ボン・ヴォヤージュ 公演情報 ボン・ヴォヤージュ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.3
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    てっちゃん
    男性3人芝居で、寝台特急あかつきが廃止になる日に起こった、少し情熱的な思い出、みたいな話。1時間。

    ネタバレBOX

    登場人物は、健全で爽やかな鉄道マニア主人公(撮り鉄)、紛い物の松茸を売る会社のサラリーマン、ネズミ講の仕事をしてるけど意中の人と結婚することを選ぼうとする、主人公幼なじみ。

    野心家の幼なじみは、結婚のために当選宝くじを盗む算段を立て、主人公と山分けする約束をします。サラリーマンも実は幼なじみの彼女の兄で、計画を知ってる様子。それぞれちょっと裏取引や腹に一物ある感じで、とぼけあったり意気投合したりします。

    サラリーマンも幼なじみも、完全な悪人ではなく情けなさを抱えた描写で、人生観について語ったり、あかつきとの思い出を語ったりするのが挟まっているので、田舎設定と相まって、のどかな感じです。主人公があかつきや友人に対して、純粋な、ぶれない思いやりがあって、後味が悪くありませんでした。
    さっぱりした気分になれました。

    アフターパンフレットに、あかつき号の停車駅が路線図になっていて、ワクワクしました。結構行ったことある地名が登場して嬉しかったりも。
    鉄道マニアの分類の説明は、ジャンルがあまりにたくさん有りすぎて笑えました。撮り鉄と乗り鉄と時刻表鉄だけ覚えました。

    COREDOのbarの机と椅子を悠々と独占して部屋中央を眺めるは思ったよりずっと快適でした。ついでにホームページで公演開始時間が分かりにくかったのは、勿体無いと思いました。ここCOREDOは立地的にも、通りすがりで分からないので、広報がんばった方が良いと思います。

  • 満足度★★★

    最後はほんわか
    なごみました。

    ネタバレBOX

    鉄道好きの男が、最後の運行となる寝台特急あかつきの写真を撮りに行くまでのあいだの出来事。

    サスペンス的要素があって、不条理的でもあり、ファンタジー的でもあり。
    でもそれらのどれでもない。
    単なる現実味のない物語、ということなのかしら。
    ぼくとしてはもっと不条理感が出ればいいのになあと思ったり。
    昨日観た不条理劇『すなあそび』の影響でしょうか。

    登場人物ももっと変な感じだったらよかったのに。
    みんな、普通のいい人たちだった。

    セールスマン役のひとは、キャラクターが面白かった。
    でも滑舌(発声?)が悪くて、セリフが聞き取りにくかったような。
    息が声にならず、抜けてく感じというか。

    客席が暗くなってないから、舞台の両側に観客がいると、やっぱりどうしても向こう側の観客の顔(反応)を見てしまいますよね。
    それで舞台に集中できないところもあったような気がします。
  • 満足度★★★

    優しい男たち
    互いに裏切り裏切られる3人の男たちは、同時にみな何かを信じている。
    “犯罪もの”と言うにはちょっとユルイ展開だが
    誰かを裏切っておいて自己嫌悪に陥る、どこか善良な男たちのキャラや
    前後する時間の見せ方に工夫があった。

    ネタバレBOX

    乃木坂駅から地上に出て隣のビルという余りの近さにちょっと感動して地下へ降りる。
    受付を済ませて中へ入ると、壁際にピアノが置かれている中央が舞台スペースで、
    それを挟んで二手に分けて客席が作られている。
    小さなカフェテーブル2つに椅子が3つ、そこにひとりで座るという贅沢な空間。
    コートや荷物を置いて当日パンフを広げ、ゆっくり始まるのを待つ。
    開演10分前までバーカウンターでドリンクの注文も可能。
    隣の席と離れているのでもぞもぞ動いても構わないし、リラックスできる。
    当日パンフには"寝台特急あかつきが辿った道”として
    京都から九州までの駅名が書かれており、眺めていても楽しい。

    舞台スペースには木製の椅子が数脚あり、後にこれが駅の待合室や列車の座席になる。
    登場人物は3人の男たち。
    撮りテツの男(水本貴大)・・・廃止になる寝台特急あかつきの写真を撮りに諫早駅へ行く。
    セールスマンの男(奥田満)・・・怪しいキノコを売り付けて商売している。
                    妹の連れて来た結婚相手が気に入らない。
    ネズミ講の男(宮崎泰樹)・・・結婚したいがために彼女の兄の言うとおり
                   アコギな化粧品販売を辞めて出直すつもりでいる。

    結婚したいネズミ講の男は、当面の生活資金を得るためある犯罪を思いつく。
    撮りテツの友人にはあかつき存続のために資金が必要と偽って協力を持ちかけ、
    彼女の兄には仕事を辞めて人生を変える自分を認めて欲しいと説得に行く。
    ところが兄は男の飲み物に睡眠薬を入れ、
    撮りテツは協力すると言って、実は実行していなかった・・・。

    撮りテツが進行役になって状況を説明するのが判りやすくて良かった。
    水本貴大さんは進行と撮りテツの切り替えがスピーディで明確。
    ただ時間を巻き戻して過去を再現する時に照明の変化もあったら
    もっと判り易かったと思う。
    会場の都合で細かい照明は難しかったのかもしれないが。

    ネズミ講の男が、自分が社長をしていたネズミ講の仕事を辞めてまで
    結婚したいというその熱い台詞がとても良かった。
    それを実現するためには資金が必要で、だから知り合いの当たりくじをすり替える
    というのがちょっと姑息だが人の良さが透けて見える。
    宮崎泰樹さんは、必死のあまり自分が何をしているのか俯瞰できなくなった男の
    一生懸命さと可笑しさをにじませて上手い。

    奥田満さんは冒頭ちょっと硬さが見られたが、次第に妹思いの兄がなじんできた。
    妹の相手を嫌う理由が、“自分と似ているから”というのが面白い。
    良心の痛むような仕事を嫌悪しながらも、
    そこから抜け出せなくなっている自分とそっくりだと言うのだ。
    そんな男が妹を幸せに出来る筈がない。
    だからこの結婚には反対だと言うセールスマンに撮りテツが語りかける。
    「似ているから、妹さんは彼を選んだのではないか」

    その撮りテツは、約束を破って犯罪に協力しなかったことを
    ネズミ講に話せばきっと判ってくれると信じている。
    この辺りの心理が優しくて細やかなので、展開のユルさも帳消しか。

    ゆったりした空間って気持ちいいなあと思ったし
    こういう所でショートオムニバスみたいなのを休憩・ドリンク挟んだりして
    観賞するのも楽しそうだなと思った。

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