ゴシック 公演情報 ゴシック」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-11件 / 11件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/08/15 (木) 14:00

    久しぶりの民俗学系奇譚は明治時代、因習に基づく「最後の儀式」を執り行う一族の物語。
    「あの当時」の「旧家ならでは」(←個人的イメージ)のしがらみを描いてからの「御山入り」場面は圧巻。時空が歪んだり人物が別人格になったり心霊系とはまた異なる納涼風味、今の時期に相応しい一編。
    なお「御山入り」場面に「八つ墓村」の洞窟シーンを想起。アレをこの会場で見せるとは恐れ入りました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    諏訪生まれなので色々想像しながら観ました。のでそういう観点から。

    姨捨は県北部のイメージも山梨なイメージもありますが、神社は諏訪だし、今も命懸けの祭りを続ける地域でもあり、酒蔵もありますね。
    台本、美術、照明、演出など本当にこんな風習や葛藤があったのかと思うようなリアルさが出ていたと思います。頭にあの辺りの山や崖の地図が浮かびました。
    どの劇場もだけど、この劇場は特に特徴を上手く使ってる団体があって、今回も奥まで続く洞穴と、光が見える入口の途中を使った感じから、その場にいるような臨場感がありました。
    夏の暑い日に涼しい洞窟でなかなかホラーな話でした。

    ネタバレBOX

    本家と分家の話もですが、過去に嫌がる母を山に置いてきて胸につかえている絹としては、時代が変わるのだからと言われても、自分が死ぬことになっても、古いしきたりに従うしかなかったのだろうなあと。一般的な姨捨山の話は知っているけど、そういった風習が本当にあったとして、どこかで誰かがやめようというときには葛藤や対立があっただろうし、その辺を扱いつつ、旧家の後継問題とか孫の障害とか絡めている点が新しい。
    同じような状況は、時代や集団の状況、世の中の決まりが変化するとき、どこでもありうる葛藤だと思った。
    人が死ぬからって古い祭りをやめたらそれこそ葛藤や対立が起こって、すごいドラマになるだろうし。

    お話は、謎があって現状に不満を持っているあの辺が黒幕っぽくて、誰が死ぬのか生きるのか…という展開が見えてしまうのだけど、繭の豹変した姿とか、これもありそうだけど、ゾクゾクしたし、結果もああやっぱりか~ではあるけど、ちょうど初心者でも楽しみやすいかと思いました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    作品の感想というか、何かに固執しそれを守ることが義務となり大きな問題が起こるという事、現代社会でも普通にあり得る話で怖くなった。

    舞台美術が良い。柱の使い方、やっぱり良い。繭の狂気が印象的。

    あの結末、続きが気になる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/08/15 (木) 19:00

    価格4,000円

    真夏の夜に涼しさ際立つ悍ましき物語でした。
    キャスト全体のクオリティ。舞台製作・演出も見応えする作品だったと思います。
    怪奇的な「ゴシックホラー」をイメージした本作では、会場が「楽園」ということもあり
    客席が分断されて舞台が中央にも出捌けできる仕様になっているため、
    暗闇のシーンが多い中、空間全体を上手く魅せているな…と言った印象。

    ネタバレBOX

    良い舞台でしたが、話の内容が分かりやすくクライマックスも想像しやすい。
    その分、パンフレットで御厨家家系図を見なくても役者の台詞で容易に想像することが出来た。
    ご共感下さる方いらっしゃるかもしれませんが、まるでTVやPCのサスペンス系ゲームを舞台化したような…そんなイメージの物語。全体的なクオリティが高い分、もう少し尖ったストーリー性・場面があっても良いのかなとは思います。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    横溝正史作品という趣でしたが金田一耕助は出てこないので、いろいろ歯痒かったです。
    なんで女性だけが山に捨てられるの!?と憤りましたが、こんな風習が始まったのは遠い昔、人生50年だったので爺さんはそうそう60歳にはなれなかったのかなと思いました。
    人間の業、欲望、身勝手さ、自己保身など描かれて怖かったです。
    まさかここで「信濃の国」を聞くとは思いませんでした。

  • 実演鑑賞

    いつもとうってかわった作風。
    そう横溝正史的な。
    それとかつてのホラー系のサウンドノベルっぽくもあり。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    台風の中での観劇。ラスト姥捨て。母vs娘。本家vs分家。横溝正史的な世界観ね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    冒頭から 物語へ集中させる雰囲気作りや関心を高める工夫、見応え十分。明治時代の長野県、そこの旧家を舞台にした悍ましい伝承物語。当日パンフに家系図が記載されており、登場する人間関係(立場)を明確にしている。時代背景と土地柄、そして本家・分家という家(家長)制度を絡め、人間の欲望 その深淵を描いている。

    「姥捨て」する迄を前半、「御山入り」で自分の欲望と向き合うことを後半とすれば、その展開と観せ方も秀逸。隠された事実、それを解き明かすように七曲り先の六道(りくどう)、人々の欲望が剝き出しになって浮き上がる。各人の欲望に応じてテンポよく場面転換し、欲望の鏡合わせのような存在が繭(吉水雪乃サン)、その妖しい演技が印象的だ。
    ちなみに舞台壁、前半と後半とで荒い岩肌から洞窟の中といった変化をみせ それが鈍く妖しく輝いているようだが、これにも伏線が仕込まれており巧い。

    物語には、この家系とは別の人物を登場させ、人間の欲望とは この旧家に限ったことではない、そんな闇の広さと深さを鋭く抉っている。獣のような 出で立ちで、今まで「御山入り」した人々の魂の声が聞こえていた鍵屋の又やん(祥野獣一サン)、一方 実直な奉公人風の銭屋の照やん(山村鉄平サン)、後々の変化も含め この2人の存在が妙。
    (上演時間1時間50分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、劇場入口とは反対の奥に鳥居、その前に岩が2つ。この劇場の特徴である柱には しめ縄と紙垂。前半は崖岩を思わせるような幕。上演前には水が滴り落ちるような音が不気味。物語は御厨家4代に亘る姨捨て、その儀式に隠された因習を おどろおどろしく描く。観客は見巧者ばかりではなく、直截・表層的に見て感じることが大切。その意味で この世界観の好き嫌いはあるだろうが、丁寧な公演にしていると思う。

    御厨家の女 まゆをその娘 絹が姨捨てに付き添うところから始まる。60歳になったら御山入りする定めになっているが、まゆ はまだ若々しい。その美貌ゆえに生への未練があるのでは と陰口を言われた。そして娘の絹も御山入りの年齢を迎えるが…。当主の結吉には亡き妻との間に2人の娘 紬と繭がいる。そして後妻に染を娶り、その連れ子。結吉の姉で分家となった糸とその子。多くが血縁関係という閉じられた世界。いや この地域そのものが排他的だ。

    絹の御山入り、そこに同行した繭の純真というか特別な存在(力)によって、御厨家の人々の欲望が浮き彫りになっていく。例えば 紬は妹の繭が疎ましい、分家では本家への蟠りと我が子を本家の跡取りへ といった思惑を抱いている。血縁・地縁という閉鎖的な環境下における欲望は陰湿で後々まで祟る。代々の御山入りした多くの屍、その光景が見えなくても その凄惨さが感じられるような迫力。

    前半は御厨家の周辺、そして今起こっている出来事を点描している。後半は岩肌の幕を取り、洞窟内を思わせるような鈍い輝きの岩。前半 その鉱物に係る会話があり、物語ー姥捨て では自分の大切なものを捨てないと神になったご先祖様に会えない。繭にとって大切なものの象徴としての鉱物。先にも記したが、夫々が抱いている欲望の鏡合わせとしての存在が繭。御山入りする当人と同行する者は白装束、しかし六道での繭は赤着物で修羅の形相。その観せる演出と鬼気迫る演技が圧巻だ。

    御山入りした者が里に戻ってこないように嫁殺しという毒を盛る。そこに絡む 村人の鍵屋の又やんの獣のような荒々しさ図々しさ。一方 銭屋の照やんは実直そうだが、実は金を貰いお山の管理をしている。因習に相応しく口承という台詞まで飛び出し、なぜ記録が無いのか等という詮索をさせない。そもそもが理屈に合う噺ではなく、因習という得体の知れない といった醍醐味を味わわせてくれる。
    その怪しい雰囲気(全体的に暗い空間)は、裸電球や鳥居に吊るされている提灯の点滅、狂気と化した白い着物と赤い着物というビジュアルの対比、そして おどろおどろした音楽が実に効果的だ。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    風雷紡はこのところ連合赤軍ものばかり観ていたので新鮮だったが、「社会派的視点」は時代を変えても「ゴシック」になってもゆるぎない
    不要なものとは?
    社会にとって、コミュニティにとって、「家」にとって・・・
    一昨年の演劇ユニット鵺的の『バロック』のオマージュだという風雷紡版「姨捨て」だが、「姨」よりもハンディを負った娘繭(吉水)と旧弊を背負った「名家」の滅びに主眼があるように思われた
    「六道」での「謎解き」のプロットも上手かった
    あの扱いにくい楽園の空間が実にうまく使われていた
    基本的に役者動線は対角線、通常の入り口まで使われる
    途中「壁」が変化するとそこを出たり入ったり(「六道」の輪廻転生)
    中に入るとまず目につくのはステージの奥に設置された大きな鳥居(先日の「小夜の月」の意味も明るい鳥居とは正反対)、そこに下がる提灯、そして壁が不気味
    何と言っても提灯の点滅を含め暗めの絶妙な照明がその様を倍加させていた
    相変わらず祥野獣一の存在感は凄かった
    出てくるだけですごい迫力
    吉水雪乃の変化も素晴らしかった

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    時空を超えた非日常に入り浸った体験でした。
    舞台は長野県で100年ぐらい昔の設定なのですが、登場人物ごとの感情の動きや個性がよく伝わってきました。
    光や音の使い方もきれいで、途中全く時間を気にすることなく一気に観れる作品。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/08/14 (水) 19:00

    おどろおどろしい物語だが、興味深く観た。104分。
     明治期、長野の山村の旧家での「姥捨て」を描いて、面白い物語になっていた。オープニングから重々しく始まり、若い世代のさまざまを描き、親の世代の葛藤へと展開して、「御山入り」のクライマックス、と、ある意味分かりやすく展開され、非常に面白く観た。鵺的『バロック』へのオマージュと謳っているが、そう思わなくても理解できる。近年は、実際の事件を扱って好評だった同劇団だが、以前はこの種の伝奇的物語もやっていたなぁ、と思い出した。役者陣も好演だが、「妖し」の気分をしっかり背負った祥野が目立つ。前半と後半で違った演技を見せる吉水雪乃も凄くて、長い髪が美しく印象的なシーンがあるので、見逃す勿れ。

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