満足度★★★★★
本質を捉えながら独自の解釈
賢治の世界を4次元というコンセプトで括り、この解釈に従って独自の世界を表現している点が創作者の主体的関与を表して小気味よい。余りにも当たり前のことで、殆ど誰も指摘しないが大切なことを言っておくと、作品が発表されたら、厳密な意味では、それは既に作者の意図を越えたものになっている。従ってそこから先、作品に起こることは受け手の解釈なのである。作品はそのものとして自立しており、受け手は己の想像力やロジックを最大限にして解釈する。今作では、ファーストシーンで、解釈宣言が行われ、その解釈に従って作品は、諸要素毎に咀嚼され、再構成されている。無論、原作の意図が、捻じ曲げられることはない。何故なら、原作の意図した所と向き合う為に、深く考え、作品と向き合って創られたことは、今作の隋所に現れているからである。(追記2014.1.1)