[新制作] 死の都 公演情報 [新制作] 死の都」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    幻影
    ベルギーのブルージュを舞台に、妻を亡くした男が現実と夢の間で思い悩む姿美しい音楽と美術で描いた作品でした。

    妻の遺品を入れた箱(ハンス・メムリンクの『聖ウルスラ伝の聖遺物箱』を引用していました)や写真と赤いバラの花が大量に置かれた部屋に、妻そっくりの踊り子が訪れて心を惑わされるものの最後には現実を受け止める物語で、幻想的な展開が印象的でした。

    元々の指定があるのか、このプロダクション独自の演出なのかは分かりませんが、黙役が演じる妻の幻影が常に舞台上に存在することによって、三角関係が明確となり分かり易かったです。妻の声が遠くから聞こえてくるシーン(実際には踊り子役がステージの外で歌い、妻役は口パク)が幻想的でした。
    第2幕は本来は第1幕と異なる場所ですが、同じセットの中で演じられ、照明と背景で雰囲気を異ならせていたのが良かったです。

    舞台美術が素晴らしく、ブルージュの街並みの航空写真に模型を組み合わせた背景がパースペクティブの消失点が散在していて、リアルでありながら非リアルな、空間が捩れた様な不思議な感覚がありました。

    後にコルンゴルトがハリウッドで映画音楽の作曲家として活躍することを予感させる、ゴージャスで流麗な音楽が美しかったです。
    主役を演じたトルステン・ケールさんはあまり調子が良くなかったのか、声量が弱く感じられる場面が多く、ラスト直前でも声がひっくり返っていまって少々残念でしたが、全体的には演奏も良かったです。

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