夏ノ方舟 公演情報 夏ノ方舟」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    円版アングラ!?
    「アングラ」の定義は人によって様々だろう。
    正統(新劇的)な訓練によって作られた演技ではなく、人間そのものの存在を提示するのがアングラ芝居だと定義する場合、この作品はアングラ芝居ではない。

    円の役者たちの肉体や演技力は、強靭に鍛え上げられた、まさに役者が役を演じるということのプロの演技だ。
    そのため、表面的にはアングラ芝居でありながら、その質感はアングラのそれとも違う。
    この点を批判するか肯定するかで、この作品の評価は別れるのではないか。
    私は、この引き裂かれた感覚が圧倒的に面白いと思った。

    (作品世界は唐十郎さんの影響を強く感じた。)

    ネタバレBOX

    品が良いアングラといおうか、洗練されたアングラというか、、、
    こういう書き方をすると、体よく演じられたアングラ芝居と思われるかもしれないが、そういうことではない。
    その熱量は、アングラのそれと同様だ。
    洗練された中にある荒々しさは、ヘタなアングラ風味の劇団が表面的におどろおどろしくしているだけのものとは比べ物にならないほど凶暴だ。

    そう考えると、アングラかそうでないかなんて別け方自体がバカバカしくなる。

    結局、芝居が求めるものは同じなのだ。


    <内容>

    海を隔てた地にあるもの、そこへ向かうための方舟。
    この設定が、人が待ち望み続ける希望を寓意しているようにも見える。
    同時に、主人公が海を隔てた地から来た者であり、
    その者が、同じように虐げられる者を救いながら助け合って生きているという設定が、朝鮮半島から来た在日コリアンの生き様のようにも見える。
    それは、主人公の潮を朴璐美さんが演じていることとも重なる。

    現実と寓意が何重にも重なった物語。

    その作品の解釈という以上に、役者さんの演技の熱量に圧倒された。

    東憲司さん自身が手掛ける美術も素晴らしかった。
  • 演劇集団円版劇団桟敷童子作品
     昔の唐十郎作品のようなアングラ感溢れる熱のこもった作風の作品ですが、寓話劇という性格上作者の意図がはっきりと見えにくいこともあり内容に関しては好き嫌いが分かれるかもしれません。
     ただ、ほとんどの点で劇団桟敷童子の本公演に近い作りになっていて、ラスト直前の舞台上でのあの仕掛けは圧巻でした。

    ネタバレBOX

    難破寸前の方舟の甲板に見立てた舞台をあれだけ揺らし立っているのもやっとのなかで、なお素晴らしい演技をみせる姿に役者魂のようなものを感じ圧倒されました。

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