満足度★★★★
痛々しくもセンスの良い会話劇
60分間のワンシチュエーションもので、淡々とした会話の中に登場人物の心境が丁寧に描かれていて、引き込まれる作品でした。
小学校の同窓会の2次会で集まった男女2人ずつの所にクラスメイトだった名乗るものの誰もその記憶がない女性が現れて謎が深まるのと同時に、過去のいじめの関係が次第に明らかになっていく話で、過ちを忘れて変わろうとする3人の女性の姿が描かれていました。
コミカルな雰囲気で始まり、次第にそれぞれの心の暗部が浮かび上がって、ギスギスとした痛々しい雰囲気が増して行く展開が巧みでした。謎が全ては明らかにならないままに終わるのが反ってリアルに感じました。
いじめられていた女性が客席に世を向けた状態で話し続けるシーンは表情が見えない分、逆に表情を想像させ印象的でした。唐突なラストがどう受け止めれば良いのか悩みましたが、コンパクトな上演時間の中で展開する会話に充実感がありました。
怪しい勉強会に誘い込もうとする謎の女を演じた木引優子さんの不気味さが魅力的でした。物語の本筋にはあまり絡まないものの、ちょっと抜けた感じのキャラクターで場を和ませた田村健太郎さんも良かったです。
白の帯状の生地を縦格子状に並べて飲食店の店内を表した美術のセンスの良さが素晴らしかったです。通常は壁で隠されている上階への階段を店への階段として扱い、扉を開けて鈴が鳴り、足音が近付いてくるときに、誰が来たのか期待させる演出も効果的でした。
今度、同タイトルの動ver.の公演がありますが、脚本は同じで演出が異なるのか、それともテーマが同じで全く異なる話になるのか楽しみです。
満足度★★★★★
必見!必見!必見!
やばい。
戯曲のレベルが超高い。
役者も良い。特に、いないかもしれない子が良い。
演出も悪くない。
舞台美術はさりげないが、かなりセンス良い。
気持ちを家に帰るまで引きずった。
青年団からまた1人新たな才能が。
満足度★★★★
純粋な会話劇
久々にここまでの純粋な会話劇を60分間観たような気がしました。そこで飽きることは全くなかったです。同窓会で誰?と思うようなことは度々あるので、確かにこういうのあるなというようなものも観ながら思えたりもしました。会話の中にも相手の思惑やその人の裏、そして関係性というのを違和感なく表現していたのは、脚本と演出の上手さだと思いました。
勉強になりました。ありがとうございます。
満足度★★★★
静かな物語を魅せた60分
大池さんの作品は初めてでしたが、まるで平田オリザさんの作品を思いだすような会話劇でした。表現としてはまあまあでしたが、使い方は、ちょっと派手でしたが、大池さん特有な使い方だったのでしょうか。
満足度★★★★
過去と現在
非常に整った、お手本のような物語。テーマがあって、葛藤があって、驚きがあって、共感がある。演出も効果的で、ラストもまとまっている。1時間弱の中にとてもうまく盛り込まれている。ただ、ひっかかりがない。ツルンと磨かれた物語の先にある、ガサガサした触感が欲しいなと思ってしまう。動バージョンも今からとても楽しみだ。
満足度★★★★
精緻
一見なんでもない会話のようなのに、
その裏にある状況を推測させたり、
「・・こうなんじゃないかな?」
とぼんやり思い描いた像に対して意外な解答を示したり、
ちょっとした違和感がさざ波みたく増幅したり、
雨音から外のいろんな状況を想像させたり、
そういうのが非常に巧みな作家+役者さんたちだなぁ・・と、思った。
1時間で、
ちいさな空間から、これだけ外の世界や過去の情景を空想させるのは
なかなか凄いな、と思ったりしました。