「20世紀少年少女唱歌集」 公演情報 「20世紀少年少女唱歌集」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    テント芝居の面白さ
    後半からの感情のほとばしり。
    テント芝居ならではの、薄布一枚だけの現実との距離感。

    ネタバレBOX

    前半のつまらなさにガッカリしたが、後半からぐんぐん良くなっていく。

    前半の、笑えなくて、面白っぽいだろ? 的なやりとりに少々辟易した。
    たぶん、それは戯曲にあるのではなく、演出でプラスした部分ではないだろうか。
    例えば、何回かある役者の実年齢のことなど。おかまも頑張りすぎて逆に引いてしまったし。
    おかま役の辻親八さんは、何もしなくても存在感が十分なのだから、全シーンで力まなくてもいいのではないのだろうか。
    「ここぞ」というところだけを熱くしてくれるだけで、全体にピリっとした刺激を与えてくれるのではないかと思うのだ。
    それを演出で力ませすぎて、逆に平板にしてしまったのではないかと思うのだ。
    つまり、全般的に演出には、「?」という感覚が残ってしまった。

    しかし、休憩後の後半からは、感情が舞台の上から猛烈にほとばしり、俄然面白くなってくる。
    「熱さ」がある。
    テント芝居の良さを肌に感じる。

    ビールとかを片手に(私は呑まないけど)、入口で渡された団扇を扇ぎながら、時々蚊とも戦いながら観劇するというのは、涼しい劇場の椅子に畏まって観るのとは明らかに違う。
    ナマの芝居という以上に、テントという「場」の持つ、薄布一枚だけしか隔てられていない「現実」とのギャップ、距離感、その境界線が面白いのだ。
    テント芝居ならではの感覚だろう。
    それは、テントだから、「外にいる」ということの「音」や「暑さ」という物理的な意味合いだけではない面白さがある。体験しなくてはわからない面白さ。

    ラストは「テント芝居のお決まりの演出」だ。
    ほぼ、テント芝居のラストはこれになる、と言ってもいいだろう(この前観た、唐組『海星~ひとで』もそうだったし)。
    だけど「待ってました!」な感じはある。

    物語で見せていく、夢と現実の落差、現実との折り合いというのは、確かにそうなのだが、その部分においては、今ひとつ納得できなかった。
    現実を突き付ければいいのではないのだから。そんなことぐらい誰だってわかってると思う。
    だから、ラストの展開が来るのだろうと思うのだが、それが何か現実逃避な意味合いに響いてしまったのだ。これは受け取り側としての、私の問題であるかもしれないのだが。

    この舞台、焼肉ドラゴンと共通点が多すぎて、それと比べてしまうと、ガチャガチャしすぎ。ただし、それを「(生きていることの)情熱」ともとらえることはできるのだが。でもピンポイントで違う顔も見せてほしかった。全体的に雑然のままなので。テント芝居だから、外の音が聞こえるから、ということではなく、そうだからこそ、そうではない部分がほしいと思ったのだ。

    ブレーク的な要素で出て来るのと思うのだが、しつこいわりに、3人のサラリーマンの位置づけがわかりにくい。ちょっともったいない気がした。

    それと、懐かしの歌の数々が聞けたが、その「歌」がもっと内容に絡んでくるかと思った。タイトルにもあるのだから。

    役者としては、中心となる四姉妹(水野あやさん、福島まりこさん、井上カオリさん、李峰仙さん)がとてもよかった。うまい。

    終演後、「毎日打ち上げ」ってのは面白いなー。
  • 満足度★★★

    やはり鄭義信戯曲は苦手?
    ミシンの訪問販売で故郷の小樽を訪れた女性が振り返る少女期…ということで昭和40年代の夏満載、内容から使用曲に至るまで自らの少年期とラップして郷愁をそそられる。
    また、テント内をわたる風、外のノイズ、この会場ならではの声の響き方など演劇界の「夏の風物詩」を満喫。
    がしかし15分の休憩込み170分の上演時間はさすがに長い。
    一昨年の『椿版「天保十二年のシェイクスピア」』と似たような長さでありながらもそう感じてしまったのは鄭義信戯曲が苦手であるゆえか?
    あと、恒例の「借景」が無かったのも残念。(物語の内容上、また装置の構造上から無理に入れるべきではないし…)

  • ”椿組”初観劇。
    巨大なテントの中には、本物と見紛うほどリアルなバラックが立ち並び、その周りをバイクやリヤカー、子供達がかけまわっている。

    その独特で異様な空間に圧倒された。

    決して好みではなかったけれど、非常に見応えのある舞台だった。

  • 満足度★★★★

    イイ作品だ
    椿組もテント劇も初体験。
    しっかりとした作りでビックリしました。
    うちわを受け取り自由席へ。暑い。うちわ役立ちまくり。
    冷えたビールやチューハイ、お茶を俳優さんが手売りしてくれます。
    良心的な値段で◎

    これからもっと暑くなりそうなので、首に巻く保冷剤でもあれば楽かもしれません。
    蚊には刺されませんでした。

    終演は21:45だったはず。

    第一幕はおふざけ多め。二幕でガッツリ心を掴んできます。
    最後、素晴らしかった!

    席の座布団が薄っぺらく、お尻の痛みとの戦いだったが観て良かった。
    また来年も観に行きたい。

    ネタバレBOX

    焼肉ドラゴンに通じるのがたくさん。楽しい。

    津村さん目当てで観に行ったら出番すくねぇ~。涙
    ちょっと間延びした部分もありつつ、暑さやお城や腰の痛みに「これが屋内なら…」と思いながらも、最後のあの仕掛けは野外ならでは。
  • 満足度★★★★★

    暑いだけでなく熱い!!
    野外劇って思ったより数倍楽しいっ。
    団扇やビールで暑さをしのぎながら、いつの間にか芝居に没頭してた。
    貧しい長屋暮らしの住人もみーんな強烈な個性があって
    一緒に笑ったり、泣いたり。。。
    休憩時間には花園神社にお参りもできたし、なんだか濃厚な時間がすごせました!

    ネタバレBOX

    福島まり子さんのおばちゃんっぷりがいい、亀田佳明さん泥まみれの熱演がすごい。
    青木恵さんの少年っぷりが可愛い、津村知与支さんのほのぼのリーマンは最高。
  • 満足度★★★★★

    「20世紀少年少女唱歌集」の初日観に行ってきました。
    「20世紀少年少女唱歌集」の初日観に行ってきました。
    野外に屋根つきの芝居小屋を設置するスタイル。芝居が始まる前からワクワクします。
    暑いかな、と事前に思いましたが、劇団員の方がウチワを配っており、しのげました。
    あと、ビールや缶チューハイ、冷たいお茶の販売もあり、今流行の「熱中症」対策は万全です(笑)
    芝居の中身は、オンボロな(死語?)トタン屋根の長屋に暮らす貧しい人々の、笑いあり涙あり、闘いあり、夢あり、絶望ありの物語でした。
    舞台全体が、さらに広く感じるような、数多くの出演者たちが全体で躍動するような芝居でした。
    Always三丁目の夕日よりも苦いストーリーですが、それだけによりリアルに感じました。

  • 満足度★★★★★

    役者の力と演出の力
    客席のあちこちから知り合いを呼びとめる弾んだ声、
    団扇パタパタ、ビール飲みながら開演を待つ。
    見下ろすセットは土埃巻き上がる廃線路引き込み線の奥、野原、立ち並ぶバラック。
    歌謡曲がたっぷり流れて昭和の匂いが立ち上る。
    野外劇の喧騒と解放感が今年もやって来た。

    ネタバレBOX

    紙芝居屋(外波山文明)が自転車をひいて出て来る。
    紙芝居仕立てで客に注意事項を伝え、これも恒例となった
    「花園神社は新宿区の避難場所に指定されております!
     皆さまはもうすでに避難しているのです!」
    という言葉に今年も客席は爆笑、こうして夏の椿組が始まる。

    舞台は関西の地方都市。
    戦争で傷ついた身体を寄せ合うように4姉妹とその家族が暮らすのは
    廃線路の引き込み線の奥にある小さな一角。
    バラックの汚れとしみったれ具合、トタン屋根などがリアルに再現されたセット。
    戸口にかかる布が花園神社を吹き抜ける風でハタハタとひるがえり
    吹きっつぁらしの野原の風が客席まで通る。
    野外劇の土と空間を生かした素晴らしい舞台美術(島次郎)だ。

    国から立ち退きを迫られている場所であり、「むこう」側へ出て行く住民もいる。
    「むこう」は楽園だと信じる若者、どこへ行っても同じとあきらめる者、
    ここに残ってもがいている者、小さなコミュニティは毎日嵐のようだ。

    物語は、4姉妹の長女冬江の娘ミドリの子ども時代を中心に
    長じてミシンの訪問販売の仕事で再びこの町を訪れた彼女の心情を挟みつつ展開する。

    この子ども時代のミドリを演じる青木恵さんが素晴らしい。
    ミドリは「俺は男になって船乗りになるんや!」と叫ぶ“男になりたい少女”である。
    男性が演じているのだと思って当日パンフを何度も見たが
    可愛らしい女性の写真にびっくりした。
    少年役の中で最も男の子らしい男の子だった。
    話す口調、仕草、黙って立っている時から、潔癖な子どもらしさまで
    21歳だという若さだけではない、なりきりぶりと作り込みが素晴らしかった。

    長女冬江役の水野あやさん、美しい人なのに
    徹底的に水商売のケバくてくたびれたおばちゃんになっていてとてもよかった。
    子どもミドリの為に水商売に入ったであろうに、その職業ゆえ
    ミドリから「お母ちゃんみたいになりたくない」と言われてしまう。
    その哀しみが伝わって来て最後じーんとしてしまった。

    次女秋江役の福島まり子さん、“大助花子”の花子みたいなおばちゃんが
    あまりにもハマっていて、大いに笑った。

    三女春江役の井上カオリさん、足の悪い(こちらが痛くなりそうな歩き方が上手い)
    全てをあきらめて笑っている菩薩のような女かと思いきや
    実は自分に正直な業の深いところを合わせ持つ複雑な女を熱演。

    この春江をめぐって男二人が争う場面がものすごい迫力でハラハラした。
    春江の夫役池下重大さんと、夏江の夫役亀田佳明さんが取っ組み合いのけんかをするのだが
    井戸端に置いてある桶の水に顔をつっこんでいるうち、
    亀田さんの口の辺りから超リアルな血が流れて
    客席が一瞬ひやりとしたのを感じた。
    だって血糊をつける暇なんて無かったはずだし、
    でも口からシャツが真っ赤だし、血糊より薄い色だし、あれ本物じゃない・・・?
    大丈夫だったんでしょうか、亀田さん?

    秋江の夫役恒松敦巳さん、片腕を失って尚一家の大黒柱であり、情に篤い男の
    誠実な人柄がにじみ出ていてとても良かったと思う。
    この人が出て来ると場が安定して落ち着く。

    ミドリを含む少年たちの遊びのシーンに、定型でない勢いがあって
    それがテントの中の空気を一気に“あの時代”に変える。
    ストーリー全体に骨太な演出の力強さを感じる舞台だ。
    ラスト、大人になったミドリが、大嫌いだったあの町のあの時代を
    ずっと大事に抱えながら生きてきたことがしみじみと伝わってくるが
    それを丁寧に説明するあまり若干引っ張り過ぎた感がある。
    向日葵のシーンが出色なだけに
    そこへ辿り着くまでが少し冗長な印象を受けた。

    これも恒例の“毎日打ち上げ”と称する公演後の飲み会も楽しかった。
    このセットを組み、芝居をし、バラして、役者たちはまた次の仕事に備えるのだろう。
    21世紀になって、あのころよりずっと暑い夏が過ぎて行く──。
  • 満足度★★★★★

    野外公演
    野外ならではの演出がたくさんあり楽しかったです。

    とくにクライマックスは圧巻でした。

このページのQRコードです。

拡大