Blue moment 公演情報 Blue moment」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-7件 / 7件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/05/30 (金) 14:00

     この劇『Blue Moment』の感想を公開で、UPしたつもりでしたが、非公開になっていたようなので、UPし直しました。
     感想の内容は全く非公開だった時と変わらないのですが、見ていただけると嬉しいです。
     非公開だった時と違って、今回こそはちゃんと公開にできていると思います。

     夜明け前。
    かすかに揺れる潮風の中、一台の古びたバイクが静かにエンジンを鳴らす。
    ハンドルを握る男の背に、そっと寄り添うように腰かけた、不思議な少年。ふたりを乗せたその影は、星々の名残をなぞるように、かつての夢の境を越えてゆくといった抽象的、観念的であり、詩的美しくどこか儚さ、淡い感じがCoRichのあらすじを読んだ感じだと感じ、あらすじの最後のところに載っていた謎の少年と50代くらいの中年男性との会話のやり取りが、非常に何処か不思議で謎めいた感じがしたので、勝手にこの作品はサンテグジュペリの『星の王子さま』に出てくる年齢不詳で砂漠のコブラに噛まれたが、例え肉体は滅びるとも、もっと観念的であり抽象的な何か、魂とも違う、確かに存在するがもっと軽くて、人間の眼には見えず、聞こえない神聖な何かとなって自分のいた星に一旦帰っていた星の王子さまがふとしたなにかの拍子で、昔に出会った飛行士の孫と今度はバイクに乗って実際に旅をしながら、飛行士の孫のアイデンティティーや自分探し、過去に対する後悔といったことと徐々に向き合わせていくと言った話かと思って、期待して観に行ったが、違った。

     バイクに乗った中年男が海辺で突っ伏して眠っていると、不思議で神秘的な好奇心が旺盛で、汚れがなく、躊躇がなく、純粋無垢で、何処か怖いもの知らずな感じの全身青い格好をした年齢不詳な少年がどこからともなく現れ、主人公の50代くらいの中年男性Kに話しかける場面から物語が始まるといった物語の始まり方的には、サンテグジュペリ作『星の王子さま』と偶然かも知れないが、良い意味で確かに似通っていた。
     だが劇が進むにつれ、主人公の50代くらいの中年男Kが青い神秘的で何処か不思議な少年を流れ的に乗せて走るが、そのバイクで走っている道は湘南の海沿いを走っているのが次第に分かってきて、その終着点として江ノ島線電鉄(通称江ノ電)にバイクごと突っ込んで自殺を図ろうとしていることが分かってきた。自殺に向けて助走をつけてバイクを最大出力で出して道路を疾走している間に、バイク後部座席に座った青い少年の人智を超えた不思議な力なのかも分からないが、走馬燈のように主人公の中年男がお腹にいた時から、生まれた直後、ただ普通に純粋で真っ直ぐで、おバカだった小学生時代、自分家の屋根裏に秘密基地を作ろうと準備を整えていたら、屋根裏からとあるカセットテープが見つかって、そのカセットテープに録音されていた音声が元で父親の不倫がばれ、両親が離婚し、その後の小学生高学年になると、何もかもから逃げたい一心でか、バスケットボールにのめり込む。
     中学になると、地元の湘南にある学校ではなかったのもあって、周りがすぐ友達ができるなか、クラスで孤立していたが、天真爛漫で優しい女の子に声をかけられ、片想いをし、下心丸出しで入った吹奏楽部。しかし、そのうち本当に音楽にのめり込み、地元のオーケストラの門戸を叩く無鉄砲さと、ひた向きで真っ直ぐで、猪突猛進だった中学時代。中学卒業式の日に後輩の女の子に告白されるも、自分が片想いしている吹奏楽部の女の子との約束の為振るが、その後前に告白した際に受験期間なのを理由に吹奏楽部の女の子に断られたが、卒業式後に映画を一緒に観に行き、もう一度告白するがものの見事に振られる。しかも吹奏楽部の春ちゃんが好きといったのは、高校生でロードバイクを嗜む何やらヤンキーめいた先輩だったというショック。
     敢え無く中学時代の淡い青春も終わりを迎え、今までの過剰な自信も消え失せ、自身をなくし、高校生になると、七三分けにして、普通になる。しかし、電車の中で出会った受験生の女の子のイヤホンから漏れてくる音楽と女の子が気になって、黙っていられなくなり、またしても情熱的に勢いで、メールを後で送ってもらうことを半ば強引に取り付ける。そういったところから彼女との関係が始まり、彼女と同じ高校に受かりたいと考え、彼女が目指す高校に一緒に受かれば自分がもっと彼女と話す時間ができるようになると思い、わざわざ今通っている高校を中退して、猛勉強して湘南の地元の自由な学風で有名だが、超難関高に何とか受かるという奇跡としか言いようが無い母親も呆れる猪突猛進ぶり。彼女と仲良くなって、だんだんお互い打ち解けてくるようになると、彼女がじつは重い持病を抱えていること、その持病は手術をすれば治るが、親が許さないこと。両親が新興宗教をしており、父親が教祖であり、自分は2世であること、結婚や恋愛も信者以外としてはいけないことなどの秘密が彼女の口から暴露される。そんなの許せないと思った主人公は彼女の両親が信者を集めて説教をする教会に踏み込んで反論しようとするが、逆に彼女と引き離され、彼女は説教壇より奥に生まれ変わるのがどうのとか、身を清めるとかいったことから、信者たちと彼女の父親によって連れて行かれる。それでも最後に彼女は主人公に力なく微笑みかけるが、それが彼女の笑顔と、彼女自身を見た最後となる。
     彼女を金も権力なく、勇気もなく無力だったことから救えなかった自分の不甲斐なさ無力感と公開に打ちひしがれて、音大目指すも、明らかに自分より優秀で裕福な家庭との圧倒的な落差を見て夢破れ、音大を中退し、知り合いがやっているという劇団に入る。
     主人公は今度は劇団内で同期の気が合い、愚痴も言い合うことができ、腹を割って気兼ねなく話せる女優と飲み友であるうちに、いつの間にか恋人同士になるが、演劇では食えいないと思った主人公が、副業としてマルチ商法に手を出し、劇団の仲間とも険悪になり、そのうち劇団の女優の彼女から別れを切り出され、振られる。
     しばらくは意気消沈しているが、仲間の励ましもあり、劇団を主宰の知り合いと1から始めるが、今度は主人公は裏方に徹する。
     30代くらいになって、劇団もだんだんと大世帯となり、主人公も劇団内で演出も任されるようになり、ある時高校で演劇をするワークショップに出向き、高校生の劇の演出をすることになったが、そのことがきっかけで、高校生で劇団の事務所を叩き劇団員になった女子高生のやる気と元気があって行動力がある女の子のことを気にかけるようになり、そのうち結婚する。
     歳はお互い離れているが好き同士で、仲睦まじく、子どもも生まれ、共働きで、大変ながらも、ささやかで幸せな時間の筈だった。しかし第2子がを身籠り、その子は主人公と彼女との子ではないことが夫に黙っていること、隠していることの罪悪感から正直に実は同じ劇団内の劇団員と不倫関係にあったことが暴露され、主人公は茫然自失となり、バイクに飛び乗って…。
     といったような壮絶で激的で、もはや取り返しのつかない、全然救いようのない過去が流れるように見えては消えていくという、サンテグジュペリの『星の王子さま』より、余程大人で、世知辛い内容であまりの救いのなさに衝撃を受けた。
     しかし、青い少年が、劇団の元高校生の妻が劇団員との不倫で宿して、堕胎した子どもで、その青い少年が最後のほうで言う「次生まれ変わって会えなくても、何度も生まれ変わることは出来るんだから、きっといつかはお父さんとその息子として会うことだって、運命の巡り合わせ的に、可能性はきっとあるよ」といった自殺した主人公の魂に言う励みの言葉が、よくよく文脈を考えて捉え直してみると、少しのお互いの救いにもなっていないのに、愕然とした。

     しかし、幻想的、詩的、観念的で、美しく淡いファンタジックな作品なのにここまで現実を突きつけ、僅かな救いさえ用意せず、観ている側をも絶望のドン底に突き落とす、笑いもほとんどない作品に愕然とさせられた。でも、実際の人生の場合、よく劇や映画で見るほど、ハッピーエンドでもなく、過激なバッドエンドでもないと思うので、ある意味現実の上手くばかりも行かないし、かと言って闇の住人に引きずり降ろさられる、連れ去られるといったこともない人生を移してるろも思えて、衝撃は大きかったが、こういう劇の終わり方もありかもと感じた。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白かったです。
    主人公の人生を描いたストーリーで、懐かしさを感じる背景でした。
    その人生にリアル感がありましたが「そんな結末なの!?」という何とも言い難いラストでした。
    役者さん達の活き活きした演技が良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    1人の男 光(コウ)の人生を、フライヤーにあるバイクのタンデムツーリングに準えて描いたロードムービーならぬドラマ。時代ごとに 光のエピソードを描き、その生き様を時系列の回想録のように展開していく。タイトルにあるBlueが物語の肝。

    物語は 「記憶と夢の中」といった台詞から始まる。人生は選択と決断の連続、光は思い立ったら後先考えずに行動する。その結果が良かろうが悪かろうが、その捉え方は本人次第。その時代の心情・心境をテンポよく描き、次の時代へ繋いでいく。光という一役を時代ごとに複数の役者が担い、変わらぬ性格等は一貫しつつ、成長とともに違った面を巧みに観せる。

    舞台セットの高低を活かした躍動感、音響(エキゾーストノート等)・音楽(ビートルズ の曲 等)や照明の諧調で印象付ける。 何といっても舞台中央の重厚感ある「ロー&ロング」スタイルのバイクが迫力。
    ラスト、光の台詞が切なくも 救いになっているような…。今の若者、かつて若者だった人々にカタルシスをもたらすかのようだ。
    (上演時間2時間 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、左右から階段状にしたピラミット型で 頂上の下は出ハケの幕。その左右にも小さな幕。中央の出ハケを通ってバイクを出し入れ、左右の小さな幕は家の部屋であり秘密基地的な存在。天井は豆電球で夜空に輝く星。ピラミット型にした高低と、その前(客席寄り)を広いスペースにすることによって、上り下り、駆け回るといった躍動感を出す。それが、人生という旅(バイクが象徴)の疾走感を連想させる。バイクにうつ伏せている中年の男Kと不思議な少年との会話から始まる。この出会い、「星の王子様」(サン=テグジュペリ)を連想させる。

    当日パンフによると、物語は5つの時代「(幼少期~小学生編)(中学生編)(高校生編)(青年編)(夜明け編)」で、具体的な年代(1989年~2025年)まで記している。小学生の時に、光が見つけた父の浮気の証拠によって 両親は離婚。以来 女手一つで育てられた。中学時代は 初恋相手目当てで吹奏楽部へ、高校は 有名進学校へ1年遅れで編入学。高校時代に付き合った彼女の家庭は、或る宗教団体(統一教会?)に入信しており、結婚には反対。大学は音大を中退し 演劇活動へ。その活動は紆余曲折を経て、だんだんと軌道に乗り 忙しくなってきた。演劇を通じて知り合った女性と結婚したが…。付き合った女性は、年代順に「春」「冬」「秋」「夏」で四季を表し、人生の彩に準えた様な名前。

    妻が、劇団の男と一夜を共にしたことを告白、妊娠したが誰の子か分からないと…。バイクに乗って 暗転後、大きな衝撃音が響く。BlueはKに向かって言う、「お父さん、やり直したい時(代)はある?」の問いに、K=光は「ない」と答える。後悔のない人生だったのか、強がりなのかは判然としないが。恋に悶える者、自我と孤独な魂を持て余す者の心に響くような。

    轟くような重低音、眩しいライトを照らすバイクに乗って、会うことがなかった父と子が旅する回想は余韻に溢れていた。Blueが 見ることのなかった景色、それを父を通して追体験するようだ。風を感じてのツーリング…そして「風」は時代毎に色々な風が吹き、評判や悪評といった「風評」に変化していく。
    舞台技術は、ビートルズの曲や優しく癒すような音色、照明はスポットライトの多用で光の心情を強調する。演劇人の等身大の姿を抒情的に描いた好公演。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ある演劇人の一生を描いたファンタジックで青春プラスアルファな舞台。大いに楽しめましたけど、リアルに思うと残念な人生だよな。本人にとってはいいけど。一生懸命に頑張る人は周りが見えない。反省しきりです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    言わばがむしゃらに前にしか進めない若者の一生を誕生から死まで自叙伝的に描いている
    短い場面を繋いでいくのが初め違和感があったが、だんだん慣れて楽しめた(手法に全面肯定はできないけど)
    そう、常に全力で生きると空回りすることがあるよね
    周りに良かれと思ってやっているのだけど、必ずしも結果はそうならない
    Blueは生まれてこなかった彼の子だったのか
    オープニングから登場するバイクが印象的(アメリカンとネイキッド~あの特徴あるフレームなんだっけ、思い出せない😢)
    タイトルになっているブルーの照明が美しかった
    音響がステージでは吹かせないエキゾーストノートを絶妙に表現していた
    藤沢のS高とかすぐに「あ、湘南だ!」と分かってしまうし、土地勘あるから話聞いているだけで懐かしかった
    時々ディテールに滅茶苦茶こだわっているところがあって、居酒屋シーンの後ろの方のバイトの動き、シフト終えて店長に挨拶して消えていくところとか感心して観ていた
    キャスティングは良かったと思う
    特にBlueの鳥羽瀬璃音花ちゃんは声も雰囲気もピッタリだった
    時々星の王子さまの王子さまを彷彿とさせた
    もう一度バイクに乗りたくなった

  • 実演鑑賞

    良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    開演前の音楽がチラシのイメージと違う気がしました「パラレルパラレル・・・」あ、そういうお話?始まったらやっぱりチラシのイメージと違って笑えましたが・・・(以下ネタバレ)
    横浜あたりの上演劇場がだんだん大きくなっていくくだりは、どのくらいの人が分かったかなあなどと思って見ていました。実は私も「ピット」とかいうのは分かりませんが。

    ネタバレBOX

    チラシのイメージに沿ったような最後に私は納得がいかず、終演後、作・演出の方とお話しさせていただき胸に迫るものがありました。
    しかしそれは観劇するものにはあずかり知らぬこと、舞台で観たことが全てではないのか?とまだ気持ちは揺れるのでした。
    ところで、木乃枝さんはオペラにご出演の際はお名前が違うのでしょうか?

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