ここでいいです 公演情報 ここでいいです」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    一見、脱力のコメディ
    なのだが、狂気のコメディでもある。
    名古屋の劇団、オイスターズ。
    とても好きだ。肌に合う。
    東京に来るときは絶対に見逃したくない劇団のひとつ。

    ネタバレBOX

    映画『幸福の黄色いハンカチ』をそのまま持ってきた作品。
    つまり、ファミリアに乗る男女2人の若者(映画だと武田鉄矢と桃井かおり)が、途中で出会った仮出所したばかりの男(映画だと高倉健)と、彼の妻の家に行くというストーリー。
    妻が男を待っているのならば、黄色いハンカチを外に出しているというところも、もちろん同じ。

    なのだが、ロードムービー的な演劇などではない。

    男は、家に黄色いハンカチが出ているかどうかを見に行くことをしない。
    シュレーディンガーの猫のごとくに、見に行かなければ黄色いハンカチは出ている、と主張する。
    途中、ハンカチが出ていないことを指摘されるが、男は自分が見ていないからわからないと無視する。

    フライヤーの写真は、オセロなのだが、主人公の男は白黒つけないままにしておく。

    彼らを取り巻く、ほとんど関係ない人たちが、男の訳のわからない理由により、無闇に巻き込まれていく。

    とてもシンプルな舞台装置で、時間の展開、省略など、メタ的な構造も特別なことではなく取り入れる。
    殺人を犯した男は、いとも簡単に人を殺めていく。
    そんなストーリーが淡々と進む。

    男は、ときおり、(映画では高倉健が演じた役だったので)高倉健のマネで台詞を言ったりするが、それについても誰も何も触れずに、知らない観客は気がつかないままにしてある。

    オイスターズらしい、きれいに力の抜けた台詞のやり取りがいい。
    これは、この世界観の中での会話は、どの役者もうまいと思う。
    男の妻が現れてからは、さらにかなり不気味な展開になっていくのだが、舞台の上は、あくまでも淡々としている。
    ゆるやかな狂気が、最初から最後まで舞台の上を支配する。

    しかも、笑える。
    狂気なのに笑える。
    かなり笑える。

    シュールなコメディ、とか簡単に言えないほど演劇的であるとも言える。
    他に類を見ない世界観。
    オイスターズっていつもこんな感じで、面白いから好きなのだ。

    満員御礼な客席でないことが、非常に残念無念。
    面白いのになぁ。
  • 満足度★★★★★

    当日パンフをみて、
    俳優と役柄を見て、「を?」と思ったけれど、
    観ていて納得した(苦笑

    本当に恐ろしい話をコミカルに演じるところが面白い。

    ネタバレBOX

    ラスト、奥さんの会話が元夫には意味不明だったり、
    紅い大きなシーツを垂らす伏線?はすでに出ている。

    主人公の元夫にとって、
    殺す対象は同じ人間にしか見えない。

    どうでも良い登場人物は、描写の服・靴に至るまでいい加減である(もっと普通の取り合わせをしようと思えばいくらでもできただろうに

    シンプルなセット、最小限の登場人物を
    最大限に生かし切り、逆に強みに替えてしまった(笑

    演出家の人は、非常に洗練された手腕があるんだと、観ていて良く分かった。

    異常心理なんかに興味のある人にとっては特に面白いんじゃないかな・・。
  • 満足度★★★

    よかった
    有名映画のラストを一つの劇にしてしまう力業に脱帽です。

  • 満足度★★★★

    占い
    面白い。80分。

    ネタバレBOX

    仮出所中の勇作(中尾達也)を車で運び、奥さんの家の近くまできた欽也(田内康介)とあけみ(吉田愛)。待っててくれるならベランダに黄色いハンカチを干しといてと、ムショから手紙を送った勇作がそれを確認しにきたのだが、あれやこれや理由をつけて見に行こうとしないでいる…。

    見に行こうとしないどころか、部屋まで借りて、通行人を殺害し監禁しって、人格破綻者な勇作を中心にしたストーリー。穏やかな欽也とイライラつっこむあけみとのバランスがいい。ヘンテコでいながら妙なまとまりがあって面白い。

    終盤の理屈へ理屈はそこまで魅力的には思えなかったけど、短めな時間で面白い会話劇を堪能できたという充実感があった。
  • 満足度★★★★★

    衝撃
     圧倒的狂気。げらげら笑える80分ではあったが、その実頭のねじのトチ狂った人間しか出てこない。胸がつまるような狂気の波動の応酬に、最終的には僕がおかしいのか世界がおかしいのか、誰が正常なのかもう分からなくなってきて、ああ、僕はこう言うのが本当に好きなんだなと思いました。

     こう言う人たちが芝居をやっていることをもっと早く知っていたら、僕は芝居をやらなくて済んだかもしれない。というかもうやめてもいいのかもしれない。やめないけど。

     はぐらかしに継ぐはぐらかし、でも最終的にはやっぱり悲劇に落ちつくのかな。どうだろう。僕は最後まではぐらかしつづけたい派なのですが。

    ネタバレBOX

     ゴドーを待ちながらの逆?

     待たせているほうが、待っていてくれるのか、待っていてくれないのかわからないから、分からないままにしておこう。という。

     シュレーディンガーの黄色いハンカチ。

     あけみの地味な狂気(おせっかい)とか、欽也のやさしい狂気とか、ああ本当に、真綿で首を絞められているかのような、苦しい時間でした。死にたくなりました。
  • 跳びを含む作品
     観測問題(シュレディンガーの猫のような)的な考えの会話がある程度続くと次は別の展開にと、その考えと次の考えの間に飛び石のように飛躍があり、考え方のすれ違いの積み重ねの上で話を紡ぎ出してゆく構成展開手法(従って、堂々巡りの展開にいらっとさせられることもあります)、また、時間の節約という跳びを含めたおもしろい演出は、とても実験的で独特なものがあったと思いますが、跳びが多すぎ暗中模索状態におかれているようで、はたして自分がどこまでこの作品をわかることができそうかどうか分かるには、まだ時間がかかりそうです。

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