「戦隊物」に まっすぐ取り組んだことを称えたい
今日、戦隊物はパロディーとして描かれるケースが圧倒的多数である。
テレビシリーズで長く放映される「○○戦隊!○○レンジャー」を、コメディタッチに基づきパロディー化した舞台。
しかし、本作は中央大学ミュージカルカンパニーが公演する、生粋のミュージカル作品だ。
舞台は絶壁そびえ立つお決まりの荒地ではなく、町内にスケール・ダウンした。戦隊員もレッド、ブルー、イエローの3人に限られている。そして、お馴染みの“敵役”でさえ わずか2人。
全体的に まとまった、分かりやすい勧善懲悪だろう。
ミュージカルなので、歌って踊る。歌唱力はマチマチではあるが、マイクの拡声効果を使用しない“生声”としては十分なボリュームだった。
演劇+ミュージカルの、水と油が一つのお皿で区分けされた形は残念である。「ミュージカル」を提供するからには、もっと融合した形を目指すべきだろう。
役者に関して言及すると、モンドガール風の女性は極めてセクシーかつ、立ち振る舞いに威厳を感じ取ることができた。
もう片方の“敵役”も、衣装やメークは ともかく、非常に魅力あるキャラクター性だった。
“敵役”2人組に比べれば、戦隊3人は
「迷い」が あった。
どこかで客観視する自分がいたはずだ。観客から見た自分なのか、はたまた違うのか。私には分からない。
戦隊物をパロディー化しないどころか、真っ向から 描く舞台は滑稽ではある。
しかし、それは確実に観客の心に響く。