『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』 公演情報 『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『100歳の少年と12通の手紙』
    映画版が2010年に日本公開される前、「神さまとお話しした12通の手紙」のタイトルで本が出ていた頃に読んだことがあるが、今回のラボ公演の「生命の尊厳」というテーマに相応しい作品。ローズ役の山本順子がとても良かった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    両作品を鑑賞。
    病気を核に、異なるアプローチの2作品を楽しめる。
    個人的には100歳の少年のほうがシンプルに好きかな。少し翻訳劇特有のもったりした感があったかもしれない

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『ベイビーティース』

    タイトルの意味は乳歯。ミラは中学生なのにまだ乳歯が残っていてグラグラしている。

    精神分析学の創始者、フロイトは生物が根源的に持つ生へのエネルギーの正体をリビドー(性的欲望、性衝動)だと定義した。全ての人間の行動の原理はこの変形に過ぎないと。(その後、晩年にフロイトはエロス〈生の本能〉とタナトス〈死の本能〉を提唱する。)
    今作はそれを踏まえ、生きるということの表現に性欲を表出し解り易く提示。伊丹十三みたい。

    オーストラリアのリタ・カルニェイによる2012年の戯曲、2019年に映画化された。映画ではミラは高校生にされている。

    難病を抱える中学生のミラ(髙宮千尋さん)、精神科医の父親ヘンリー(脇田康弘氏)、精神が不安定な母親アナ(小澤英恵さん)。駅のホームで意識が遠のき鼻血を出すミラ。ベンチで見ていた薬の売人モーゼス(藤田一真氏)が自分の服で拭ってやる。「御礼という訳じゃないが少し金を貰えないか?」金目当ての半グレ。ミラはヴァイオリンのレッスン代50ドルを渡し「髪を切ってくれ」と頼む。

    死を前にした少女の最初で最後の恋、ままごとのような。それにしても相手は屑過ぎた。父親も母親もうんざり。だがもう時間がない。猶予はない。「せめて娘を傷付けないで」とお願いするしかなかった。

    余りにも小澤英恵(はなえ)さんが凄すぎ。「どうしてもこの役をやりたくて復帰した」とのコメントがあったがそれがよく伝わる。冒頭から落ち着きがなく躁鬱が交互に押し寄せる不安定な女性を表出。しかも一人娘は治る見込みのない死の病を抱えている。どうしたらいいのか分からない母親の苦悩。患者待ちの旦那に不意に性行為を求め、パンティを脱ぎ捨て服をはだけブラジャーだけになる。暴発する感情の制御が効かない。妙に性的魅力に溢れていて娘のヴァイオリン教師のギドン(河内浩氏)は下心を隠さない。怒濤のキャラクター像はまさに「ブレーキの壊れたダンプカー」。
    異儀田夏葉さんに演技の感覚の種類が似ていると思った。原日出子や藤田弓子系の美人。この人の作品はもっと観てみたい。
    ※ゆで卵丸呑みは白身だけの奴を用意したのだと思う。

    お隣に越してきた妊婦トビー(稀乃さん)はいつも愛犬ヘンリーを捜している。その妙な人懐っこさに隣家のヘンリーも悪い気はしない。
    稀乃さんは辺見えみりみたいな美人。『カタブイ、1995』の沖縄防衛局職員だった!

    いつもヘッドフォンを着けたまま夜遅くまで一人でうろついている少年トゥオン(長島安里紗さん)。高名なヴァイオリン奏者の方に特別出演して貰ったらしい。
    ネグレクトのベトナム人移民設定らしいが判り辛い。
    第二次世界大戦前後、ソ連による侵攻併合を受けてラトビア人難民の多くはオーストラリアに移民した。ヴァイオリン教師ギドンはそのラトビア人移民。演ずる河内浩氏は饒舌な吉幾三みたいな狂乱キャラに。ノリノリ。
    今作の作家もラトビア系、父親がラトビア人移民。

    藤田一真氏は『少年Bが住む家』の保護観察官役。今回は真逆の役を巧くこなす。内面を全く見せない男。キッチンで煙草に火を点け、小澤英恵さんに見付かり「家の中は禁煙よ!ここでは吸わないで!」が何度も繰り返される。

    髙宮千尋さんはいつもぼんやりと何処かを見ている。目の前ではない何処か彼方を。

    場内スタッフ、客席誘導員のスタッフとして清水直子さん、志村史人氏、斉藤淳氏···とは豪華過ぎ。全員主演クラスの看板俳優、世が世ならスーパースターだよ。恐るべし俳優座。

    ネタバレBOX

    誰もいない診療室でヘンリーは自分にモルヒネを打っている。偶然入って来たアナはそれを目撃してしまう。病がどんどん悪化、酷い苦痛に耐えかね何度も鎮痛薬を求める娘に致死量の薬を渡したこと。錠剤の数次第で死ぬことが出来ると。愛する娘にそんな処方を決断せざるを得なかった父親の苦悩。患者を治療することが職務の医師が人に見せてはいけない苦しみ。モルヒネで麻痺させるしかなかった。「これについての話はまた今度だ」。脇田康弘氏の名シーン。

    最後の夜、ミラはモーゼスに頼む。枕で自分の顔を押さえて窒息死させてくれと。多分、苦しくて暴れるだろうけれどそれは肉体の本能的なもので私の意思ではない。私は死んで楽になりたい。何度も拒否し続けるモーゼスだったが到頭ミラの抱えた耐え難い苦痛を受け入れ、言われた通りにする。枕を当て強く押し付ける。長い沈黙。しばらくして手や足が痙攣。ずっと押し当てる。更に酷く暴れるようにジタバタするミラ。それでも放さない。力を込めて押さえ続ける。押さえる。押さえる。押さえ···、急に手を離し二人は抱き合ってキスをする。「ほら、今ので歯が抜けちゃったわ。」
    涙が零れる名シーン。この作品の全てがここに凝縮されている。髙宮千尋さんと藤田一真氏はこの一瞬の為に全てを紡ぎ続けた。

    その後トイレに立つ時、ミラは手話で虚空の誰かと話す。

    観客の感覚としては、ギドンのエピソード、トビーのエピソードが唐突で流れに自然に嵌まっていない違和感。逆に一番観客が気になるミラとモーゼスの話が薄い。

    ギドンの叱咤からアナは何かに気付く設定なのだが、ギドンのキャラがどうもよく分からない。何か観せたいもの伝えたいものが饒舌過ぎて観客に誤解を招いている。

    実は母親アナの設定はプロを目指していたピアニストで結婚出産を機に断念したらしい。それからずっと弾こうとしなかったピアノをラスト、弾いてみる。

    場面転換が暗転してのセット替えばかりなのでテンポが悪い。『存在証明』のようにカットとカットの繋ぎを工夫して貰いたい。複数のシーンを並列させ役者の移動だけで成立させたり、フェード・アウトとフェード・インを重ねたり、台詞の独白中に時間を経過させたり。結構強引なことをやっても面白ければ観客はそれを支持するもの。

    ただ、劇団のアトリエにて何の制約もなく演出家の気の済むまで自由にやらせる空間も素晴らしい試みであることは確か。心ゆくまでやりたいようにやってみて、という劇団総意のバックアップ。この社風だから人は育つのかも知れない。

    Manic Street Preachers 『Hiding in Plain Sight』

    穏やかな行進に連なっている
    雨の中に君が立っているのが見える
    そう、これが終わることは解っていた
    いつどこで終わるのか知らなかっただけ

    穏やかな行進に連なっている
    どうか僕を連れ戻してくれないか?
    かつて爪先を砂に浸し
    走っていたあのビーチへと
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ベイビーティースを鑑賞したが、なかなかつかみ所のない作品。一本のストーリーはあるのだが、薬がやたら出てきたり、心理的に不自然にしか思えない場面があったり、ストーリーにおける役割の不明な登場人物が現れて絡んできたりと、なんだかよくわからない。あの音楽教師は何?敢えてあっちこっち脱線するような作風の作家なのか?余計なことは考えず、純粋に演技のみを楽しむ観劇スタンスが良いのではないか。事実、俳優たちは演技に優れており、それが作品を鑑賞に耐え得るものにしている感がある。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『100歳の少年と12通の手紙』

    白血病で入院中の10歳の少年(田村理子さん)。骨髄移植手術をするも生着不全にて打つ手がなくなる。医師(深堀啓太朗氏)は両親(八柳豪氏&荒木真有美さん)を呼び余命宣告。ショックを受けた両親は少年に会うことなく帰宅。それを隠れて盗み聞いていた少年はそんな両親の態度に深く傷付く。本音を隠し取り繕った笑顔で空虚な綺麗事ばかり並べる嘘つきの大人達にはもううんざり。唯一ボランティアで小児病棟に来ている飾らないローズさん(山本順子さん)だけが信じられた。

    ローズさん役山本順子さんが最高。彼女の突飛な発想とアイディアで少年の世界の受け止め方が変わる。MVP。
    主演の田村理子さんは抗がん剤の副作用で脱毛している設定。眉を剃り、髪はニット帽で隠す。高橋由美子みたいに目が大きく、くりくりしているのでそんな姿も愛らしい。
    少年の恋するペギー・ブルー役は安藤春菜さん。ちょっと大島優子っぽい。

    元はフランスの小説で翌年一人芝居として上演。更に作家自身が監督として映画化。日本で二人朗読劇として上演されたこともあるが今回は複数の人物が登場する舞台としての演出。少年のベッドとしてキャスター付きテーブルをあちらこちらに移動させて大活躍。三方向の客席にシーンを楽しんで貰わないといけない。可動式のドア枠もいろんな場所で様々なドアになる。

    死を前にした何も信じられない少年に果たしてローズさんはどうやって人生を満喫させるのか?
    想像以上に面白い。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    ローズさんは自称元女子プロレスラーで世界チャンピオン。世界中を旅し数々の難敵を下してきた。そのエピソードが面白い。三つ子のヴェネチアン・マスクマンとの対決では八柳豪氏、荒木真有美さん、深堀啓太朗氏が扮した。

    残りの12日間を一日10年と換算して120年。10歳の少年は人生の全てを味わい尽くす。そして神様への手紙。一日一つだけのお願い。

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