満足度★★★★
夏いよいよ本番の日曜日。陽射しを遮る木陰ひとつない一軒家の庭を舞台にしたお芝居を観てきました。
『栢子の結婚』…栢子(かやこ)さんという、結婚直後に旦那さんに失踪された女性が、一応、ヒロインの物語。一応、と付け足したのは、このお芝居、栢子さんを励ましに集った様々な男女が、雀の様に騒がしく、何故か、自らの内面をさらけ出していく、アンサンブル・プレイ…群像劇なもんで、見方を変えれば、登場人物の誰もが主人公のように映るんです。
セリフ、なかなか聴かせます。総勢13名の登場人物の描き分けもきちんと出来ています。ホンの書き手の実力、数年前、別のお芝居で感じた凄さが、一層、研ぎ澄まされたなあ、と素人ながら感心しました。
満足度★★★★
身につまされる
いじめられっ子、栢子を巡る人間関係の描写が見事。キャスティングの良さ、構成力、演技の確かさ、演出、シナリオの論理構成力、どれもが非常に高い水準である。殊に、苛められっ子であるはずの栢子が、ちょうど、ダークマタ-が宇宙の真の構成要素であり、我々のいわば、明るい宇宙を支えているのと同じように、殆ど、自らの側からは、言葉を発っすることの無い栢子が、皆の重しになっているかのような逆転は、キリスト教に於けるイエスの存在にも比較できるかも知れない。苛めに対する、ひとつのつらい回答と読むこともできよう。
満足度★★★★
初見。次公演も期待
栢子の不幸さを確かめるために友人たちが集まったかのような設定は心地良いものではなく、前半はカップル、友人たちが発するダークな言葉や罵り合いにいささか疲れましたが、各人がポロリポロリと本音をこぼす辺りから、ぐっと引き締まって結果、見事な群像劇になってました。観劇後の後味は決して悪いものではなく、次公演も観てみたいと思わせるものでした。私の観た回は途中照明トラブルがありましたが、後半すごく集中して見れたので全く気になりませんでした。
満足度★★★★
お見事!
ダンナに失踪された女性とその周囲の人たちの会話中心の群像劇。夫婦や恋人たちの身勝手で、自虐的で、シニカルな会話に引き込まれちゃいました。当初は13人いる登場人物とその関係がわかりにくく、当日パンフをチラ見しながらの状態でしたが、わかるにつれて俄然面白くなってきましたね。私の観た回では途中照明トラブルがあって10分程度中断しましたが、それも気にならないほど。ところで、トラブルに対する主宰の真摯な対応には頭が下がります(個人的にはそこまでしなくともと思いましたが)。
満足度★★★★
結局他人は無関係
栢子さんの幸薄さが凄いです。空気のような地味さが良い感じで醸し出されています。話の展開は、終盤に近づきようやく面白味が増してきたという感じでしょうか。中盤までは中の悪い他人同士の関係が少し重かったです。結局はみな自分たちのことばかり考えて、他人なんて上辺だけ、という感じが受け取れるのは、今の社会を表しているようで良かったです。