実演鑑賞
満足度★★★★★
いつもながらとても素晴らしかったです。生演奏とお芝居見どころたくさんでした。内容も人の内面をとてもよく表現されていて、見ていてこちらも心が苦しくなるような真に迫ったお芝居だったと思います。演出もオープニングから良かったです。次回も楽しみにしています。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/01 (土) 18:00
能の「藤戸」。藤戸の戦で平氏に勝利をおさめた佐々木三郎盛綱が、児島の国(現在の岡山県倉敷市)の領主に着任した場面から始まる物語というCoRichに書かれたあらすじを読んだ感じだと、どんな感じか全容が分からなかった。
なので観始めた時はどんな感じか分からない不安の方が大きかったが、観ているうちに現代音楽や映像、不気味な程に薄暗く、時々俳優に絶妙に当てられる照明の向けかた、多少の能の所作が組み合わさって、夢幻能的な幻想怪奇な独自な世界観の現代劇で、思わず現実世界を忘れその世界観に引き込まれていた。
源平合戦の中で海上合戦が得意で児島周辺を支配していた平家と藤戸海峡を挟んで舟を持たない源氏軍が対峙する状況。
そのなかで、源氏の武者「佐々木三郎盛綱」が先陣切って藤戸海峡を馬にて一気に児島に向かってかけ渡り源氏の状況を打破する。
だがその為に、藤戸海峡から児島までの距離を測る為に児島の村人を水先案内人に児島の浜辺まで案内させ殺害するという衝撃的な残虐ピカレスク劇で、劇の前半から中盤に掛けての殺害再現場面や村人の母親の老婆の責められる場面、自分が殺害したことをいつまでも後悔と今を生きようとする心の狭間での葛藤でもがき苦しむ人間臭い佐々木三郎盛綱が、児島の国の領主となった際眼を失ったことからもギリシア悲劇『オイディプス王』における父殺しで実母と分からず結婚して犯し、眼を失うという同じではないが似通っており、日本版『オイディプス王』と言っても過言ではないと感じた。
しかし劇の中盤から終盤にかけて、眼を失った上で水先案内人の村人の母親が佐々木三郎盛綱を刺殺しに来るというような安易な復讐ではなく、水先案内人の村人の亡霊によってか、佐々木三郎盛綱自身の懺悔の念が呼び起こすものかは知らねど、悪夢のように村人を殺害した後の島に上陸直後の同じ日を気付いて起きると何度も繰り返し、不死身の身体となり、無限にループし続ける、これこそが悪戯に殺された村人の怨霊によるある意味どんな呪いや復讐よりも、佐々木三郎盛綱を精神的にも肉体的にも窮極に追い詰める手段としての最大限の復讐だと考えると、スーと背筋が凍り付き、恐怖に慄いた。何より、いつの時代でも永遠の時間というものに対する恐怖と憧れは変わらぬものだと感じた。
どんな恐怖映画やお化け屋敷にも匹敵するものを感じ、『藤戸』という能がもはや古典と化しているものの、全然忙しい現代でも通じるものを感じた。
実演鑑賞
満足度★★★★★
オープニングの波や蝶の映像の美しさが圧巻です。
祝の楽しげな始まりから恐ろしい場面へと変換される音と照明が演者さん達の迫力ある演技に合っていて魅入ってしまいました。
エンディングの音楽のカッコよさが映画のようでした!
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
「藤戸」は、能・謡曲の演目として知られているらしいが、この公演では現代語訳を礎に上演しており分かり易い。そして演奏舞台ならではの臨場感溢れる生演奏が心情を揺さぶる。また今回特筆すべきは、生演奏とともに照明・映像(プロジェクションマッピング)が美しく抒情的な雰囲気を醸し出し、意味合いは違うが 能の様式美のようなものを感じた。
謳い文句であろうか「夢か現か幻か…」、この言葉が公演の肝。時は平安時代末期、登場人物は4人で それぞれの立場は明確に描かれている。この観える人物と観えない人物、それを肉体的・精神的な対比として表出していく。そして新領主と領民、母親と息子といった関係性、さらに主人公の心の有り様といった情感が実に巧みに立ち上がる。誰も為政者を罰することが出来ない、そして恨みを抱くものを懐柔しようと…。その如何ともしがたい気持がじっとり纏わりつく怖さ。合戦における生死とは別の生々しさ、それが力のない老婆と亡霊によって脅し迫られるという皮肉。卑小だが気になることが1つ。
(上演時間1時間10分) 【team奏】 2.3追記
実演鑑賞
満足度★★★★★
盛綱の苦悩が深く描かれていると感じました。あと、役者陣の迫力の演技とセリフ間の呼吸の間合いが素晴らしいです。演奏との相乗効果もあり、至れり尽くせり、丁寧な舞台でした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
team奏を拝見。圧巻、ベシミル!! 凄い迫力、脚本の態と少し飛躍して演者たちの想像力を刺激する方法や、それに応えて為される役者陣の力、舞台美術にマッピングされるイマージュの美しさ及び的確さとこれまた見事に呼応する生演奏。華5つ☆ 追記2.19
実演鑑賞
満足度★★★★
多くの血を流し我がものにしたトップの座
勝ち得た特権とは裏腹に巣食う苦悩の姿はどこか「マクベス」を彷彿させ、やがては日本特有の情念がどっと押し寄せてきて、もう圧巻でした
怪談にも似た怖さはパンチが効いていましたが、それをドラマチックに彩る音楽、演出のおかげでエンターテイメントとしての余韻が残り、更には劇団さんのおもてなし精神のおかげで気持ちよく劇場をあとにする事ができました