虚言の城の王子 公演情報 虚言の城の王子」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
21-29件 / 29件中
  • 満足度★★★★★

    素敵でした。
    吉祥寺シアターの黒の舞台、階段、通路を生かし、白い本(鏡っぽい)が天井から複数吊り下げられているのが、浮かんで見える舞台美術が、シンプルながら、幻想的でとても良かったです。

    ネタバレBOX



    執事、メイドなど、メルヘンを感じさせる衣装がワクワクを掻き立て、ストーリーの決着をどうするのかと引き込み、役者さん方のやる気が気持ちの良い舞台でした。

    途中途中、物語世界の王子やメイド達が入ってくるので、どうしてもファンタジーへの期待を捨てきれないで見てしまうのですが、現実の中でもがくための話です。演技や音楽も意外に落ち着いた雰囲気でした。

    図書館で彼女との出会いを果たした主人公が、事故に遭って目覚めない彼女のために、今の自分達の現状も織り込んだ「おはなし」を書いていく筋で、おはなしの中に、おはなしを書いている自分も登場していて、というループ性もありました。

    配役表がなくて、役名に自信が無いので、「彼女」とか乱用で紛らわしくてすみません。劇中では皆さん名前有ります。
    サイドストーリーの、ダメ男な彼氏に絶望する女子大生のカップルが、よく有りそうで上手で興味深かったのですが、ミチルという捨て子の健気さが、一番ウルッときました。ですます調なのがまた…!

    多少違和感があったことも列挙しておきます。
    ・王子様のベストのサイズが合ってなくて、よくシャツがはみ出てしまうこと。
    ・主人公の彼女が、主人公の言葉に憎まれ口ばかりで、なんだか可愛げがなく、なぜ主人公がそこまで尽くしているのか恋人のみぞ知る、と感じた点。
    ・「彼女の弟」が、主人公に当たるシーンは、普通だったら、家族側は「他人なのにこんなに尽くしてくれて、そんなの悪いよ!申し訳ないよ!」という心理、キレ方になるのでは。
    主人公の尽くしに「余計だ。邪魔だ」は逆じゃないかなと感じた点
    ・主人公がキレて、大学生カップルの刃傷沙汰を続けさせたり、ミチルの飛び降りを手伝った時に、「幸せになりたかったんだろ?ほーら、幸せにしてやるよ!はい、幸せ!」という台詞だったが、結局刃傷も飛び降りも「逃げ」で城と同類なので、違和感。
    「続けさせてやるよ!」とかの方が良かったのでは。
    ・彼方はまぁ自己中というか、今時だと個人的に思ったのですが、状況的には彼方の兄が絶望してもおかしくないなと感じていました。
    彼方が城が見えるけど入れない時点で、先に兄が入ったら彼方ビックリするなぁと一瞬期待しました。でも兄は踏ん張ったようで、エールを送りたい。
    ・「幸せはお話しの中だけ」「ご都合主義は起こらない」と連発するたび、お芝居に浸りかけてた心がちょっと現実に引き戻されて切なくなる(これはテーマ的に仕様がない違和感)

    絶望があるからこそ、幸せがある。幸せがあるから、絶望が来る。ストレートなメッセージは優しかったです。
    客席は、女性ファンが多く、とても静かに見守っている感じでした。
    司書さん(スカート似合う)が、どんどん綺麗に見えてきたのが印象的です。
    とても真っ直ぐなお芝居が、落ち着いて心に届く、トータルバランスの良い公演でした。
  • 満足度★★★★★

    じゃあお前はどうなんだ!
    素敵な舞台衣装、先ずは見た目綺麗でした!

    ネタバレBOX

    白と黒のチェック柄のアイテムは、帽子のカーブや大きさなどとってもメルヘンチックで見た目が綺麗でした。王冠もしっとりした金色の布地でできていて上品でした。

    例えば、ヒモ男に付きまとわれていたことに気付き、包丁を手にした女性は王子によって物語の中のお城に連れて行かれ料理人になって幸せに暮らしました。しかし、実際は絶望した女性は男を刺していたのかもしれません。もしそうだったとして、刺したことは刺したとしても、もしかしたら刃先がポケットのスマホに当たっただけで無事だったという奇跡が起きていたかもしれません。

    全ては交通事故で植物状態となった恋人に付き添っている男の書きかけの童話の世界の話です。現実に目を背け、ハッピーエンドに向かう内容ですが、良い方向を願い実現させることが悪いわけでは無いことをお芝居の中で散々主張していました。可能性がゼロでもありませんが、何でもありのパラレルワールドはやはり注意が必要だと思いました。回数的にはギリギリOKでした。

    他人のダーク面をメルヘンで加工していた彼でしたが、じゃあお前はどうなんだと思いました。恋人の弟が言うように、彼氏という立場と親族という立場は違います。逃げることができるのが彼氏の立場です。恋人の許を去るようなことは一切考えなかったのか、あまりにも善人すぎて、彼が自分のダークな面を一切見せなかったことは不満でした。

    物語の中の嫌な人が現実にドジ男として登場したことは、彼の物語の世界と現実が交錯する、メルヘンの世界が現実になる、即ち恋人が目を覚ますというハッピーエンドを示唆していて温かい希望が持てました。

    ところで、彼女がスリッパを履いたままベッドに入ったのは変でした。その後の演技に必要なのかと思っていましたが全くそのようなことは無く、不衛生でもあり理解不明でした。
  • 満足度★★★

    ほさか節が足りない…
    DVDで「遠ざかるネバーランド」、「深海のカンパネルラ」「組曲『回廊』」に続き、空想組曲の作品を拝見するのは4タイトル目。
    空想組曲作品としては10作品目、今までの集大成と耳にしていたこともあって、…期待しすぎてしまったかもしれない。
    ずっしりダメージ受ける覚悟をしていたから、希望に溢れた優しいお話で拍子抜けした、って言った方がいいのかな。
    後方の席から、照明等、舞台全体の世界を味わいたい。

  • これぞダークファンタジーの決定版
    新世代ファンタジー作家「ほさかよう」さんの直球が走ってます。キャラメルボックスの成井豊さん、元・遊気舎の後藤ひろひとさんの作品にシビレタことがある人にオススメ!

  • 満足度★★★★★

    心にしみわたる
    いい意味で裏切られました。
    暗く歪んでるのかと思いきや、真っ正面で向き合う舞台でした。

    上演中は決して静かなわけではないのに、見終わった後は穏やかに心地良くなれる不思議さはまさしくファンタジーなのかも。
    登場人物の真摯な姿に胸を打たれ、帰り道も油断すると涙がこぼれてくる始末。

    とても良い舞台を見れて本当に良かったです。

  • 満足度★★★★★

    かっちりとした構成内容に
    ふさわしい舞台美術がすばらしい。吉祥寺シアターは本当に美術が難しい劇場だと思いますが、内容にふさわしいシンプルな美術で、しかも芸術に走りすぎることも無く、演技をよく引き立てていたと思います。内容もすばらしかった!この劇団のカラーのダークファンタジーの領域を軽くクリアしていて、びっくりしました。現代の不安、愛する者を失う恐怖、言葉の空疎さと力、これらすべてに傷つき悩みながら、しかも希望に到るプロセスがよく描かれていて感動しました。何だか久しぶりに力のこもった、演劇を真正面から捉えた舞台を見たような気がします。内容や演技もすばらしかったけれど、この脚本を書いた作者の真摯な姿勢に敬意を覚えずにはいられません。

  • 満足度★★★★★

    最高傑作
    ライトなものからヘビーなものまで何本も観てきたほさかよう作品だけど、個人的に今回の芝居が一番ぐっときた。舞台は何百本も観てきたが、「演劇ってすごい」と改めて思った。

    ネタバレBOX

    眠り続ける姫を起こすため、真実のハッピーエンドを模索する王子。
    販売パンフのほさかさんの挨拶「物語は誰かを救う」がそのまま具現化されたような舞台。バラエティ豊かな役者達が全員同じ方向を向いて、本気で世界を救おうとしているように見えた。
    途中いきなりはじまるミュージカルに爆笑。主役の一人語りに涙。
  • 満足度★★★★★

    言葉が追い付けない
    前回・前々回・それ以前からずっと、次作に対する期待のハードルを上げては乗り越え続けているのに、今回もまた予想をはるかに越えられるという事実が、ただただ不思議。

    そりゃぁまあ、トリプルカーテンコールにもなりますわ。

    2分でかいつまんで説明はできない濃密さなのに、のめりこんだままラストまでスピーディで一瞬たりともだれないのに、余韻はゆったりとして、作中で泣いたのに、後から後から回想が追いかけてくる。

  • 満足度★★★★★

    とてもいい。
    チケットの販売方法が不満で、アンケートの裏に恨み辛みを書きまくって来てしまいましたが、作品は凄く良かった。「遠ざかるネバーランド」「ドロシーの帰還」「深海のカンパネルラ」「回廊」と観ていますが、今作が一番ジーンと来たかも。かなり泣ける。泣きたい人居たら オススメ!

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