it’s too late. 公演情報 it’s too late.」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    公演期間が短縮され、台本の再構成などを経て上演に至った今作。作り手たちが元々想定していた形と異なる形で上演されたことは事実だが、それが「どの程度変わったか?」「どこが変わり、どこか変わらなかったか?」などは分からない。実際に上演された作品を観て、その変化について、推察できる部分もあるし、推察した上で「やはり分からない」部分もある。演劇が生き物であることを再認識すると同時に、こういう諸事情も許容する形で、演劇文化が続いていくことを望みたい。それでも「今」を上演する。その結論に至った団体を、僕は評価したい。

    ネタバレBOX

    ムリウイのコンパクトな空間、大きな窓、夜景などを活かした舞台美術になっていて、クラブのロビーというか、休憩スペースというか、そういう雰囲気が漂う空間になっていた。時折大音量で音楽が流れ、メインフロアでは爆音で音楽がかかっていることを連想させる。深夜まで踊りあかす元気な人々は登場せず、ロビーで酒やタバコをやりながら、ぐだぐだと夜明けを待つ若者たちが登場。疲れた脳と疲れた身体で停滞した会話を続けるが、後半に登場する「初めてクラブを訪れた女性(実は劇作家で、創作のヒントを得ようとしていた)」の存在が、その場の空気を徐々に変容させ、彼女が発した問いかけが波紋のように広がっていくーー。

    終演後に感じたことは、ある種の迷宮感。団体が迷った思考の迷宮を、そのまま演劇作品に組み込んだような印象を受けました。物語が入り組んでいる訳でも、テーマが入り組んでいる訳でもなく、この団体の特徴でもある筆の力も感じるので、むしろ物語は分かり易い部類に入る。それでも、観劇後に残るのは、迷宮感、のような気がした。おそらく、今回の上演に至るまでのプロセスや本人たちの思考を、SNSなどで説明することもできたはず。それをせず、敢えて「説明は作品内でさせてください」という意思を示したように感じる。それが、このタイミングで団体ができる最大の「演劇活動」だったのでは? そんな感想が頭に浮かびました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「盛り場の屈託」


     商店街を進み見逃してしまいそうなちいさい入口から階段を上る。屋上へ至った先に設けられた奥の扉を開けると、幕前ではなかなか聞くことのないEDMが嫌でも耳に残る。ここは各駅停車しか停まらない深夜のクラブハウスというのが本作の設定である。

    ネタバレBOX


     休憩スペースで仕事終わりのフジタ(宮地洸成)がタバコを吸いながらスマホをいじっていると、DJフロアから顔見知りのカワサキ(片平友里絵)が、恋敵に頭から酒をかけられたとボヤきながら入ってくる。同棲を解消したばかりというカワサキに「お前の元カノがDJやってるから気まずいだろう」と茶々を入れてくるソエジマ(日和下駄)がそこに加わる。以降この3人が出たり入ったりしながらよもやま話に興じるのだが、盛り場で顔見知りであるだけの関係性ゆえ容易に距離は縮まず、仕事や色恋など当たり障りのない話題がグダグダと続いていく。そこに、今日初めてクラブに来たというミヤノ(高橋あずさ)が姿を現すと空気が一変する。芝居の脚本を書く調査目的で来ているというミヤノは明らかにこの場から浮いており、生きづらさや戦争について真摯に質すも気まずい空気が流れるだけである。

     EDMが流れるなかひたすら酒とタバコ、ときにドラッグで延々続くよもやま話から、盛り場に行かざるを得ない屈託がふんわり浮かび上がる。台詞と俳優の間のとり方が絶妙であった。上演会場は屋上に設けられたカフェであり、この空間設定と音響が作品に貢献していた。ミヤノが加わってからの展開が短いため物足りず、ぜひ完成版を観てみたいと思った。

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