満足度★★★★★
阪神淡路、震災の記憶は消えない。繰り返し上演することに意義がある。悲劇を笑いでカバーして観やすくする工夫がある。
劇団「ピープルパープル」の人気演目を「アミューズ」との提携による上演で、
メインの役の多くは外部の俳優、脇を同劇団キャスで固める布陣。
以前、劇団公演を観て大泣きし、
地方(確か青森)から上京した「飛び道具的」女性隊員を演じたりんごさん
(当時の本作の役名を芸名にされた)の破壊力に圧倒されました。
今回、その役は上地さんが演じることで沖縄出身に変更。
相変わらずの破壊力ですが、これがあるから他のシリアスなシーンも
受け入れられる、バランスが保てる重要な役割があります。
これがなかったら「重すぎてしまう」。
やはり何といっても、直接隊員たちから取材した事実に基づく
「阪神淡路大震災」の再現シーンが印象的です。
ニュースでみる数値や風景ではわからない、「どうしようもない現実」が
人間が目の前で演じるという「演劇」ならではの、迫力、訴求力で
訴えかけられる。
今後、もっと繰り返し上演すべき演目と思います。
満足度★★★★★
感謝の気持ち
阪神淡路大震災から18年、震災前まで生きた時間よりも震災後に生きている時間が長くなった。
2年前には東日本大震災もあり、すでに阪神淡路大震災も「過去のもの」と感じることが多く、阪神の被災者としては心苦しいものがある。現在、関東で住んでいるため、周りはどうしても3.11への気持ちが大きく、それ自体を否定することはないが、やはり私は、1.17への思いの方が強い。
そんな中で、舞台「ORANGE」は、すでに3度目。初めて見たのは、3年前。今はなき前進座劇場だった。きっかけはヨーロッパ企画のお芝居を見に行ったときに「ORANGE」のチラシを見て、「行かなきゃいけない」と、心に何か感じたことから、チケットを手配した。そして、観劇した後、心の底から脚本を作った宇田学さん、そして演じてらっしゃるpeople purpleの皆さんに「ありがとう」という気持ちになった。
震災を扱う作品の多くは、絶望を全面的に出したものか、希望を見出してハッピーエンドで終わるようなものが多いと感じ、それらの多くはお涙頂戴もののストーリーで、嫌悪していました。震災後、しばらくは震災を扱う作品を見ることはなかった。
そんな私がどうして「ORANGE」を「見にいかなくてはいけない」と思ったのか今となっては不思議だが、少なくとも、「ORANGE」を見て、本当に良かった、このような素晴らしい作品があることを知れて、幸せだと思った。
「ORANGE」は、あの時、あの場所であったことが目の前で繰り広げられ、それは絶望的でもあるけれど、でも、本当だったことを描いているからだ。
演じられる役者さんのご苦労は相当のものだと思うが、あの時のあの現場、あの時間がリアルに繰り広げられ、それを多くの人に知ってもらうことは、阪神淡路大震災の被災者として、心が救われる思いになる。
多分、これから東日本大震災の被災者、他の自然災害(事故や事件もありますが)の被災者も同じように感じると思うが、「忘れられること」ほど、悔しい・悲しいことはない。
だからこそ、このお芝居が私にとって「ありがとう」という気持ちになるのだ。
「ORANGE」のはじめの台詞に東日本大震災の被災者に対する言葉が入ったことで、きっと私と同じように救われる人はいると思います。
本当にありがとうございました。