満足度★★★★★
日本は変わったのか?
戦国が終わりを告げた関ヶ原の戦いが幕開けである。合戦の前には法螺貝を吹き鳴らす効果音を流すなど演出的にはかなり凝っている。また今演出では演劇が総合芸術であるという謂われ方をしているのに対し、デザインの仕方なのではないか、という視点で取り組んでいる点も興味深い。実際、楽器だけでも和太鼓あり、パーカッションありでコラボしているし、ギターもエレキとアコースティック、他に琴、横笛(効果音?)、三味線などが、用いられ場面に応じて面白い使い方をしている。実は、越境も隠れたテーマなのである。
内容的にも17世紀初頭と現在を時間的・空間的に照応させている。事実、ここで描かれていることは、その革新性、党派性、組織とリーダー、支配者と被支配者、更には民衆との相互関係であり、体制派と反或いは非体制派との相克、実現すべき社会をつくるに当たっての展望の有無、その有効性、闘いの中での異論や分裂、味方と敵との線引きの難しさ、裏切りの定義は可能か? 等々、実際に戦った者にしか問題の本質が見えてこないような深読みがいくらでもできる内容になっており、また実際に戦う場合には必然的にぶつかる問題群なのである。一応、17世紀初頭を描いてはいるのだが、当に我々が、日々抱えている問題そのものだということができよう。
役者陣の殺陣も素晴らしい。