くちづけ 公演情報 くちづけ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    冒頭、ワイドショーでのニュース映像が流れる。宮根誠司氏がキャスター。漫画家、愛情いっぽんさんの娘が遺体で発見。警察は自殺と事故の両面で捜査中。

    埼玉県本庄市、開業医の浜谷健司氏は自腹で知的障害者自立支援の為のグループホーム「ひまわり荘」を運営している。妻の鈴木紗理奈さん、娘の宮城弥生さんは家族ぐるみで協力。世話人(家政婦)として働く小川菜摘さん。新たに住み込みのボランティアとして金田明夫氏がやって来る。障害のある娘のマコ=石田亜佑美さんを連れて。金田明夫氏は30年前、愛情いっぽんという名で売れっ子漫画家。ヒット作「長万部くん」は未だに根強い人気。「ひまわり荘」で暮らすうーやん=宅間孝行氏、下川恭平氏、久井正樹氏、町田萌香さん(軽度の知的障害がある181cmの長身モデル。今作はオーディションに訪れた彼女との出会いに運命を感じ、役を新たに作ったそうだ)。
    うーやんと人見知りだったマコは次第に妙に打ち解けて仲良くなる。いつしか結婚の約束まで。

    うーやん役の宅間孝行氏はつぶやきシローとチョコプラ松尾を足したみたい。「〜なんですか?」が口癖。
    うーやんの妹、智ちゃんは加藤里保菜さん。可愛い。
    金田明夫氏は原口あきまさとヨネスケを足したような感じ。
    石田亜佑美さんは元モー娘。。
    ギャルの神月(こうづき)柚莉愛さんは憎まれ役を一手に担う大変な役回り。
    タウン誌の編集者は松本幸大氏。
    優しい警察官は上田堪大(かんだい)氏。見せ場あり。

    映画化もされた宅間孝行氏の代表作。金田明夫氏&宅間孝行氏オリジナル・キャストでやるのは今回が最後とのこと。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    開演前の客いじり。会場の小学生の子にインタビューをする。「タクフェス何回目?」「出演者の中に好きな役者はいる?」一人の子供が「梅沢富美男」と答えどっと受ける。ハマカーンの浜谷健司氏が「いやあ、今日は出ない日なんだ」と弄る。子供が出演者でもない、しかも高齢の渋いタレントの名前を挙げる面白さ。
    本編、突如アドリブで浜谷健司氏が梅沢富美男のモノマネをぶっ込む。その唐突さに面食らう役者陣。浜谷健司氏は会場の一人の小学生の為に無理矢理やり通した。
    カーテンコール、「好き放題やりやがって」と突っ込む宅間孝行氏。申し訳なさそうに小川菜摘さんが口を挟む。「実は梅沢富美男さんとは何度も共演して親しくさせて頂いていて、今日奥様来られています。」騒然とする壇上と会場。慌てふためく浜谷健司氏。梅沢富美男の奥さんは「似てました。面白かったです。」とコメント。大盛り上がり。

    小川菜摘さんは「結果発表〜!!」からの浜田雅功ネタを出し惜しみなく炸裂。ゴリラの縫いぐるみを持って来てゴリラの好きな所を聞かれると「たまにサッポロ一番とか作ってくれるの」とのろける。
    終演後、日本語ペラペラの外人集団が大興奮。「ナマ菜摘だよ!」知らない友人に彼女の旦那がダウンタウンの浜田雅功で日本で如何に凄い人なのかをスマホを駆使し熱弁を振るって説明。余りにも感覚が日本人なので驚いた。

    正直、知的障害者の描き方が余り好きなものでなく、距離を置いて観ていた。幼い子供達みたいな描き方が好きじゃない。だがその裏に隠された余りにもシリアスなテーマには驚く。「京都認知症母殺害心中未遂事件」等と同じ今では珍しくない介護疲れと生活苦による尊属殺人。自分の死期が迫り、障害のある子供を残していけず無理心中的に殺してしまう。超高齢社会と社会経済的不安により、今後似たような事案はもっと増えていくことだろう。弱者は生まれて来ない方が良かったのか?この問い掛けは永遠に続く人間のテーマ。会場は涙を拭う人が多く、自分が守ってやるべき人間を力不足で守ってやれない哀しみが充満。自分にもっと力があったなら。もっと財力があったなら。もっと強い心があったなら。大好きな人間を死なせたりしないのに。見捨てたりしないのに。だが力がない。自分自身さえ守れない。自分の弱さを憎みぐっと手を伸ばす。自分自身を殺すようにぐっと。

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