満足度★★★★★
タッタタ探検組合の凄さ
基本的に喜劇を演じる劇団であるが、通常喜劇の劇団というのは、笑いを取る為に人間性や品性を犠牲にしがちだ。一流の劇団や芸人でもそういうタイプが多いのではないだろうか。然るに、タッタタ探検組合は笑いも取り、同時に人生の機微をも捉えるのである。これは並大抵のことではない。単に、技術のレベルではなく深く鋭く厳しく同時に温かで品性の伴った堂々たる演劇だ。何より、この劇団は、あくまで人間を描くという点でブレがないこと。それを喜劇という枠で演じて、これにもブレがないことで評価できる。骨太のメインストリームに情況という思い通りにはならない運命・宿命を対置し、そこに起こるべくして起こってくる葛藤を個々人に集約して演劇化している点で本質を衝いているのだ。
シナリオの良さは無論のこと、舞台美術、照明、音響、演技などを知的・統一的なコラボレーションに構成する演出は見事だ。それに応えて芸達者な役者たちが、実に丁寧に身体を律し、時に解放したり、箍を外したりしながら、役を演じるというより役に乗っているのである。而も、この喜劇の要諦を守ったまま、人間の普遍的な価値と其処での葛藤を描くことで、物語を単に社会性のある話題にではなく、各々生きる実存として提示しているのである。このような表出法は、決して国家だの社会だのを論ずることではない。寧ろ、観客と共に生きることなのだ。この姿勢が、一種の優しさと温かさを産み、更には劇団としての纏まりと観客との共鳴作用を産んでいるのだ。