実演鑑賞
満足度★★★★★
人生は綱渡り。常に転落の危うさを孕んでいる。その危うさの甘美なセカイを一口でも舐めてしまうと、もう戻れない。知ってしまったことを知らないことにはできない。後戻りできない人生。戻れないのだから、新たな魅力を探して、見つけた道へ、見つけられそうな方向へ向かうしかない。好転するのか、更なる転落が待っているのかはわからない。ただ、とどまることは出来ない。
それが性癖であると、日の当たる場所に晒すモノではないから、なかなかに理解されにくい。けれど、性癖に限らず、きっと誰にも多かれ少なかれ拘りみたいなものはあって、そこに生きづらさがあるのは誰もが感じているのではなかろうか。
自己肯定感が低い人間には、その闇からなかなか抜け出せない。我が子という存在には無限の愛を注ぐことができ、誰からも咎められることはない。そこに歪んだ性欲が含まれなければ。
彼が自分の分身となる子どもの誕生に感情が動かされることは理解できる。同時に反対側にいる立場の恐怖も。
改めて、何が彼の転落のスイッチを押したのかを考えている。なぜアレを跳ね除けられなかったのか、その力がありそうだった彼からそれを奪ったのは何なのかを考えている。落書きの主が誰なのかも。
一つ言えるのは、伝聞の恐ろしさ。その情報の信憑性が高くなかったとしても、その小さな棘は体内に入り込んで、心臓へと着実に上っていく。SNSはその最たる棘。
藍澤慶子さんは今作でも素敵だった。
実演鑑賞
満足度★★★
「性に支配される人々の末路」
承認欲求を満たすためにグレーな商売に手を染める主人公と彼の顧客の姿から、性や家族のあり方を問う力作である。
実演鑑賞
満足度★★★★
全く共感できなかったが、静かな世界に強弱ある芝居、心象を物理的に表現する演出など見応えある作品だった。
何が普通で何が異常なのか?もともと境界は微妙だし境遇や立ち位置で逆転するという事かな、それを丁寧に描いていた印象。
実演鑑賞
満足度★★
新たな3部作という事で、1部見てませんが2部見てきました。
感想は私の主観です
キャスト、芝居、間合いなどどれも悪くない、いやむしろイイ方かもしれないのに…
なぜか消化不良な感じします
新たな作品と宣伝しておきながら、ピーチanother sideの様な作品でした。
ピーチの再現にもかなりの時間費やしており
途中これはピーチ2の焼き直しなのか??みたいな感じです
色々な制限がある中、出来ない難しい表現をわざわざ入れて意味あるのみたいなシーンも多かった気がする。
小便シーンなんて本当に意味わかりませんもん
実演鑑賞
満足度★★★★★
キ上は何作か観ているけれど、中島氏が「今、僕ができる最高傑作」と言うように、確かに傑作だと思う。もちろん、好き嫌いはあるだろうが。
前作『けもののおとこ』も観劇したが、個人的には圧倒的にこちらが好みである。
寝取られの性癖や医療機関を通さない精子提供など、なかなかセンシティブで重いテーマだが、演出がポップなので必要以上に暗く重厚になることもなく、性的なシーンも軽やかでコミカルですらある。
ラストがいい。
観劇後は、心が重いような、でもどこかふわふわしているような、不思議な感じがした。
役者陣は皆とてもいい。それぞれの静と動の表現が素晴らしい。