満足度★★★★
星3.8(台本に難)
俳優陣、特に主演二人(身毒丸役市川洋平と撫子役花村雅子)の気迫が客席に伝わる。市川は最初のシーンから最後までテンションを落とすことなく、誠実に身毒丸と向き合っていたようだ。最初から苦痛を吐露する冒頭の台詞は心を打つ仕上がり。花村は、蛇女、撫子、継母との変化をつけながら美しい。天井桟敷、蜷川演出のイメージ強く撫子は妖女(怪)の印象が根付いていたが、「美しい」もアリだと気づかされる。撫子を演じるには良い年齢だったのでは。
山海塾石井則仁は、喋らないからこその身体の威圧をよく心得ていた。
実際の寺山台本には無い役で登場しており、台本上その役の登場に禁忌を感じたのは私だけか。石井の存在感を否定しているわけではない。
言葉のある舞台では無言が光る。役者にとっては手厳しい舞台だったのでは。ダンサーや歌のバランスをとっていたのは佐藤沙予だ。
これだけダンサーを使うのだから、役者が必要なのかも今後の課題ではないだろうか。
チームの纏まりはあったと感じた。
同方向を向く、慢心しない、は、観る者の心を埋めてくれる。