『ガチゲキ!! Part3』 公演情報 『ガチゲキ!! Part3』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    最終日の14日は19時より審査会。結果がその日の内にサイトに挙げられていた。
    ふむふむ。そうかそうか。
    当初の印象では一位だるめしあん、二位鋼鉄村松という所であったが、その二団体が逆の順位で優勝と観客賞を獲得。だるめは劇作賞(これは当然に思える)、他に演出賞はほしぷろ、審査員賞がエンニュイ、俳優賞は審査員4名が俳優4名を選び、獲得数で3名が同立受賞(ほしぷろ出演の二人、鋼鉄のシャイロック役)。
    本企画のプロデュースがだるめ・坂本氏でもあるので、賞金のある賞が他団体に決まった事には安堵した。

    さて芝居については、ネタバレにて。

    ネタバレBOX

    順不同で書いてみる。

    露と枕・・俳優陣の中に滝沢花野女史を見出し、全体に俳優力を見せた布陣であったが、リアリティ消失スレスレな所で40分を駆け抜けた印象。終演後に「お気に召すまま」の後日譚として書いたと知り、原作については不知(どこかで一度は観たかもだが思い出せない)なので、知って観たとてである。あるカップルが離婚すべきか否かで右往左往させられる旧友たちの様を、さほど違和感もなく見た。離婚式?え?・・との最初の疑問も、仲良く別れるので皆に立ち会ってほしかった、の一言で解消。その後、妻の方が離婚を撤回すると発言した時点から、夫婦の元々の関係性や他の友人たちの過去と現在も一つずつ見えて来る。一点、展開の緩急のためだろうけれど、「男全員とヤッていた」女がその場に友人として居合わせる不自然は厳しいものが。人物らのモデルが原作にあるとすると、読んでいないと翻案の味として咀嚼できない。何かに怒っていて、にも関わらず斜に構えた物言いもする別の女性は、他との関係性が見えづらかった。暴力に訴えるタイプだと言われる男性は現在は大人しいキャラ、だが何かのきっかけでプッツン切れて、煮え切らない夫(離婚する)に詰め寄るのが唐突だったり、細部でリアルが萎えそうになるが、別の人物の台詞で持ち直し、離婚を「する」という結論を「好ましく」迎え入れるラストを作り出せていた。
    ほしぷろ・・ある劇作りの現場、という事になっている。演出者(主催者)がおり、キャストに招いた二人に指示を出している。二人は青系の体操着という衣裳で、簡素な舞台上では視覚的に(色彩的にも)淋しく感じてしまったが、二人で「トロイラスとクレシダ」を演じる=演じさせられる、演出=演じさせる、という非対称な関係が視覚的に一目瞭然ではある。原作が描く「戦争」が、効果音とも相まって作品に影を落としており、沙翁作品のイメージなのか、それを上演しようとしてる現場・背景である現代を装飾しているのかが不明、というより、両方に掛けている意図がそこはかとするため、舞台を一つの目的へ収斂させる「意図が強い」と感じた。演者はうまく演じており、逃げ出した二人の後を仕方なく埋めるため演出が一人で芝居を続けて最後に至る。憾みは、やはり原作を知らないと語られるストーリーがうっすらとしか見えない。が、演劇の批評性を信じた製作には観る者を「襟を正さねば」と言う気にはさせた。
    (一応全団体書くつもり。つづく)
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ガチゲキ感想
    ほしぷろ✕劇団だるめしあん

    ネタバレBOX

    ほしぷろ
    『名前がカタカナの難しい人たち』
    構成・演出:星善之
    原作:『トロイラスとクレシダ』

    舞台が始まるとジャージの人物が二人。
    シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』の人物表を読み上げる。
    手にしているのは小田島訳と松岡訳。
    片方はプリアモス、片方はプライアム。あれ、違う。
    的なシーンだ。シェイクスピア翻訳あるある。このシーンが体感結構長く、展開としては同じ調子なのが観劇の出足としては痛かった。

    演劇部的な二人が、顧問の先生っぽい人の与える「シェイクスピアの『トロイラスとクレシダ』を二人で上演せよ」という無茶ぶりに翻弄されたりやってみたり、という展開。

    舞台開始から、劇場には現代の戦争のような音が間断なく流れている。

    この状況で、舞台上で起きている事をどう観るか、というのが観客投票によって大きく異なる作りだなと思ったし、刺さる人の方が少なそうな試みのようにも思える。
    演劇バトル・ガチゲキというある種のエンタメイベントにおいてこの球を投げてくるというのは、相当にぶっとんだ作り手なのだと思う。

    見え方として一番濃厚なのは
    国家(=先生)とその国民(=部員たち)
    という印象だ。

    先生らしき人の言うままに、部員は『トロイラスとクレシダ』のシーンを演じ始める。
    一人が何役もやる、という形態は私はとても好きなのだが、舞台上では「そんな無茶な」という前提の元に、おざなりな「やらされてる感」の強い演技が続く。
    この感じが結構長いのもまた、観ててちょいとしんどいポイントだった。
    シェイクスピアの台詞を、一人で何役も。もっと楽しそうにやってほしい。という思いと、いや、国家と国民を被せているとしたら、これが正解か、という思いと色々複雑である。

    先生の無茶ぶりについていけなくなった生徒らが、「一人でやって下さい」と舞台を降りていく。
    やってられない世界、への叫びのような物は感じる一方、世界のやってられなさをそのまま「やってられなさ」として投げつけられた感がある。
    「じゃあどうしたら」は私たちが持ち帰る問題ではあると思う。
    劇場から出た後にじわじわ効いてくるタイプの演劇だと思った。
    観客投票が観劇後すぐ行われる、という形式においては、極めて不利な演目のように思う。投票までに咀嚼し切れない。
    私が観た日の投票では圧倒的に負けていた。それすらもどこかで「人は分かりやすい答えに食いつくからね」と微笑まれているような気がする。
    やっぱり、相当にぶっとんだ作り手な気がする。審査員評に強そうだ。

    ただ、世界情勢が混迷する中、戦場音が流れていると、リアルが舞台空間を凌駕しているので「演劇観てる/やってる場合か」という感情が先行して掻き立てられる気がした。
    イヨネスコの戯曲とかを読んだ際の、「何だこりゃ」感にとても近いものがある。なんだこりゃ。



    劇団だるめしあん
    『死ぬばかりの君たちへ~シェイクスピア♂️学園~』
    作・演出:坂本鈴
    参考作品:『ロミオとジュリエット』『マクベス』『ハムレット』『オセロー』『十二夜』

    そしてほしぷろの後に劇団だるめしあんだ。
    シェイクスピアの登場人物たちが集う学園をテーマにした乙女ゲー厶の中に腐女子二人が入り込んでしまう。
    全ヒロインに死亡エンドが待つ中、その運命から逃れられるのか?

    という、ノリも温度感もほしぷろとは対照的な演目だ。
    設定がアホらしくてすっと観られる。味つけもエンタメ色で、正体不明の食べ物かも分からない物体を出された後だと、とりわけごちそうのように見える。

    ただこちらも、食べやすいごちそうの見かけをした劇薬だ。
    物語が進むにつれ、やはり世界への叫びが展開される。
    個人の、中年の、叫び。女性の、叫び。世界の仕組みへの、叫び。
    その構造の分かりやすいボスキャラとして「女性蔑視の権化・シェイクスピア」を置くことで、それを乗り越えていく主人公たち、という姿を分かりやすく観る事が出来る。
    このアホから主張へのシフトがとても上手い。いつの間にやら引き込まれて、主張に共感しやすい下地が出来ている。
    わりとゴリゴリした主張をバリバリ戦わせる後半だが、とても受け入れやすい。
    前に観た同劇団の『ラブイデオロギーは突然に』(とても良かった)の方向性と共通の物が根底にある。
    いつのまにか涙を流し、世界の問題と戦ったような気持ちになって劇場を出る。
    とても良かった。


    本当に対照的な二演目だった。
    世界の「やってられなさ」をそのまま舞台に乗せるのか、「それでも」と抗う姿を見せるのか。
    観客票は劇団だるめしあんの圧勝だったし、まぁそうなるだろうと思う。
    ただ、抗う姿を観て、私たちはスッキリして劇場を出て良いんだろうか、とふと思う。劇場を一歩出た先には、やはりままならない世界が広がっている。
    答えは自分で見つけて下さいと、ほしぷろが微笑む姿が脳裏によぎる。もう一回ほしぷろを観てみたい気になるのが、悔しい。



    しかし、座・高円寺はやっぱりバカでか空間だなと思う。今回の二演目、いや、露と枕・鋼鉄村松も合わせて四演目、願わくばもう少し小さめの空間でもう一度観てみたい。劇エネルギーの散り方が尋常じゃない。たぶん、もっと凝縮された何かが、客席と舞台の間で消失してる気がする。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    露と枕「ジュノーのかたつむり」
    シェイクスピアはロミジュリ以外ほとんど知らず。
    人生の選択って大事、昔は良かったって思いがち。
    やはり自分で決めないと…と思いながらの40分間
    人間関係の妙を感じさせる面白い作品。
    同時上演のほしぷろ、ちょっとよく分からなかったが、熱量は凄かったな。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    シェイクスピアをテーマにした二作の短篇を上演し、どちらが面白かったかその後の観客投票で決めるというバトルイベント。シェイクスピア好きとしても面白いイベントだ。

    ネタバレBOX

    観た回は
    露と枕 VS 劇団鋼鉄村松

    露と枕
    『ジュノーのかたつむり』
    脚本・演出:井上瑠奈
    原案:『お気に召すまま』

    『お気に召すまま』で輝きの絶頂にあった恋人たちの「その後」を描く事で、青春の輝きと人生のままならなさを描く。
    人物は現代の若者に翻案され、アーデンの森は青春の学生生活に置き換えられる。
    冒頭に輝きを見せた後、場面は離婚式。
    主役カップルが離婚式を行う会場に、かつての友たちが集まる。
    就職、結婚などのステージの変化が訪れた後の彼らは、人生のままならなさにストレスを抱えている様子。
    さて、離婚式はどのように進むのか…というお話。

    この翻案がとても上手い。かつての輝きと現在を同時に舞台上に描き出す、ほろ苦い舞台だ。

    ただ、役者が小空間向けの身体なのか、冒頭のわちゃわちゃから台詞が座・高円寺の広い劇場空間に溶けて散ってしまい、何を言ってるのか分からない箇所が結構あり、ボリュームも満足出来るレベルより下回る事が多かったように感じた。
    現代のリアルを舞台に乗せる際に演技サイズが小さくなる事はそれはそうなのだが、大きい劇場でそのまんまやられると、ちょっと物足りない。
    そんな中、滝沢花野さんの台詞術はしっかり生きていた。すばらし。

    展開は後半になるにつれダイナミックになる。多数決に持ち込む所などは、ややリアルさにかけた(この場でそんな事する?と一瞬思った)ものの面白かった。

    もう少し小さめの劇場で観たら、大分見え方が変わる作品だと思う。



    劇団鋼鉄村松
    『ヴェニス系ビジネスガール』
    作・演出:バブルムラマツ
    原作:『ヴェニスの商人』

    劇団鋼鉄村松は、私も以前出演した事がある、とにかくパワーとギャグ、そしてドラマティックな展開が売りの劇団。
    今回は『ヴェニスの商人』のアントーニオを女性配信者に翻案し、シャイロックを「彼女への妄信的な愛から課金しまくったおじさん」にすることで、コメディでありながら深い闇を宿した作品になっていた。

    『ヴェニスの商人』はしばしばバッサーニオとアントーニオの間の男同士の友情から、恋愛関係をほんのり想起させる演出が行われるが、今回アントーニオを女性にしたことで、よりそこがクリアになっていた。(男だ女だ言う時代ではないけども)

    したがって、アントーニオの胸の肉1ポンドを要求するシャイロックは、執拗に「おっぱい1ポンドよこせ」と繰り返す。
    この件が、現代としてはかなり抵抗を感じる方も多い、昭和ノリというか、下ネタチック、というか、おじさんの笑い、を感じさせる。
    しょうがない、おじさんの劇団だもの。
    というのも違う。
    そして作り手も、たぶん、自覚しつつやってる。アップデート出来てないおじさんの劇団、ではなく、アップデートした上で「アップデート出来ないおじさん」を舞台上に乗せる事で現代を切り取っていると考えよう。
    連呼される「おっぱい」に笑いながら、居心地の悪さを感じる、意地悪な作りだ。

    この「おっぱい」問題で全てを閉ざすのはもったいない。

    配信者への課金、そこから生じる愛情と、反転した憎しみ。
    この構造を、バッサーニオは最終的に金持ちの娘ポーシャと結婚する、という原作の流れを上手く使い、二重にも三重にも救い難い状況として描き出している。
    金と愛。
    そして、シャイロックの存在に象徴される差別問題は、ボス村松演じる「ハゲでキモいおじさん」(身体的特徴をどうこう言うのもご法度な時代だが)というキャラクターを通すことで、外見の美醜への差別、ルッキズムの問題へと転化している。
    シェイクスピアのシャイロックの台詞をそのまま持ってきているシーンがあったが、迫害される者の叫びが、より現代に受け止めやすく響いてきた。
    誰かに死ぬほど嫌われる悲しみ。根底の感情で通じ合う美女と野獣は、どんな結末を迎えるのだろうか。

    ボス村松は私が憧れている俳優の一人で、今回も、ようそんな音が出せるな、という苦悩と憎しみ、愛情の混在した音で台詞を喋っていた。さすが、ボス。

    コメディの皮を被った現代批判劇。そんな印象だ。
    抵抗を感じる人も多いかもしれないが、その「抵抗」が、観客がアップデートされている証なのだと思うし、難しい事考えずに楽しく観たとしても、どこかで「あれ…これって笑ってよかったものなのかな…」と居心地の悪さを感じる人もいるかもしれない。
    この意地悪さは、チェーホフが「喜劇」とのたまう戯曲に通ずる物を感じた。
  • 実演鑑賞

    露と枕、ZURULABO、エンニュイ、ほしぷろ、でコンプリート。結局全て見た。
    各団体の趣向と見せ所があり、楽しめた。
    ただ出し物のレベルとしては、本企画の趣旨がコンペ、即ち優劣を競う建て付けな訳でもあって最終的に下位となるチーム対決の回は「外れ」となっちゃうのでは...との懸念がよぎるが、、組み合わせ(順番も)次第で劇の印象が変わる事もあるのかも。
    またガチゲキを観に来る客と、贔屓劇団を観に来る客の比率も知りたい所。(自分はガチゲキを、それにかこつけて未見の劇団を、観てやろうという魂胆。)
    シェイクスピア作品のごく一部から着想したもの、作品そのものを捕らえたもの、大胆な翻案、借景的に利用したものと様々。最初に観た鋼鉄村松とだるめしあんが、作品ないしシェイクスピアをガッツリ使ったものだった。
    4作品それぞれについてはまた改めて記す事に。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    開幕試合の日。シェイクスピアで遊ぶ6劇団約40分の出し物、これを総当たりの試合形式で最終的に勝者を決める、という「おまけ」付。おまけとは言え、終演後の投票も中々面白い。初日は鋼鉄村松 vsだるめしあん、いずれもコメディ色な団体なので良い勝負となり投票も結果発表も気持ちよくやれた。全く傾向が異なる他の4団体も観てみたい(シェイクスピアとは凡そ無縁そうな劇団から、一体何が出てくるやら。不安でもあり楽しみでもあり)。

    ネタバレBOX

    鋼鉄村松/だるめしあんの作品について。
    (※6団体6作品の対決がもう数日続くのでネタバレにご注意。)

    前半戦は未見の鋼鉄村松。団員が同じ「ムラマツ」名乗ってたりするので、間違いなくおフザケな劇団であろうと推察し、熟年でもあり骨のある男集団のおふざけ振りを期待したが、十二分の応えが返って来て頗る満足であった。
    ベニスの商人のシャイロック役が恨み骨髄で法廷に訴え出たあの有名な裁判場面を切り取り、現代に翻案。いじましく小さく小市民でオタクで小狡くて独りよがりで悪人で惨めで間抜けでざまあみろな人物たち(即ちヒーローとはほど遠い人物たち)が人間としての最後の矜持(俺はこうして生きて来た。今も生きている)を観客の前で示す溜飲の下げ方に、正攻法を見ると同時に役者の演じっぷりに感じ入った。
    後半戦がだるめしあん。「この後では不利かも?」という感じを持った人もいたかも、であるが、声量が前団体を下回ってる事もあって「集中が続くかな」と一瞬不安が過るも杞憂で、登場以降台詞に聞き耳を立てさせ、劇世界へ観客を最速で誘ったかと思えば、複数のシェイクスピア作品のアイテムを換骨奪胎した架空世界が展開、手応えある台詞の不意打ちもあり、きっちりオチが付く。脚本力を見せつけた一編だった。
    (どちらに投票したかはご想像にお任せ。)
    別日のはまた改めて。

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