公演情報
「天照と倭姫命」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
この団体が事前に提示してくれる公演コンセプトやあらすじなどは、とても丁寧で、かつ観劇の参考になるので、興味のある方は公演概要をご覧ください。公演チラシには「本作で挑むのは、神道を切り口とした、日本人のアイデンティティの再定義」とあります。これだけ読むと難解な印象が残りますが、実際の上演には、観客への配慮と見易さへの工夫が多く見受けられます。特に、シーンの意図と表現方法の因果関係が明確で、「いま何が表現されているか?」を想像しやすく、自分の意思で思考を巡らせることの多い、価値のある観劇体験ができました。
実演鑑賞
満足度★★★★
ラビネットは過去一度だけの記憶(肋骨蜜柑を観に・・渋い)。さて初観劇の劇団。
私の先入観は、社会的視点〜コンセプトから上演を立ち上げる劇団、というもの(学んだ手法に依拠して、ではなく方法そのものを探るといった創造への関心を・・コロナ期の頃読んだHPの文章か何かで勝手に想像)。
ゆえに、天照(アマテラス)と倭姫命(ヤマトヒメノミコト)と題して何を見せてくれるか、謎掛けがどう解かれるかを見届けるべく、凝視した。
古事記物語だろうか、両脇に三名ずつが座して楽器を鳴らせるエリアを据え(開演時には種々の楽器がおかれている)、幾種類もの打楽器や音階楽器の合奏。そして衣裳、美術、台詞も相まって神話世界を具現していた。
天照を祀るのに相応しい土地を探すよう大君に命じられ、旅に出た倭姫命。奈良、京都、滋賀といった土地土地を訪れ、民と彼らの祀る神に遭遇していく。「相応しい土地」とは何かも分からぬままの放浪。天照は神がかった存在。ナレーションは折節に「20年が経っていた」「30年が・・」と語る。倭姫の顔に年輪が刻まれて行く。
やがて伊勢の地に辿り着くと、実に40年が経っているが、その土地の者と神に歓迎を受け、そこで二人に同道してきた家臣の男とは離れる運命となる。祀られる場所には入れぬからと言う。
冒頭よりそれなりに興味深い物語叙述がしばらく(と言うか最後まで)続くのだが中盤、作り手の視点が如実に(私の感覚としては)海底生物が巨体を海面に現わす如く現れ、愛おしき物語として立ち上がった。
本作では出演者に外国の人が2名(英語と片言日本語を話す女性、クルド語?と片言日本語を話す男性)の参加があるのが特徴的。
神代における「約束の地」への放浪は旧約の民の放浪にどこか似ているが、島国日本=単一民族を定義する以前に、多様なアイデンティティを持つ民、土地を巡り、ある意味「平定した」天照による倭国成立の物語は、多民族の習合の末に為し得たワザと叙述される。天照は土地の神を排除する事なく、寛容を旨とした事など。そこへ来て現代性を帯びる演劇として立ち上がるのを見届け、自分なりの納得を胸に劇場を後にした。ここでしか観られなかった演劇。