満足度★★★★
1月の蜷川バージョンも楽しみ
荒みきった町で起こる凄惨な出来事を、今の日本と重ねて見ていた。自分と身近なコミュニティーのためだけに生き、外部のことは利用または排除、抹殺することしか考えない。そんな浅はかで残虐極まりない人物ばかりなのに、愛らしい。
人間は暴力(拳銃)や他力本願の妄想といった誘惑に勝てず、快楽とひきかえに未来を差し出してしまう。見るからに愚かな登場人物に次々と共感してしまうのは、一人々々が抱える背景がコツコツと描かれ、舞台にずんずんと積み重なっていくからだと思う。
上演時間は失念。休憩2回。ロビーで「奥様お尻をどうぞ。」DVD、KERAさんのハヤカワ演劇文庫などをゲット。パンフも。
満足度★★★★
西洋文学のミクスチャー
ケラさんにしてはかなり笑いを抑えたシリアスな雰囲気の作品で、重厚な物語と迫真の演技に引き込まれて、4時間強というかなり長い上演時間を全然感じさせず、見応えがありました。
ある街を暴力的に支配する男とその3人の娘を中心にした様々な人間関係から人間のダークな面が浮かび上がる重厚な物語で、必死に生きようとするが為に心が壊れていく人々の姿が痛々しく切なかったです。
宣伝文にもあるように、人間存在を描くロシア文学と超常現象が普通に起こるラテンアメリカ文学をミックスさたような雰囲気でした。さらにギリシャ悲劇の展開と様式が重要な位置を占めていて、西洋文学の様々な要素を取り込んだ、時代と国を超越したファンタスティックな世界観が感じられました。
個人的に映画作品の中で最高傑作だと思っている『アンダーグラウンド』(エミール・クストリッツァ監督)を思わせる設定や場面が沢山散りばめられていて、それらがパクりではなくオマージュとして感じられて楽しかったです。
パスカルズによるノスタルジックな音楽の生演奏や、動いている物へのプロジェクションマッピングを駆使した映像、頻繁な場面転換に対応した舞台美術等、スタッフワークも素晴らしく、物語を引き立てていました。
総合的にクオリティーの高い作品でしたが、個人的にはもう少し観客を突き放したような尖った表現が見たかったです。
この物語を蜷川さんがどのように演出するのか楽しみです。
満足度★★★★
蜷川バージョンも楽しみ。
評判通り、4時間10分の長さを全く感じさせない推進力と、それでいて悪夢のような世界を確かにじっくり魅せてくれる説得力の両方を持った舞台だなあ、と。
にしても、合唱隊の使いかた、神と人間位置づけetc、「古典」としての強度すら感じさせる脚本だったなあ・・・。
そこら辺を強く見せつけてくるであろう来月の蜷川バージョンも観に行きたくなってしまった。
毎度のことながら映像、音楽ともハイクオリティ。今回は若干場面転換にスムーズさが足りなかった気もしないでもないけど。
当日券狙う人には、パスカルズのピットが見える下手側の席がお薦め。
満足度★★★★
長くてもいい。面白いから。
4時間10分と言う上演時間に、正気の沙汰か!と思ったけど、そんな観劇疲れを吹き飛ばす納得の面白さでした。蜷川さんバージョンも楽しみです。
満足度★★★★
パスカルズの音楽も良かった!
こんな長いお芝居は初めてでしたが、ケラさんの舞台は前回面白かったので、楽しみにしていました。相変わらず、ところどころに息抜きのお笑い要素もちりばめてあり、そこまで長さは感じませんでした。
パスカルズの雰囲気のある音楽が、お芝居とうまく絡み合っていて、ケラさんの世界観を盛り上げていました!
感想絵も描きましたので、よろしかったら。→http://chigusa.petit.cc/muscat2/
満足度★★★★★
残酷なファンタジー。
豪華メインキャスト19人、足掛け4時間(10分休憩2回)の大作です。
大人の童話と言うだけあって、しかもケラ作品なので、もちろん毒もあり。
後味にざらついたものが残るような苦味も。
私は単純でなんでも入れ込むほうなので、
(初舞台の)夏帆ちゃんの背中にドキッとして、淡くはかない恋愛に感情移入。
それだけにその行く末が、言葉でしか語られないにもかかわらず、
…とても落ち込んでしまった。(^^;)>(恥)
KERA作品ならではの、凝った『映像』の利用が素晴らしく、
また、個性的な生演奏も効果的。
これは何としても、蜷川演出ヴァージョンを、絶対なんとかして観なければ!!
満足度★★★★
これは!
凄い手法らしい。4時間10分確かに舞台に釘付けされてた。でも長く感じなかったのは事実。あと2時間くらい先も観てみたいと感じる。なんなのだろう。不思議な感覚。パスカルズの演奏が、舞台映像が、これまた良かった。