『フクロウガスム』 公演情報 『フクロウガスム』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     Bチーム初日を拝見。面白い。夢中になって観ることができる。旗揚げおめでとう。

    ネタバレBOX

     物語はグリム童話に記された梟の話と連続殺人事件捜査の進展・停滞の模様が幾重にも折り重なり、而も犯人と目される人物が精神障害を患う多重人格者であることから、犯人がほぼ特定されているハズでありながらその特定が正しいか否かを巡っての判断が極めて難しい推理をしなければならないように創られている。無論、実際に描かれる内容は更に輻輳している。実はこの多重人格が容疑者に認知されている4つのキャラクターに限定されるとは限らず意識されていない真のコントローラーが他に居る可能性が指摘され、その真のコントローラーが警察が使っている情報屋である可能性も示唆されることによって予想される事態を更に曖昧化している点があることである。
     観ている側としては作品のこれらの要素を勘案しつつ犯人を推理して行く面白さについ夢中になってしまうが、事件はどんどんエスカレートしてゆき被害者総数は最終的に36名を数える迄になる。而も総ての被害者にはある共通項があった。この共通項も実に早い段階から提示されているし而も何度も提示されているので見ている観客たちに刷り込むのは容易である分、原作者のシナリオ作成術の確かさが見て取れる。
     さて、以上のような状況を提示された観客と作家の実は一対一の知的勝負こそ、今作の眼目であるが、作家の目論見はもう一つある。つまり、とても大事な要件を隠す為に刷り込みを行っているということに気付くか否か。これが正解を得る為の唯一の方法である。
     舞台は暗転中に轟く雷鳴、明転しての初台詞という形で開けるが、この初台詞場面、演出の工夫が欲しい。女優に間を工夫させるなり台詞のトーンを工夫させるなり或いは音響・照明をもっと工夫して観客の箍を外し驚かせていきなり劇空間に引きずり込む工夫が欲しかった。

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