いないかもしれない 静ver. 公演情報 いないかもしれない 静ver.」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    痛々しくもセンスの良い会話劇
    60分間のワンシチュエーションもので、淡々とした会話の中に登場人物の心境が丁寧に描かれていて、引き込まれる作品でした。

    小学校の同窓会の2次会で集まった男女2人ずつの所にクラスメイトだった名乗るものの誰もその記憶がない女性が現れて謎が深まるのと同時に、過去のいじめの関係が次第に明らかになっていく話で、過ちを忘れて変わろうとする3人の女性の姿が描かれていました。
    コミカルな雰囲気で始まり、次第にそれぞれの心の暗部が浮かび上がって、ギスギスとした痛々しい雰囲気が増して行く展開が巧みでした。謎が全ては明らかにならないままに終わるのが反ってリアルに感じました。

    いじめられていた女性が客席に世を向けた状態で話し続けるシーンは表情が見えない分、逆に表情を想像させ印象的でした。唐突なラストがどう受け止めれば良いのか悩みましたが、コンパクトな上演時間の中で展開する会話に充実感がありました。

    怪しい勉強会に誘い込もうとする謎の女を演じた木引優子さんの不気味さが魅力的でした。物語の本筋にはあまり絡まないものの、ちょっと抜けた感じのキャラクターで場を和ませた田村健太郎さんも良かったです。

    白の帯状の生地を縦格子状に並べて飲食店の店内を表した美術のセンスの良さが素晴らしかったです。通常は壁で隠されている上階への階段を店への階段として扱い、扉を開けて鈴が鳴り、足音が近付いてくるときに、誰が来たのか期待させる演出も効果的でした。

    今度、同タイトルの動ver.の公演がありますが、脚本は同じで演出が異なるのか、それともテーマが同じで全く異なる話になるのか楽しみです。

  • 満足度★★★★★

    必見!必見!必見!
    やばい。
    戯曲のレベルが超高い。
    役者も良い。特に、いないかもしれない子が良い。
    演出も悪くない。
    舞台美術はさりげないが、かなりセンス良い。
    気持ちを家に帰るまで引きずった。
    青年団からまた1人新たな才能が。

  • 満足度★★★★

    純粋な会話劇
    久々にここまでの純粋な会話劇を60分間観たような気がしました。そこで飽きることは全くなかったです。同窓会で誰?と思うようなことは度々あるので、確かにこういうのあるなというようなものも観ながら思えたりもしました。会話の中にも相手の思惑やその人の裏、そして関係性というのを違和感なく表現していたのは、脚本と演出の上手さだと思いました。
    勉強になりました。ありがとうございます。

  • 満足度★★★★

    静かな物語を魅せた60分
    大池さんの作品は初めてでしたが、まるで平田オリザさんの作品を思いだすような会話劇でした。表現としてはまあまあでしたが、使い方は、ちょっと派手でしたが、大池さん特有な使い方だったのでしょうか。

  • 満足度★★★★

    過去と現在
    非常に整った、お手本のような物語。テーマがあって、葛藤があって、驚きがあって、共感がある。演出も効果的で、ラストもまとまっている。1時間弱の中にとてもうまく盛り込まれている。ただ、ひっかかりがない。ツルンと磨かれた物語の先にある、ガサガサした触感が欲しいなと思ってしまう。動バージョンも今からとても楽しみだ。

    ネタバレBOX

    誰もが当事者になることを恐れて傍観して、消極的な加害者であるいじめの問題は、生き辛い現代を表す一端だと思う。

    小学校の同窓会に久し振りに集まった日の帰り道に、2次会として仲間の一人が切り盛りするカフェバーに集まる男女。そこには、当時のいじめっこといじめられっこが同席している。認知症の家族に頭を悩ませる元いじめっこ。いじめられていた当時を払拭すべく、明るく振舞う元いじめられっこ。卒業文集に書いた将来の夢を追い続けることの困難さを、まざまざと実感する年になって改めて振り返る当時のアレコレには微妙な緊張が走っている。同時に、その場にいる誰もが名前を思い出せない女も登場する。女は誰よりも当時の記憶を鮮明に覚えているが、誰なのかわからない。そして次第に明かになる、元いじめっこの怪我の真相。

    舞台上は、「静バージョン」にふさわしく、開演から終演まで音はかすかなものばかり。聞こえるのは、店の出入り口のドアベルの「カランコロン」と、実際に舞台上で飲食している音と、雨音くらい。ビーフンを食べる音が、こんなにはっきり聞こえるとは(笑)無音が、困惑した空気や緊張感を増長させる。

    また、物語の終盤ずっと観客に背を向けながら自身の思いを訴える元いじめられっこの姿。そこにどんな表情が浮かんでいるかは想像するしかない。

    無音と背中はとても効果的なのだが、その意図が明示されてしまうと何だか味気なく感じてしまう。また、ザビエルや絵本の「いないかもしれない」やビッキーなどの、何気ない会話の中に出てきた事が終盤一気に収束していくのは快感なのだが、まとまりが良すぎるなとも感じてしまう。

    多分、一定レベルの秀作はコンスタントに創作出来てしまう作演出家なのだろうと感じた。だからこそ、創作を重ねて進化していく物語を、観劇という形で応援したいと思う。
  • 満足度★★★★

    精緻
    一見なんでもない会話のようなのに、
    その裏にある状況を推測させたり、
    「・・こうなんじゃないかな?」
    とぼんやり思い描いた像に対して意外な解答を示したり、
    ちょっとした違和感がさざ波みたく増幅したり、
    雨音から外のいろんな状況を想像させたり、
    そういうのが非常に巧みな作家+役者さんたちだなぁ・・と、思った。

    1時間で、
    ちいさな空間から、これだけ外の世界や過去の情景を空想させるのは
    なかなか凄いな、と思ったりしました。

    ネタバレBOX

    女子の・・「冷徹な残酷さ(と言って良いのかな?)」を描くのがとても巧いな、と思ったりした。

    ラストまで来て、「これってハッピーエンドなのかな?」と、ぼんやり思ったりした。

    むかし苛められてた女性は、いじめてた女性と一緒にいても、
    たぶん大丈夫だろうけど、
    いじめてた女性は、逆にダメなんじゃないのか・・?
    と、思ったりした。

    そうしたら、当人たちはともかくとして、
    その子たち(まだ遠い未来のことだけど)が
    不幸になる可能性も想像してしまった。

    ・・いや、なんだかこのまま、どこかのど元になにか引っかかったままみたいなまま、友達づきあいをするのかなぁ・・と、思ってしまって。

    その解答は、近いうちになにかの作品で出るのでしょうか・・?

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