実演鑑賞
満足度★★★★★
カーテンコールで 今回はゲネプロと言っていたが、本公演そのもの。観応え十分。
新宿・歌舞伎町にある、最後のグランドキャバレー「ミラクル」が舞台。時は、平成28年7月25日、あと一週間で閉店することが決まっていた。登場するのは、この店のシンガーとして歌い続けている、スミ子(旺なつきサン)とカズエ(阿知波悟美サン)。この2人による38年間に及ぶ回想と将来への不安が切々と語られる。この 2人の濃密(蜜)な会話劇。そしてボーイ兼(客)呼び込みの 松尾(池田俊彦サン)と生演奏するピアノマン(金森 大サン)の男 2人が脇役として物語を支える。
見所は 何といっても 2人の滋味深い演技(台詞)と情感あふれる歌唱であろう。そして誰もが迎える老い、これからどう生きていくかといった不安と希望、その複雑な思いがしっかり伝わる秀作。多くの人が味わうであろう感情、それゆえ納得・共感も得やすい。
カズエが、2人の楽屋の光景を動画に撮って姪に送信している。スマホの操作などしたことがなかったが、新しいことを覚えようと…これが物語の伏線でありテーマのように思える。38年の間には色々なことがあった。歌手になる夢を見て、夢に敗れ、愛と幸せを求めながらも、ステージで生きる事を選んできた彼女たち。そんな彼女たちに起こった『ミラクル』とは…。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)