秘密 公演情報 秘密」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-9件 / 9件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    演出の緻密さ、言語と身体性をものにし景色として叶える俳優陣が一人残らず凄まじい(用松亮さんもはや職人の域)。

    以下ネタバレBOXへ

    ネタバレBOX

    反発を忘れる程自然に展開する家父長制@食卓のリアリティ。年老いて親が親でなくなっていく様とそれでも尚親であり続ける様の何方もが同濃度で浮かび上がり最後は決壊。。過去作でも思ったけど、出演の俳優さんが舞台上でしっかり年輪を背負われている、平たく言うとあの時間だけ人物の年齢分ちゃんと老けていらっしゃる故に多分誰と道端ですれ違っても同一人物と気づかないと思う。劇場の外で会うと当然皆さん若くて驚いちゃう。それって凄いことだ。
  • 実演鑑賞

    2022年王子小劇場での初演作の再演。6月8日まで三鷹市芸術文化センター・星のホール。130分。

    https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/06/post-2d2aea.html

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/06/04 (水) 14:00

    母の入院中に父が腰を傷めたことにより実家に戻ってきた娘、という状況での会話劇。
    舞台上にはダイニングテーブルと4脚の椅子、それに場によって扇風機や暖房機があるだけ、と極端なほど簡素なのに会話や演技の「間」によるものか極めて写実的に感じられるのがこの団体の真骨頂。
    また、マスクやフェイスシールドなどコロナ禍の真っ只中で上演された作品という感じがひとしお。
    さらにアフタートークでの「(演劇表現的に)堂々と嘘をつく」という徳永京子さんのご指摘に今まで劇団普通の観劇後に漠然と感じていた「ナニカ」を言語化していただけた感じで大きく頷いた。それ以外にも「石黒演出の秘密」に触れることができてとても有意義だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ちゃんと観客にセリフや芝居が届くように調整されてるんだけど。
    このギリギリのリアリティは凄いなと思った。
    同時に、これを舞台で観る意味って何だろなって思いつつも、目を離せないで引き込まれてるわけで。

    個人的には、他人の家族を覗き見する面白さだと思いました。
    でも、その覗き見した結果、自分の問題に帰っていくというか。

    シンプルだけど、緊張感を感じた美術。
    音は静けさを。照明は絶妙な微調整で時の移ろいを。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    娘の安川まりが久々に帰省している実家には・・いたいた。また戻って来たよこの場所に。父・用松亮、母・坂倉なつこはその「らしい」風情を見るだけで美味しい。目の保養。今作はとりわけ「大きな事件」の無い(事件により事態や関係性に変化をもたらす事のない)日常を写実したに近い作品。自分の故郷も茨城とは逆だが立派に方言のある地方で、しかしあの母と誰かとの同じような会話は間違いなくあったし、父の方はデフォルメがきついが同種の光景を小さい頃訪れた親戚宅で夫婦の言い争いとして見たし、恐らくそれは地方人に共通するある生態がなさしめるものであり、石黒女史はよく観察し、再現させている事に驚く。
    「大きな事件のない」と書いたが、日常においてしばしば起きる(起こり得る)小さな事件が人生においては小さくないのであり、自分をイラつかせる現実(物の判らない人を相手にするストレス)が「変わらない」という事は、大変な事であり、これが解決に向かうか、又は破滅に向かうか、いずれにせよ「変化」のストーリーででなければ描く価値はないのかと言えば、そうではないのではないか? と劇団普通の芝居を観る度に考える。とはいえ芝居には「終わり」があり、終わらせる必要がある。本作では父母の生活を助けに来ていた娘が、東京へ戻る日が訪れ、タクシーを呼んだ娘が家から出て行って袖に姿を消す。その現実が、父母の状態の回復を意味するハッピーエンドという訳でもなく、取り敢えずは大きな不安要因はないというだけに過ぎない所を、去って行くしか術なく、父母の側も送り出すしか方法がない、暫定的今日の安定があるのみ。姨捨ではないが思い切るしかない現実がある。そうした水面下で渦巻いてるかもしれない深刻さは、表には見えない。観客にも割り切りを要求し、自分も同罪となる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/06/05 (木)

    劇団普通『秘密』
    フライヤーには

    老いた父、
    老いた母、
    そして私。

    とある。
    『秘密』は 2022年4月に初演を拝見している。老父/老母の年齢に、あの時から3歳近づいていて、2人と多分同年配なのだと思う。今、その年齢で何とか健康ではあるけど、あそこに居る二人、他人事とは思っていられない。そして、親子、兄弟、姉妹と各家庭が秘めていることが、隣家を巻き込み舞台に現れる。
    静かな、しかし、家庭の課題/問題を巡る緻密な会話。
    用松さんが演じておられる様な爺さんにはなるまいと思うのだが....

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「感染症下で暴かれたこと」

     2020年公演が中止となりようやく2022年に初演された作品の再演である。ポストコロナの時代に感染症について描かれた作品を観られたことに深い感興を覚えた。

    ネタバレBOX

     ある地方に暮らす老父(用松亮)の世話をみるべく娘の由紀(安川まり)が帰省している。体調不良で母親(坂倉なつこ)が入院してしまったのだ。幸いにも昨今流行している感染症に罹患したわけではないようだが、妻がいなければロクに身の回りのことができず、いつも言葉少なな父親を由紀は気が気でない。兄の哲也(泉拓磨)と義姉の亜希(川口雅子)夫妻、従兄弟の日出夫(吉田庸)、美佐子(青柳美希)夫妻が時折見舞いに訪れるものの、庭木の世話から日頃の家事まですべて由紀任せになっている。ようやく退院した母だったがすぐに元通りとはいかず、滞在が二ヶ月近くに及ぶ由紀の不満が一気に爆発する事件が起きてしまうのだった。

     数年前まで多くの人々が直面していた感染症の流行による介護問題を描いた本作は、日常生活を淡々と丁寧に描くことでそれぞれの家庭に隠された「秘密」をあざやかに解体していく。兄夫婦や従兄弟夫婦は気遣ってはいるものの、それぞれに子どもや親の世話を負っているため誰も由紀の代わりにはなれない。老いて病み上がりの両親もまた娘なしには食事を作ることすらできず、介護サービスを受けようともしない。言葉少なな対話のなかに隠れた本心が台詞以上に雄弁で何度も見入った。父親役の用松亮の挙動に会場は特に沸いていた。さすがに似たような場面や台詞が多いため退屈するくだりもなくはなかったが、豊かな時間を過ごすことができた。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    全編茨城弁で綴られる、とても静かな会話劇。登場人物は主に、両親、子どもたち、孫たち、親戚などで、家庭内での日常が描かれる。物語の起伏は少ないものの、リアリティの高い繊細なシーンが多く、見入っているうちに飽きることなく終演。劇団普通は、その名の通り「普通」を極めようとする団体だと思う。

    ネタバレBOX

    封建的で意固地な父親。父親を立てることで家庭を保ってきた母親。実家を離れた長男夫婦、同じく実家を離れたが両親の看病や支援のため帰省中の長女、等々。リアルな設定が活きる物語。淡々と綴られる日常がここまで観客を惹きつけるのは、この団体の特性だと思う。ごく個人的なことですが、僕自身の状況とかなりオーバーラップするため、他人事として観ることはできません。この感想が、僕個人のものなのか、多くの観客たちに共通するものか、その辺りに大変興味があります。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    用松亮氏と安川まりさんの父娘漫才からスタート。十八番の遣り取りに「待ってました!」と観客がどっと沸く。用松亮氏はずっと誰か架空の人間の物真似をしているようにも見える。
    「なに?」(煙草の“ヤニ”のようなイントネーション)。
    「ああ、そうなの」
    「なあんだろ」
    耳が遠いのか何度も聞き返す。同じ話を何度も繰り返す。日常風景の中にカメラをぶち込んで狙っていない笑いを掘り起こすような作風。
    初演はコロナ真っ只中の2022年4月。その前に二度中止の憂き目に遭っての上演。

    実家、茨城県の母親(坂倉なつこさん)が高熱を出して入院。家事が全く出来ない父親(用松亮氏)の世話の為、東京で結婚している娘(安川まりさん)が帰郷。子供はなく、仕事は在宅テレワークを会社が許してくれた。買物をして食事の準備、掃除と洗濯に庭の手入れまで。腰を痛めた神経質で口うるさい父親(用松亮氏)にイライラしながらも。

    母の姉の息子、吉田庸氏は「さらば青春の光」の東ブクロっぽい。隣人の巨体・渡辺裕也氏はインディーレスラーに居そう。
    坂倉なつこさんの病院のシーンは必見。もう役者が演じているとは思えない程のリアル。

    安川まりさんはこのまま行けばとんでもない女優になる筈。

    次作はいよいよ12月にシアタートラム。用松亮氏と安川まりさんも登場。この前に皆観た方がいい。チケット取れる内に小劇場で味わうべき。今なら間に合う。

    ネタバレBOX

    静かで小声なシチュエーションが多い為か、居眠り客多数。だが笑いの多いサーヴィス散りばめた作品だと思う。

    肝となるシーンは、坂倉なつこさんが退院して安川まりさんに庭の手入れの方法を教える。だがそれを見た用松亮氏は怒鳴り散らす。女房が無駄に無理して倒れたと思っていて「余計な事するな!」と叫ぶ。その大声に驚いた隣家の渡辺裕也氏石黒麻衣さん夫婦が何事かと乗り込んで来る。その遣り取りが恥ずかしくなった安川まりさんは頭に来て外出、夜遅く帰る。ずっと帰りを待っていた父母、食事を催促。今から支度するのか、手が痛くてもう嫌だと返す。指の関節が曲がらない程痛んでいるのだと。坂倉なつこさんがその指をさする。「あんたは生まれつき手が小さいから人よりも痛むのかね」。涙ぐむ安川まりさんは食事の支度を始める。

    2ヶ月ということは9月10月なのか?

    石黒麻衣さんは小説を書くべき。それを本当に才能ある奴が監督して映画化すべき。ホン・サンスかな。

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