F/T13イェリネク連続上演 宮沢章夫「光のない。(プロローグ?)」 公演情報 F/T13イェリネク連続上演 宮沢章夫「光のない。(プロローグ?)」」の観てきた!クチコミ一覧

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  • ここが限界点か…?
    オーストリアの作家、エルフリーデ・イェリネクの作品を、
    宮沢章夫氏が演出。

    氏の過去作品『トータル・リビング1986-2011』や『夏の
    終わりの妹』の延長線上にあると思われる演出でしたが、
    やっぱり自身の作品と異なるためか、うまく言葉を拾い出す
    余裕がない印象を持ちました。

    ネタバレBOX

    『トータル・リビング』の最後の場面を彷彿とさせる、モノで
    いっぱいの舞台場。そこを4人の女優たちが、さらにモノを
    運びながらつぶやき続ける。そのつぶやきは、拾われ、
    舞台から客席へとエコーがけられて拡散していく。

    つぶやきの内容。それは意味のない言葉ばかりだけど、
    一人言葉を失ったと思しき女性が必死の思いで「私は
    記録するための紙もペンも無くしてしまったので、ただ
    覚えておくことしかできない」と、つっかえながら話す
    様子が恐ろしく印象に残りました。

    ストーリーはほとんどないに等しく、ラスト、舞台、向かって
    左手正面に差す光を目指して、まるでレミングの群れのように
    役者たちが歩いていくのですが、ちょっと安易すぎやしないかと。

    結局、イェリネクは海の向こうから日本を見ているので、
    どうしても距離を感じる。中盤、役者の一人が「ガイガー
    カウンター」の話を始めたときに、なんだかなー、と思って
    しまいました。

    こういう時って、「言葉を疑う」ことも必要だけど、寄り添える言葉が
    何よりも欲しいです。「震災」、もしくは「その後の世界」というテーマと
    向き合うには、イェリネクは観念的過ぎると思います。

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