実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/15 (木) 14:00
久しぶりの民俗学系奇譚は明治時代、因習に基づく「最後の儀式」を執り行う一族の物語。
「あの当時」の「旧家ならでは」(←個人的イメージ)のしがらみを描いてからの「御山入り」場面は圧巻。時空が歪んだり人物が別人格になったり心霊系とはまた異なる納涼風味、今の時期に相応しい一編。
なお「御山入り」場面に「八つ墓村」の洞窟シーンを想起。アレをこの会場で見せるとは恐れ入りました。
実演鑑賞
満足度★★★★
諏訪生まれなので色々想像しながら観ました。のでそういう観点から。
姨捨は県北部のイメージも山梨なイメージもありますが、神社は諏訪だし、今も命懸けの祭りを続ける地域でもあり、酒蔵もありますね。
台本、美術、照明、演出など本当にこんな風習や葛藤があったのかと思うようなリアルさが出ていたと思います。頭にあの辺りの山や崖の地図が浮かびました。
どの劇場もだけど、この劇場は特に特徴を上手く使ってる団体があって、今回も奥まで続く洞穴と、光が見える入口の途中を使った感じから、その場にいるような臨場感がありました。
夏の暑い日に涼しい洞窟でなかなかホラーな話でした。
実演鑑賞
満足度★★★★
作品の感想というか、何かに固執しそれを守ることが義務となり大きな問題が起こるという事、現代社会でも普通にあり得る話で怖くなった。
舞台美術が良い。柱の使い方、やっぱり良い。繭の狂気が印象的。
あの結末、続きが気になる。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/15 (木) 19:00
価格4,000円
真夏の夜に涼しさ際立つ悍ましき物語でした。
キャスト全体のクオリティ。舞台製作・演出も見応えする作品だったと思います。
怪奇的な「ゴシックホラー」をイメージした本作では、会場が「楽園」ということもあり
客席が分断されて舞台が中央にも出捌けできる仕様になっているため、
暗闇のシーンが多い中、空間全体を上手く魅せているな…と言った印象。
実演鑑賞
満足度★★★★★
横溝正史作品という趣でしたが金田一耕助は出てこないので、いろいろ歯痒かったです。
なんで女性だけが山に捨てられるの!?と憤りましたが、こんな風習が始まったのは遠い昔、人生50年だったので爺さんはそうそう60歳にはなれなかったのかなと思いました。
人間の業、欲望、身勝手さ、自己保身など描かれて怖かったです。
まさかここで「信濃の国」を聞くとは思いませんでした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
冒頭から 物語へ集中させる雰囲気作りや関心を高める工夫、見応え十分。明治時代の長野県、そこの旧家を舞台にした悍ましい伝承物語。当日パンフに家系図が記載されており、登場する人間関係(立場)を明確にしている。時代背景と土地柄、そして本家・分家という家(家長)制度を絡め、人間の欲望 その深淵を描いている。
「姥捨て」する迄を前半、「御山入り」で自分の欲望と向き合うことを後半とすれば、その展開と観せ方も秀逸。隠された事実、それを解き明かすように七曲り先の六道(りくどう)、人々の欲望が剝き出しになって浮き上がる。各人の欲望に応じてテンポよく場面転換し、欲望の鏡合わせのような存在が繭(吉水雪乃サン)、その妖しい演技が印象的だ。
ちなみに舞台壁、前半と後半とで荒い岩肌から洞窟の中といった変化をみせ それが鈍く妖しく輝いているようだが、これにも伏線が仕込まれており巧い。
物語には、この家系とは別の人物を登場させ、人間の欲望とは この旧家に限ったことではない、そんな闇の広さと深さを鋭く抉っている。獣のような 出で立ちで、今まで「御山入り」した人々の魂の声が聞こえていた鍵屋の又やん(祥野獣一サン)、一方 実直な奉公人風の銭屋の照やん(山村鉄平サン)、後々の変化も含め この2人の存在が妙。
(上演時間1時間50分 休憩なし)
実演鑑賞
満足度★★★★★
風雷紡はこのところ連合赤軍ものばかり観ていたので新鮮だったが、「社会派的視点」は時代を変えても「ゴシック」になってもゆるぎない
不要なものとは?
社会にとって、コミュニティにとって、「家」にとって・・・
一昨年の演劇ユニット鵺的の『バロック』のオマージュだという風雷紡版「姨捨て」だが、「姨」よりもハンディを負った娘繭(吉水)と旧弊を背負った「名家」の滅びに主眼があるように思われた
「六道」での「謎解き」のプロットも上手かった
あの扱いにくい楽園の空間が実にうまく使われていた
基本的に役者動線は対角線、通常の入り口まで使われる
途中「壁」が変化するとそこを出たり入ったり(「六道」の輪廻転生)
中に入るとまず目につくのはステージの奥に設置された大きな鳥居(先日の「小夜の月」の意味も明るい鳥居とは正反対)、そこに下がる提灯、そして壁が不気味
何と言っても提灯の点滅を含め暗めの絶妙な照明がその様を倍加させていた
相変わらず祥野獣一の存在感は凄かった
出てくるだけですごい迫力
吉水雪乃の変化も素晴らしかった
実演鑑賞
満足度★★★★★
時空を超えた非日常に入り浸った体験でした。
舞台は長野県で100年ぐらい昔の設定なのですが、登場人物ごとの感情の動きや個性がよく伝わってきました。
光や音の使い方もきれいで、途中全く時間を気にすることなく一気に観れる作品。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/14 (水) 19:00
おどろおどろしい物語だが、興味深く観た。104分。
明治期、長野の山村の旧家での「姥捨て」を描いて、面白い物語になっていた。オープニングから重々しく始まり、若い世代のさまざまを描き、親の世代の葛藤へと展開して、「御山入り」のクライマックス、と、ある意味分かりやすく展開され、非常に面白く観た。鵺的『バロック』へのオマージュと謳っているが、そう思わなくても理解できる。近年は、実際の事件を扱って好評だった同劇団だが、以前はこの種の伝奇的物語もやっていたなぁ、と思い出した。役者陣も好演だが、「妖し」の気分をしっかり背負った祥野が目立つ。前半と後半で違った演技を見せる吉水雪乃も凄くて、長い髪が美しく印象的なシーンがあるので、見逃す勿れ。