皮膜 公演情報 「皮膜」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     尺は約105分。華4つ☆ 恋人の存非についての台詞が曖昧である。寧ろ日時を端的に示した方が表現としてはスッキリするのではないか? 回り舞台には感心!

    ネタバレBOX

     板上には大小の円の円周上に歯を並べた木造歯車(回り舞台になっている)。居住空間内を描く際はテーブルや椅子等が配置され、その際ホリゾントに接す下手奥袖が出捌けとして用いられるが、客席側からの入退場もシーンによって用いられるのは、今作が3.11大震災と大津波に纏わる話だからである。
     登場人物は3名、男、男が愛し得た世界中でたった一人の恋人、そして男の実家から世間並に所帯を持って何れ孫の顔も見せて欲しいと願う実家の母からの電話と男同様親からせっつかれて結婚を望む女の3人。
     恋人と男は一緒に暮らしていたが、あの日2人は別々の行動をしており、明
    暗が分かれた。以来恋人は行方不明、男は毎夜夢の中で行方知れずになった恋
    人を探し彷徨っている。恋人は、その有様をつぶさに霊となっても見ていた。
     因みに男は生まれつきの欠陥から他者をその顔形から判別できない。判別するにはヘアスタイルやファッション等から判別しており世界で唯一愛することのできる女性がこの恋人であることも其処からきている。
     もう1人登場する女は、男の親同様年頃になったのだから普通に所帯を持ち孫の顔も何れ見せて欲しいと望む親の事情も慮って契約結婚を申し込んで来た女である。これら3者が各々の位相から不確実な世界の中で互いに結び合いたいと希求し合う物語である。一応、終盤では恋人の遺体も発見され男と契約婚していた女とのその後の件も折り合いがついての終演になっているから、少しほっとして観客は劇空間から立ち上がることができる。
     ところで3.11の地震の規模は甚大であった。その後の津波被害も並大抵のものではなかったことは遍く知られる処である。而も東電の原発被害は、これらの大災害に更に大きな困難を今に続く迄突きつけていた。今作ではこの最後の問題は描かれていないが史的にはこのエリアの地政学から大地震が起きれば大津波が起こりその被害規模が甚大であることはリアス式海岸の形状、海底からの深浅構造からも自明の事実であったし、郷土史にも記され地域の遺跡等にも記されていたがこの事実は国家のプロパガンダにより曖昧化されたのみならず殆ど振り返る者が無くなるほど無意識化されていたことも事実ではなかったか? 問題は未だ全然片付いてなどいない。

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