あなた、どこにいますか? 公演情報 あなた、どこにいますか?」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    幸せですか?
     どこの国でもそうだよな〜っていう印象。周囲の人間のあたたかい支援があっての回復。日本では期待できるかどうか…。あなたは幸せですか?という問いに対する私の答えは、まあ、そこそこ。

  • 満足度★★★★

    捉え難いものを良いシナリオに落とした
     精神科医が進行役を務めて物語が進展する。背景には、矢張りグローバリエーションの進展で影響を受け、呻吟する韓国庶民の姿が透けて見える。しょっぱな、医師の回想に出てくる同窓会の挿話は示唆的である。友人の一人が「株をやって儲けた」と話した時のこと。医師は、「それで、幸せ?」と問う。友人応えて曰く「またやって儲けようと思う」と応じたが、医師は再び「それで、幸せ?」と問い掛けた。友人は「喧嘩を売っているのか」と医師にアッパーカットを放った。

    ネタバレBOX

     自分は、この挿話に以下のような感想を持った。デイ・トレーダーなどが話題になったことからも察しがつくように、株の世界は浮き沈みが激しい。だから、皆、生活の総てを株価の上下に繋げて考えるようになる。1円、2円(韓国ならウォンだ)の上下で一喜一憂する生活を強いられるのだ。儲かれば、この緊張感の中ではち切れそうになったストレスを派手な遊びで発散しようとする。その辺りの生活が透けて見えるようなやり取りではないか? 
     一方、このような状況の中で、主人公は福祉の勉強をし、他人の為になりたいと生きてきた。然し、人生は中々思うようにならない。結局働いていた組織は解体し、2年間、失業の憂き目も見て、漸く就職したのが、現在の会社だったので、最初は仕事をすることができるだけでも楽しかった。が、仕事に慣れるにつれ、様々なことを考えるようになり、あまつさえ、自分のやりたかった仕事とは無関係な仕事に就いているのではないか、との思いは、彼を追い詰めていった。終に、彼は対人脅迫症に因る主体性喪失症に陥ってしまう。この病は、自分が、自分の根拠にしていた拠り所を失くし、自分が何者であるかを見失ってしまうことによって、他人との対応が必要とされる時に、自分の不如意を見透かされる恐怖から、口ごもったり、対話がスムースに行かなくなったり、酷い場合には、言葉を失ったりする症例である。思い余って、彼は、精神科の医師に相談したのであるが、医師は、彼に「自分の本当にしたいことは何なのかを考えてみて下さい」と告げると共に「妻に悩みを打ち明けるよう」に説くが、彼は、何れも実行できず、症状は悪化の一途を辿った。
     若干、噛んだりした役者がいたので星は4つにしたが、いいシナリオで、全体に作りが良い。舞台美術などは、金を掛けられないので、豪華では無論ない。それに、ちょっと、雑な絵柄ではある。然し、本質とは関係ないので、これ以上は触れない。大切なことは、本質で何処まで勝負しているかだ。この点について、自分の評価は5点である。とても大切でデリケートであるが故に見え難い問題を良く形象化した。これからも精進を重ねて、更に、良い舞台を作って頂きたい。内容は、現在公演中なので、ここまでにしておくが、お薦めの舞台だ。
     だが、若干、噛んだ場面があったことと、雑に感じられた舞台美術でマイナスを入れると総合評価は4.だが、心に残る作品である。

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