ポオの眷属たち 公演情報 ポオの眷属たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-2件 / 2件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/09/13 (土) 12:00

    木々高太郎と小栗虫太郎を「探偵役」に据えた中編2編。片やギリシア悲劇の引用もあるシリアス系、片や古典落語の引用があるコミカルタッチと対照的だがどちらも「推理もの」として成立させているばかりでなく引用元を知っているとより楽しめるシカケが巧み。
    また、配役が的確と言うか衣装も含めて文字通り「役柄を体現」していて会場サイズもありまるで時空を超えてその場に居合わせている感覚。これぞかはず書屋だぁね♪

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/09/14 (日) 12:00

    エドガー・アラン・ポオの2作品「おしゃべり心臓」と「盗まれた手紙」を元に
    再構築と深掘り検証を加えるという凝った造り。
    脚本のテイストとかはづ書屋との相性の良さもあって極上のエンタメとなった。
    ミステリーにはつきものの説明的な長台詞をものともせず、流れるような展開に引き込む
    役者陣が素晴らしい。

    ネタバレBOX

    「第一話 エディプスの心臓」
    神経症のような行動をとってしまう若き子爵は、密かに林教授に助けを求める。
    教授は木々高太郎の名で探偵小説を書いており、作品の中で探偵は精神分析を用いて事件を
    解決する。
    教授は、子爵と彼の父、父の後妻の3人の関係を解きほぐし、一旦は表面的な解決を見出した
    かのように見えた。
    が、そこから子爵の計画をあぶり出し、決して表に出してはならない秘密へとたどり着く。
    隠された憎悪の念がすさまじく、張り詰めた空気が客席にまで伝わってくる。
    教授役の森尾繁弘さんが精神分析の手法でそれを引きずり出す過程が大変面白かった。
    子爵の思いがけない行動の理由と、ラストの着地のコントラストが鮮やかで印象深い。

    「第二話 ふみどろ」
    こちらは町中の碁会所が舞台。
    まもなく席亭の一周忌、後を継いだおかみさんが席亭の残した日記を持ってくる。
    ポオの作品の中でも傑作と名高い作品、その結末にどうしても納得がいかない、
    別の真実があるのではないか、という意味のことが書かれている。
    碁会所の常連で探偵作家の小栗忠太郎はほかの常連客を巻き込んで”別の真相”求めて
    推論を戦わせる。
    落語を織り込みながらのにぎやか且つ鋭い推論から、原作のほころびを追求していく。
    作家役の島田雅之さんがさすがの作家ぶり。硬軟自在で進行にメリハリが生まれる。

    原作を読んでいなくても心配は不要、巧みなリードでその先の世界へ連れて行ってくれる。
    完成しているはずの論理のほころびを見つけ出すとは、どんだけ読み込んでからの創作なのか?
    創作のスタートそのものを自ら難しくするような柳井氏のチャレンジがたまらない。





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