かぞくや 公演情報 かぞくや」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 満足度★★★★★

    琴線に触れる、という言葉がありますが、
    正にそんな舞台でした。私はコメディというより、世話物として見ました。レッツ・キッスのあたりから涙が止まらなかったなぁ。それは、昭和を反映した時代感のせいだったり、体温を感じさせる確かな演技のせいだったりするのだけれど、やはり現代の世相がこの脚本が書かれた頃より遥かに、孤独ということを実感させるせいだと思う。スーパーやコンビニにあふれるお弁当や総菜。長いことかかってそれを選んでいくお年寄りたち。昔は忙しい主婦が夕食のもう一品の足しに買った物だ。でも今は違う。みんながそれを知っているけれど、そして利用しているけれど、そこにある孤独には触れないようにしている。暖かなラストだが、そういう意味では鋭い視点で描かれた脚本だと思います。平日のマチネに予備の椅子が出るほどの盛況。だるま座すごすぎ。

    ネタバレBOX

    スカジャンの衣装が良かったなぁ。若い劇団員の人も育ってきていて、見応えありました。小道具が冴えてる!笑えました。
  • 満足度★★★★

    これぞだるま座!
    ホームグラウンドでだるま座の原点となる作品の再演。多少古めかしく、ちょっと強引な展開であるけど、これぞだるま座、と納得できる芝居でした。前回観た作品に不安を覚えたものの、これで一安心。

  • 満足度★★★★

    心和む作品
     少し前の作品の再演ということで言葉遊びというか駄洒落の鮮度はちょっと古いかなという気もしましたが、作品そのもののもつ感覚は今でも決して色あせることなくみずみずしいものであり、現代の家族のありようについて考えさせてくれながらも心を和ませてくれる温かい作品であったと思います。



  • 満足度★★★★

    憂き世の人情
     ”独り暮らしのお年寄りや単身赴任者、身寄りのない方など寂しくて心に隙間ができてしまいがちな方々のメンタルケアをする目的で設立させて頂いた、有限会社「かぞくや」御指定の日時に出張致します”
     まあ、こんなコンセプトの会社である。有限という所が憎い。失敗の責任を社主が負わなければならない形態だからである。株式にしてしまえば、基本的に経営サイドの利用者に対する個人責任は無いのだから。小学校時代に習った法律では以上のようになっていた。法律の専門家ではないので、変わっているとしても自分は関知しない。それは、株式会社と同じである。という選択ができない形で会社を立ち上げていることが微笑ましいではないか? 

    ネタバレBOX

     何れにせよ、だるま座の作品である。以上、述べたようなことは当然のこととして、芝居作りに当たっている。
     一方、いまどきこんな遣り方をしていたのでは、経営が苦しくなるのは必然である。実際、志とは裏腹に社長は料理下手、専務は、教本にしているスタニフスラスキーの俳優術を現場に持参、教本に従って盛んにおさらいを繰り返す。緊張を解く為にしているのだと思われるが、豈図らん乎。結果は、俳優術に縛られ、却ってスタニスフラスキーが理想とした俳優の身体から滲みでるような自然な演技とは真反対のコチコチのものになってしまう。結果、クライアントから来た余りの不評故に、現場出張からは遠のいていた。「頭では、分かって居るんだ」と「馬鹿と言うのは言う奴が馬鹿なんだ」が口癖である。この他、福祉専門の大学を卒業してこの会社に入った谷君は、要領を得ない。おまけにバイトでスタッフを務める金子君は、前衛舞踏家を自称、打ち合わせないなかったことばかりやってへまをやらかす。更に、TV番組の端役で緑のおばさん役をやった八木 メイは、その芸名を山羊だから、メイとつけられた らしい。何れにせよ、バイトでは女学生役ばかりやらされる彼女は「制服が何時も同じ」と不満たらたら。うら若い女性だが、緑のおばさん役で、本番に流れたのは何と手に持つ旗だけだった。それでもTV出演を鼻に掛けている。
    この5人が、「かぞくや」のスタッフである。このメンバー、この質で、やっている仕事が、メンタルケアとしての「家族」というコンセプトだから、笑いあり、ペーソスありハチャメチャありというのは、想像できよう。で、当然のことながら、新しく開拓したクライアントも怒らせてしまい、ギャラはおろか経費すら払って貰えない始末。このままでは来月倒産確実という所迄追い込まれ、社長が、全員を集めて教訓を垂れている所を通り掛かった鈴木 勝男君、北海道の孤児施設で育った彼が、興味を持って事務所のドアを潜った。履歴書も何も持っていなかった彼だが、社長との面談で即採用となる。と、そこへ新規のクライアントから電話が入る。社員は、無論、拘束できるのだが、バイトは、本人の都合優先でシフトが組まれているので、専務がメモを見ると、当日は2人共にオフ。急遽、新入りの鈴木君も現場へ出向くことになった。明日が、新規クライアント依頼案件の初日。クライアントは、事情があって、出先のお宅に身元を明かせない。出向く3人の誰一人として訪問時刻などの詳細を知る者は無かったが、老人を狙った詐欺事件などが横行する昨今、分別のある老人なら、おいそれと他人を信じたりしないのは当然。で、出掛けた3人は当然の対応を受けた。部長は、実際の現場の玄関ドアを潜る前に必死のおさらいをしていて、間に合わない、谷君の説明はしどろもどろ、唯一、鈴木君が、キチンとした応対をし、老人に気に入られた。因みに、既にお気づきの方もあろうが、鈴木は鱸に通じ、勝男は鰹に通じる。おまけに、出掛けた先は釣り船を出す漁師の家である。
     女房に先立たれた老爺、名を三井 金太郎と言う。独り暮らしで、自分で何でもできるのだが、自分が断れば、「かぞくや」が倒産すると聞いて、情に絆され、面倒を見て貰うよりは、逆に面倒を見てやっているような状態にも拘わらず、憂き世の憂いや独居の寂しさを紛らわしてくれることもあって、週1度の訪問を受け入れるようになる。その後の展開が中心の舞台となるが、31日迄上演している。ここから先は、観てのお楽しみ。金太郎役の松岡 文雄さんが、実に良い味を出している。(休演日があるので、注意のこと。)


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