アカイキ 公演情報 アカイキ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    人は木
    衝撃的。いい天気だったのに。

    ネタバレBOX

    サエの記憶の中に子供の頃読んだことのあるはだしのゲンや、出身地である広島の原爆で死んだ同世代の女性タエの記憶が入り込んでしまって記憶が混濁したものの、幻覚の中で彼女たちの淡い恋心や辛い記憶を含む昭和20年の夏の日々を一通り体験したことによって意識障害が解消され、病気が遠因で別れたかつての恋人との関係も元に戻るのではないかと思われるような話。

    意識の中で再現された現実には日常があり、普通の恋心があり、戦時下ならではの悲惨な日常もありました。

    戦争で手足を奪われ傷痍軍人となったことを本人も家族も周囲も受け入れるまでの過程は衝撃的でした。戦争を仕掛けた人間の一族は前線にはいないということも強調されていました。そんな戦時下の苦痛を受け入れ、恋もしている広島の庶民でしたが、原爆で一瞬にして崩壊しました。赤い木とは燃えながら歩いている人々でした。

    数代前の先祖を介してサエとタエに遺伝子的共通点はあるかもしれませんが、少なくともサエはタエの子孫ではないのでサエの遺伝子の中にタエの記憶があるというのは無理があるように思えました。変な理屈付けをしないで、かつて読んだ本や見学した記念館の記憶が生み出した妄想で十分だと思いました。

    ゲンは一目でゲンと分かりました。回し蹴りを繰り出すサエとは凝った性格付けをしたものです。タエは丸くて純朴でした。

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