日曜日のクジラ 公演情報 日曜日のクジラ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-9件 / 9件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    息子を失った母の狂愛、その裏の黒い素顔、なかなか共感できず。暗転時の何とも不快な音もきつかった。作品の質は凄く高いと思うが、ダメな人はダメかも…
    そんな中、女子高生2人は実に良い。妹は言葉はキツイが現実をしっかり受け止め前に進んでいるのが健気。親友はしっかりと目的を持って頑張っている、その言葉にマジ泣きしてしまった。
    それだけで観て良かったと思えた。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    念願叶って実力派劇作家ピンク地底人3号の根城ももちの世界(固有名詞が謎満載)の舞台にようやくお目見えとなった。
    新しくなった雑遊の「劇場らしい」佇まいも初めてな気がする。とある一戸建て住居の一室がステージ一杯に作り込まれ、漸くにして(つっても自分の観た数回の中では、の話だが)雑遊の名に相応しい貫禄を見せ、胸が熱くなるものがあった。
    そして芝居。関西弁が基調のストレートプレイにはある種の笑いが付き物だが、本作は笑い涙を仕掛ける人情喜劇に安易に流れず、硬質でしなやかでリアルで、儚くも残酷で美しい煌めきと、熱情がある。一瞬だが巧妙に現代の剣呑な状況への憂いに触れ、また巧妙に、恋心の存在にも触る。タイトである。

    芝居の初め組の舎弟らが執拗に語るヒチコック「サイコ」が最後唐突に出現したのには笑った。
    実力ある俳優も注目であったが、こういう良い芝居を観ると関西弁も嫌いでなくなる。(元々嫌いな訳でもないが。)

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    所見の劇団さん。想像していた作風と違っていたけど,これは嬉しい誤算か?恥ずかしながら,「ももち」とか「ピンク地底人3号」という名の響きに引っ張られていたのです。面白かったですよ。場面転換の際のノイズが良い効果を出しています。最後の展開はなるほどねと思ってしまいました。架空の日本の物語ですが,とても身近なお話でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    見に行った会は満席で雑遊の席は狭いのでちょっと辛かった。
    ファンタジー系の話なんだろうなと油断してました。
    会話のテンポの良さと面白さですぐに引き込まれていき、ラストの怒涛の展開で・・・緩急が凄くて楽しめました。

    ネタバレBOX

    これは罰なのか、人を不幸にすると自分に返ってくるんだよと。
    でも罰を与えられた人がわかっていないのが怖い。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    圧巻です。とにかく演技がすばらしかったです。最後の白黒の場面からあの有名なあのシーンにつながるあたりに「そうきたか!」と思いました。何もかも完璧で大満足の舞台でした^^

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    演技や登場人物関係にやや過剰感がありストーリーの設定にもちょっと無理があるような気もするが、そんなことを難しく考えなければ総じて楽しめる舞台。出だしのチンピラ同士の映画についての会話が面白い。雑遊の座席が狭すぎて満席だとかなり窮屈だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初見の団体だが、観劇して良かったと思える作品。何となくフィクション性とドキュメンタリー性を併せ持ち、どこかの街、ある家族などといった曖昧さ、しかし その中に表現し難いリアルな狂気を孕んでいるようで目が離せない。全編を貫く怪しく不気味な感じ、その独特の雰囲気・世界観が物語を興味深く そして力強く牽引していく。緊密な人間関係、濃密な会話、そんな張り詰めて逃れられない状況だが、何故か心地良さもある。観た回は満席、観応え十分。

    チラシには<架空の日本>とあるが、台詞から現代日本 しかも地域まで特定出来そう。この場所(憶測)が妙。自衛官の息子はパイロット、しかし3年前のある日 飛行中に行方不明になった。溺愛していた母の嘆き、残された家族の夫々の心情と周りの人々との関りが歪に立ち上がっていく。「日曜日のクジラ」ーこれは夢や希望を叶えるというよりは、儚さと願望 そしてラストは衝撃的な…。あまり記すとネタバレになりそう、ぜひ劇場で。
    (上演時間1時間50分 休憩なし) 7.31追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、MOTELを営んでいる桐野家のリビングをリアルに再現しているよう。中央にソファとテーブル、その後ろは摺りガラス戸、周りは整理棚、壁には飾り物で実際に人が住んでいると錯覚しそう。珠暖簾・ギター・コーヒーポット等。上演前には波の音。
    さて、当日パンフに矛盾を矛盾のまま、描きたいという想いでこの戯曲を書いた…ある種のわかりやすさを放棄した作品 と書かれていたが、その不安定で定まらない感じが 逆に不穏という怖さになっている と思う。

    物語は4幕。「架空の日本」、海岸沿いの国道にある小さな看板明かり…冒頭 何となく京都府舞鶴市を連想させるような台詞。舞台となるMOTELの経営者 桐野京子は自衛官になった息子 ひかる を溺愛していたが、飛行訓練中に行方不明になったまま。それから3年後、神の使いである「願いを叶えるクジラ」の噂が流れ、それを見つけるために三人のヤクザ者を呼び出すが…。

    ひかる は登場しないが、その嫁 工藤真美やその兄 丈一の存在によって不安もしくは不穏な様相を漂わす。母 京子、ひかるの弟 祐輝、妹 あかりという家族、更に あかりの友人 高橋海香や京子の友人 向井昌枝という家族以外の人々によって家族と町の状況を浮き彫りにしていく。母はひかるが小学生の頃に描いた飛行機の絵を褒めるといった溺愛ぶりを示す。母から逃避するように東北の自衛隊基地のパイロットへ。しかし、母はブルーインパルス飛行訓練を この地へ誘致し息子の晴れ舞台(姿)を見たいと思い、市長へ要請。何年か前 幼馴染の市長の不正、それを脅しのネタに飛行訓練の誘致を強引に行い、その結果 息子は行方不明になった。勿論 市長にも街の活性化という目論見があった。諸々の利害が一致したイベントであったが…。

    公演は母の不気味な存在感…一市民でありながら市長と通じヤクザを操る黒幕的な人物を好演。祐輝の真美への恋慕という個人問題、海香が東日本大震災 被災者といった社会問題、それぞれ違う次元の問題を点描し興味を惹かせる。しかし、何かに収斂するといった感じではなく、そこにある出来事を綴ったという印象。動的なラストシーン(ガラス越しの凶行)と静的な照明技術(モノクロ)は対照的だが 圧巻だ。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    シルエットを使って影絵調に演出するプロローグが雰囲気を出す。激しい雨が打ち付ける中、ハンドルを握って車を走らせる。ある男がこの町にある目的をもって向かっている。その男が誰なのか、目的が何なのかが作品の主題となる。

    物語が綴られる場所は映画のポスターやらフイギュアやらが賑やかに飾ってある地方のモーテルのラウンジ。『サイコ』や『猿の惑星』なのは何かの伏線だろうか?

    三井田明日香さんはチンピラ役のステレオタイプを元気よく演じた。
    二瓶正也似の内田健介氏の出演を知らず、いきなりの大物役者の登場にびっくりした。
    鈴木美緒さん、谷川清夏(きよか)さんも雰囲気がある。
    喜田裕也氏は高畑裕太の不穏な雰囲気を感じさせた。
    青海(あおみ)衣央里さんから見えるこの世界は一体どんなものなのだろうか?
    ずっと波の音、雨の音。

    ネタバレBOX

    面白いとは思わなかった。多分ラストに何かとんでもないことが起こるだろうという期待感だけが漂っていたが、『サイコ』ネタだけ。ノーマン・ベイツのように母親と息子は一人二役の二重人格って訳でもなく。何でも願いを叶える鯨が現れて息子を甦らせるのかと思っていた。

    大物ヤクザの組長の妾が地元で裏社会の権力を振るっていたという設定もどうかと思う。漫画っぽく安っぽい。話や設定が妙なルールに縛られている。年齢設定がややこしくパッと見で判り辛い。

    大物ヤクザの組長の妾として地元に顔を利かせてきた女(青海衣央里さん)。海の見える国道沿いのモーテルを家族で経営している。近くに住みここで働いている青海さんの幼馴染み(青柳糸さん)。料理を担当している二男(喜田裕也氏)。女子高生の長女(鈴木美緒さん)は描いた漫画を友達(谷川清夏さん)に読ませている。

    3年前、航空自衛隊のアクロバット飛行を披露するブルーインパルスを誘致。地元凱旋の展示飛行中、一機が忽然と姿を消す。そのパイロットが青海さんの自慢の息子、長男のひかるだった。
    青海さんはひかるがいつか帰って来ることを信じ、教会に通い神に祈りを捧げる毎日。地元の都市伝説である、神の遣いの「願いを叶える鯨」が現われてひかるを戻してくれる妄想に取り憑かれている。その為に若いヤクザ3人(谷本ちひろ氏、内田健介氏、三井田明日香さん)を呼んで鯨の捜索を依頼。

    実は5年前にも市長の失踪事件が起きており、この地には神隠しがあるのか噂されていた。
    その市長の娘(桜まゆみさん)はひかると結婚。ひかるの失踪後、3年振りの帰郷。子鯨が海岸に座礁と偶然が重なっていく。

    5年前失踪した市長は日記を残していた。ひかるの親友でもあった息子(平吹敦史氏)は父親を殺した者は青海さんの命を受けたヤクザであることを知る。昔の汚職事件の証拠を握られブルーインパルス誘致に賛成するよう脅されていたのだ。一度はそれを呑んだものの政治的な信念から反対に回ろうとして殺された。青海さんに自首を迫るが平吹氏は突然のアナフィラキシー・ショックで倒れてしまう。

    ブルーインパルス反対運動には戦闘機を国内で飛ばすことへの懸念、日本の再軍備、軍事化の流れを阻止する意図がある。国粋主義者的に描かれる青海さんとヤクザ達。息子を英雄として地元に迎え入れたい思い。(実は元妻の証言ではひかるはそれを嫌がっていたようだ)。この物語で作家が描こうと狙ったものはもっと政治的な寓話だったのかも知れない。エピローグで自衛官の制服を着た谷川清夏さんが青海さんに自衛官の子供を持つ気持ちを聞く。東日本大震災で災害救援活動に命を救われた感謝の念から自衛官を志したのだ。問うのは国との関係性?愛するものとの関係性?

    ラストのセピア照明は何度か観たが凄い効果。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    間合いもテンポも絶妙でした。

    ネタバレBOX

    役者の全力投球に感じられる熱気に、その場にいるかのような臨場感があり、そして、願いを叶えるクジラが本当にいるのではないかという期待を抱いてしまいました。いつの間にか、完全に物語の中に入りこみました。まだ続きがあるのではと期待させられる最後の終わり方が、なんともいいですね。

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