劇場版マサ子の間男〜ある小男の一生〜 公演情報 劇場版マサ子の間男〜ある小男の一生〜」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    腹の皮が捩れる
     一回だけの公演というのは勿体ない!

    ネタバレBOX

     何ともヒトを食った始まり方だが、音と言葉の間を巧みに操り、登場人物各々が持った懐中電灯で己を照らしたり、誰かを集中的に照らしたり、と暗転中の舞台に意味と無意味を立ち上げたかのようだ。無明を身体化してみせたと言ったら褒めすぎだろうか? 何れにせよ、導入部のインパクトは、非常に効果的だ。
     この後、関西弁、見事な英語、間の芸、幽霊の登場に因る滑稽場面などを鏤めながら中盤、終盤の始め辺りまで引っ張ってゆく力は圧倒的で、白鳥の湖、ボレロなどの名曲を使ったパフォーマンスは腹の皮がよじれそうなほど面白い。
     更に主人公の高校時代、パシリで盗みを働かされて、饂飩好きの自分に出会い、その後、大ヒット商品を生み出して、日本はおろか海外に迄支店を出すほどに成功するが、この時のCMの様子なども見物である。その箍の外し方の上手さ、微妙に垢抜けない微笑ましさ、絶妙のバランスには、甚だ感心させられた。更には、まるで無関係なホットパンツ姿の男性の踊りが名曲と共に紛れ込む。
     無論、意味など無いのだ! おまけにタイトルに関しても悪戯が仕掛けてある。「マサ子の間男」がメインタイトルのはずなのだが、マサ子も登場しなければ、女性も一切登場しないのである。寧ろ、サブタイトルの“~ある小男の一生~”が、この作品の全体を通じて描かれているものなのだ。
     惜しむらくは、この作品が最後迄、抱腹絶倒の喜劇として描かれなかった点だろう。サブタイトルの流れに落とし込んでしまった。最後迄、喜劇のバージョンを是非作って欲しい。これだけの力があれば、それも充分可能であろう。今回は最後まで喜劇でなかったので星4つにした。次回作に期待している。

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