそれに加えて「各個人が些細と思っていることでもそれが積み重なることで人を死に追いやる場合もある」的なメッセージも感じたりする。
また、以下のような逆バージョンができないか?と考えたりも…(笑)
【こんなプロット】
ある一家が心中しようとしている。家族みんなが困っている人を見かけると放っておけないタチで、その結果、事業が行き詰まったり多額の負債を作ったり婚約を解消されたりしたのだ。
と、そこに見知らぬ人物が現れて各人のコトの経緯を尋ね、皆が助けたのは実は同じ人で、その人が恩返しをしたがっているという。
思わぬ展開を信じられない一同はその人物が席を外した隙に素性を確かめようとするがむしろ疑惑が深まる。
が、しばらくするとまばゆいばかりの光に包まれてかの人物が再登場、そう、それは天使で、窮地に陥った「善き人」を救済するのが使命だったのだ。(完)
満足度★★
社会構造と良心
資本主義社会の非情さや人間のエゴをミステリー仕立ての物語の中に描いた名作戯曲を、ストレートに演出していて物語の魅力は伝わりましたが、演技が物足りなく感じました。
婚約のパーティーをしている家族の所へ夜に警部が訪れ、そこにいる皆がある女性の自殺に関係あることが明らかにされた後、意外な方向に話が展開するストーリーで、ただの犯人探しに止まらない、社会や良心の在り方について考えさせる内容でした。
ラストでは、奥に現れた女中が縛っていた髪をほどき赤い照明で照らされ、壁面にはウネウネとした模様が映し出され、女中がこの一夜の騒ぎを陰で操っていたかの様に描いていましたが、そこまでの抑制の効いた演出に対して唐突で過剰な表現に感じられました。
半数程の役者が翻訳劇ならではの台詞が馴染んでいなくて、敢えてわざとらしく演技しているのか、そうは意図していないのにわざとらしく見えてしまっているのかがはっきりしない演技となっていて、もどかしく思いました。
手前と奥に円形の穴がうがたれた壁が立ちトンネル状に見える幅より奥行きの方が大きいステージが新鮮でした。
舞台セットの形状のせいだと思いますが、声が反響してエコーが掛った様な音響になっていて、聞き取れない訳ではないものの違和感がありました。
満足度★★
雰囲気は上質なミステリ映画
雰囲気のある舞台装置が気に入った。客入れ時に動きがあるのもいい。
画面の陰影がとても綺麗で、絵画のよう。役者陣の声がとてもいいので、それこそ上質ミステリ映画の吹き替え版を見ているようだった。