六道追分(ろくどうおいわけ)~第八期~ 公演情報 六道追分(ろくどうおいわけ)~第八期~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/07/31 (木) 19:00

     片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」第33回ロングラン本公演『六道追分』第八期の剣チームによる公演ということで、長く続いてきたロングラン公演も、この八期をもって本当の意味で締め括りということで、それに私が1~4期まで観た後、長らく観てなかったが、この集大成を観れたということで、色々と感慨深いものがあった。
     そうはいっても、物語の内容や核となる部分、悲劇的な終わり方は変わっていなかったが。

     今回遣り手役が、金にがめつく守銭奴的で少し維持悪くて、狡賢い感じに演じられていて、それでいてそんなに威圧感や恐怖で支配するといった冷たさやサディスティックな感じ、人間味に欠けた感じには演じられていなくて、どこか小悪党感が否めない風に演じられていていたので、最初第二期で遣り手を演じられた薮田美由紀さんが今回も同じ役で続投されたのかと思っていたが、今回の第八期のパンフレットを後で見たら、遣り手役を演じられていたのは高橋綾さんという全然違う役者だったことに気付き、全然違う役者なのに、ここまで演技パターンが似通ってシンクロすることってあるものなのかと、只々、驚き、唖然としてしまった。

     今回W主役の盗賊の頭領の鬼アザミ清吉役の江田剛さんと花魁お菊役の百合香さんは、良い意味でズラ感、どこかコスプレ感が否めなかった。
     勿論他の遊女七越役の猪谷茉由さん、花里役の加藤瞳さん、松山役の乙坂みどりさんにしても、上に同じで、ズラを被ってる感じやコスプレ感が否めなかった。
     そういう側面もあってか、鬼アザミ清吉役の江田剛さんとお菊役の百合香さんの茶屋での言い争いの場面で、緊張感が高まって手に汗握るというよりかは、どこか間が抜けていて、普通に笑える感じになっていて、これはこれで良いなと感じた。
     
     自分が今まで観てきたロングラン公演一、小ネタやくだらないドタバタ、アドリブが微に入り細に入りあって、全然飽きず、疲れず、観ていて常に大いに笑えて、面白かった。
     特に同心の章衛門役の水野淳之さんと共蔵役の桜木ユウさんの掛け合いの場面において、共蔵役の桜木ユウさんの顔が長いことをいじったり、同じく共蔵役の3枚目な顔の桜木ユウさんが決めた決め顔が2期目のトランプ政権と不和になったと取りざたされているイーロン·マスクに少し似ていることや、今はトランプとイーロン·マスクの関係ぶっちゃけどうなのといったかなり突っ込んだいじりもしていて、大いに笑えた。
     九次役の昇希さんは見た目はイケメンとは程遠いどころか、どちらかというとブサメンだったが、鬼アザミ一味のきゅう(感じが出てこないので、すみませんがひらがなで書かせてもらいます)次郎を崖付近で追い詰める場面での、本格的な殺陣や手に汗握る感じの切迫感を醸し出していて、さらにキレがあって動きが素早い感じといい、見た感じより、実際にかなり俊敏な感じも見て取れて、人はやはり見た目によらないものだと見直した。
     激しく素早い動きや、役人的な目的の為なら手段を選ばない怜悧で横柄、慇懃な態度な感じに演じられていて、今まで九次を演じられていてきた役者の中でも多少の妥協さえしない感じ、優しさや隙がない感じが、九次の性格や行動とフィットした感じになっていて、印象に残った。

     禿のお琴役のあいねさんは、今年の11月で17で、今はまだ16歳と実際の少女が演じられていていたということで、今までこの役を演じてきた人たちの中で、かなりリアリティを感じさせる自然で初々しく、素直で純真な感じで演じられていて、良い意味で、演技されているというより、自然体な感じに心動かされた。
     
     尼さんの念念役の種村昌子さんは、良い意味で普通に真面目で融通が効かなくて、どこか浮世離れしていて、どこか達観して、落ち着き払ったお坊さんな感じが自然と醸し出されていて、僧服も含めて、似合っていて、役と完全にフィットしていた。
     どこかとぼけた感じで、弟子の珍念役の谷口敏也さんの繰り広げるアドリブや小ネタにも、時々戸惑いながらもちゃんと即応して返していて、凄いと思った。
     ただし、珍念を演じる谷口敏也さんに拮抗できたかというと、どこか谷口さんの存在感があり過ぎたのもあるとは思うが、念念を演じる種村さんが存在感が薄く見えた。
     谷口敏也さんは、珍念だけでなく、磯七、亡八も演じているが、磯七の際はコミカルで優しい感じ、亡八の際は遊女を折檻したり、殴る蹴ると容赦がなく、少しも共感が得られないクズ男として演じていたりと、演じる役によって器用に表情や言動、行動、声の大きさや雰囲気を変えていて、役者でここまでしっかりと細かい部分に至るまで演じ分けることができる役者がいるものなのかと感心してしまった。

  • 実演鑑賞

    剣チームを観劇しました。
    気さくで男らしい清吉、強くて品格あるお菊という印象で、とても良かったです。
    ストーリーは分かっていましたが、それでも感動して涙腺が緩みました。
    楽しくて、華やかで、悲しくて、美しい舞台でした。
    舞台とは関係ないですが、前の席の男性が大きくてセンターが殆ど見えず、且つ前のめりになって始終頭を左右に動かすのでストレスでした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    通し公演8期までコンプリートしたかったんですが観劇出来たのは5公演。そのどれもがキャスト事に刺さる場面が違い毎回楽しめました。ダブルキャストやトリプルキャストは結構ありますが、ここまでキャストを入れ替えての舞台は初めてで、新鮮でした。

    ネタバレBOX

    ただ残念だったのはお菊は町娘の着物に着替えたのに、足抜けしたい花里が見つけてくださいとばかりの姿がどうにも気になって仕方ありませんでした。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    #8くりロン
    第三期、第七期に続いて3回目。やはり楽しんで観てもらう、そんなサービス精神に溢れたエンターテインメント作品。そして改めて、人と人の繋がりの大切さ、思いやりといった心情、それを優しく見つめるような劇作。今回は六道の内 人間道の在り様を強く感じた。毎期キャストや組み合わせが変わり、同じ脚本や演出、舞台装置にも関わらず違った印象の物語になる。まさに「舞台は生もの」を再認識した。
    (上演時間1時間40分 休憩なし) 【第八期 剣】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に格子状の衝立2つ。それを可動させ 遊郭の格子戸(籬)を表す。上手は 場景に応じて遊郭の半円障子や道中の石垣など、柱状の装置を半回転させる。下手は 丘のような階段状、その奥に朽ちた平板を組み合わせ、ラストは磔 処刑場。吉原へ通じる場所は、観てのお楽しみ。小さい劇場(空間)を巧く使った演出が妙。

    梗概…清吉(通称・鬼アザミ)は子分の粂次郎、伊助、三吉(妻が病弱でいつか医者になりたい)と共に世を騒がせる”義賊”。いつしか守銭奴達を懲らしめる清吉一味は、江戸庶民の憂さを晴らす存在になっていた。しかし奉行所の取り締まりは厳しくなり、これを潮時と 最後に選んだ場所が不夜城「吉原」である。特に悪どいやり方で暴利を貪る大店ばかりに忍び込む。
    一方、呼出し花魁 お菊は 刃傷沙汰を起こし、足抜けを余儀なくされていた。そんな時、忍び込んだ鬼アザミ一家と出会い...。吉原と東海道(大井川)を舞台に、人情味溢れる逃亡劇が始まる。清吉とお菊は旅を通じて お互いが孤独を癒し心を通わせていく。華やかな雰囲気と非情な成り行きの中で、情感豊かに描き 観客の心を揺さぶる。

    人別改帳にも記載されない、捨て子の無宿として生まれた男と吉原という苦界に生まれ育った女の逃避行を描いた悲恋。どちらも不幸・不遇な身の上、その2人が旅の途中で出会った僧から「六道」の話を聞き、人の世の儚さと尊さを知る といった人情味ある話。タイトルにある「六道」を物語に巧みに織り込んで、人の心の在り様 を考えさせる。人間道で生きているが、その現世は因果の道理に…。六道を彷徨う人達の、切なく儚い道中、場面転換や心情表現にダンスを挿入するなど、観(魅)せる工夫も好かった。

    ラストは、六道の輪廻転生ー色々な世界を死んだり生きたりしながら、グルグル回るーといった内容を2人の覚悟・心情に重ねるようだ。第八(最終)期は、同心 章衛門の子 沢山の話ーこの世に生まれさせたからには、良い世の中を作らなきゃいけない。この世の法(定め)は、必ずしも弱い者を助けてはくれない。そんな不条理が浮き上がるような印象を受けた。

    華やかな雰囲気、それは出演者(特に女性)が吉原という場所柄、花魁姿の艶やかさを出し、旅に出てからは町娘に扮しての可憐さなど、いずれにしてもその”艶技”であろう。そして同心の庶民感覚と、与力等では考え方が違う。キャスト1人ひとりに物語での役割を持たせ、その個性が色々な雰囲気や相乗効果といった<力>になっている。それが長きに亘って公演を支えた要因ではなかろうか。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    第八期の【剣】チーム初日。この長い公演の中では、結局5月の第二期と今日の第八期しか観ることができなかったが、自分が観た2回はどちらも満足。音楽とダンスにのせたタイトル的なパートの構成も、よく作られていたんだなあと改めて感心。

  • 実演鑑賞

    とうとう第八期。
    終の始まり、初日の初口(って言わないのかな?演劇界では)に観劇。

    ネタバレBOX

    この際なので、過去作も含めてつらつらと。
    第一期、山田さんは義賊のお頭に相応しい格があったと思う。百合香さんは呼び出し花魁、太夫に相応しい美しさと華があった。主役二人に関しては、この時が一番ピッタリと思います。
    第二期、完成度、満足感ではこの時が一番。
    清三役ははお頭っぽい感じは不足していたけど、罪を全部ひっ被った時の笑顔がなんとも素敵だった。
    この劇は自己犠牲、進んで損を取る人々のはなしだと思う。あの笑顔はこの物語の核心部分を体現するものだと思う。
    お菊役の気位の高さや気の強そうな感じも今にして思えば良かった。
    それとなんといっても、与力役の西川さんが良かった。
    第四期、やはり山田さんの清三はいいなあと再認識。
    第七期、残念な部分が多かったかな。
    第八期、最初からこのでき、クオリティは大したもの。
    お菊役の野口さんはルックスも良いし華もある。けど口調や仕草のがらっぱちな感じが、高級感が足りないような。ビジュアル面でも可愛すぎるというか童顔というか。禿役もできそうな気も。でもこれからグングン伸びて素晴らしいお菊に成りそうな予感もするんですよね。

    同心のおかみさんの「そこに惚れたのよ。」には毎回ウルっときます。同心の彼もまた損を取る人ですよね。

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