APAFアートキャンプ・特別レクチャー 公演情報 APAFアートキャンプ・特別レクチャー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    身体という劇場
     台湾発の舞蹈である。土方 巽らの暗黒舞踏とは、根本的に異なり、生命の外的在り様は、内面より勝るものではなく常に内外の衝突の取る均衡にあると考える為、エネルギーポテンシャルを内側に溜めて外に接するという在り様そのものが、皮膚一枚の緊張感となって、観ている我々にもびりびり伝わってくる。従って、ただ座っているだけの舞踏家が、実に躍動的で緊張に満ちた存在そのものとして観る者に注視を迫るのだ。
     現在までに今作を含めて3作品を創作。各々の作品は10年掛けて世界のあちこちで上演されて来た。現在、無垢舞蹈劇場の林 麗珍は、アルテの世界8大振付師の1人に数えられている。身体論も独自のもので、身体の部位を中心軸、中心円、尾骶骨に分けて考えている。そして座った状態で大地のエネルギーを受け尾骶骨を謂わばスイッチとしてエネルギーを徐々に上に上げてゆく。この際、中心軸は更に細かく8つの部位に分けられているのだが、ここではそれは省略する。何れにせよ、一旦、頭まで達したエネルギーを今度は、下放し更に逆転させるというエネルギー循環を繰り返すわけだ。このように身体を捉え、用いて行く為に、身体そのものは、頭によって支配されることから、幾分ずれる。そのことによって、身体そのものが謂わば劇場になっているのだ。そして、劇場化した身体を通して世界を観ずる時、世界もまた劇場化するのである。

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