鏡花夜想曲 公演情報 鏡花夜想曲」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    日本語
     鏡花の書いた日本語は色の綾目などを含め、現代の日本人にはかなり難しい。大抵の人には、銀ねずの意味さえ分かるまい。鏡花の育ちから見て、同時代に粋であり、通であったものが、現在では死に絶える危機に瀕している。これは紛れも無い事実である。大衆の芸であったどどいつ程度のことが、分からないのだから後は推して知るべしであろう。だからと言って、若者の発明を否定するわけではない。然し乍ら、物には順序があろう。

     今、鏡花を読むということの意味は、好い加減なメディアに載せられたふりをして、決まり切ったフレーズの馬鹿げた見解に与することではない。かと言って単純に「日本文化」に回帰するなどという愚かな話でもない。唯、単に、欧米化という日本近代の驀進に対してクレッションマークを付すのである。その言葉によって。その言葉の意味する所によって。

     今回は篠笛とのコラボレーションであったが、篠笛のような民笛の演奏・作曲家が、態々、西洋音階の民笛を作って作曲、演奏をしていることに、また、そのような人とコラボレーションせざるを得ない所にこそ、現在の我々の立脚点がある。そのことを知った上でなら、鏡花を再考することの意味が出て来よう。いわば、鏡花は我らの鏡なのだから。

     また、登場人物、すみの生き様には、そのような読みを許す、社会的、時代
    的、原理的意味が、隠されている。

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